相合い傘 | ナノ
 


こうして、無事
私たちは付き合う事になったのだが…




「ベル君」

「んー?」

「授業サボるのは良いよ
でも、私まで巻き込まないで」

「しししっ
いーじゃん、別に」

「良くないっ」

屋上に私の声が響いた。

「だって、オレ
莉菜と一緒に居たいし」

「私だって一緒に居たいよ
でも」

「ならいーじゃん」

私が文句を言おうとしても彼が強引に話を終わらせてしまう。

ああ、どうしよう
休み時間が終わってしまう。


「…ベル君ごめんっ」

私は彼を腕を振り払って、屋上から教室へと向かった。
勿論、走って。



「ギリギリセーフ!」

時計を見ると、授業開始一分前。
危なかった……


「莉菜おかえり〜
愛しの彼とイチャイチャしてきた?」

「………ただいま」

「反応冷たっ」

私と彼が付き合い始めた事を友達に報告したら友達は自分の事のように喜んでくれた。
何でも友達は私と彼がいつ付き合うか後輩と賭けていたらしい。
ちなみにその後輩とは――――






「莉菜センパイ」


「あ、フラン君」


授業が終わり、昼休みになると教室にフラン君がやってきた。
相変わらず可愛らしい顔をしているなぁ、そういえばフラン君も凄くモテるらしい。
フラン君が来た事に気がついたのか、私の友達が微笑みながら私とフラン君のところに来た。


「やあ、フラン
学食でソフトクリーム奢ってくれないか」

「げっ、嫌な奴発見しましたー
莉菜センパイ助けてくださーい」

そう、友達と一緒に私たちがいつ付き合うか賭けていた後輩とはフラン君だ。友達とフラン君は前々から知り合いだったみたいで…まあ、多分仲が良い。


「二人とも、教室で走り回らない方が…」

「無理ですー」
「無理!」

二人の声が綺麗にハモった。


いつも二人は教室や廊下、校庭などで追いかけっこをして楽しそうだなぁ、と思っているんだけど…
もしかして二人は……


「だーれだっ」

「わっ!?」


ぎゅっと後ろから抱き締められて、私は驚いて間抜けな声を出してしまった。ああ、もう恥ずかしすぎる…
こんな事するのは彼しかいない。


「ベル君…」

「せーかいっ」

「どうしたの?」
「迎えに来た」

「へ?」

「一緒に屋上で飯食おーぜ」


私はぐいっと腕を引っ張られた。今は冬なのだから、お昼くらい暖かい場所で食べたいのだが仕方ない…

「はいはい…」

私は彼と屋上に向かうことにした。


―――――




「スクアーロさん…?」

「う゛ぉ…莉菜かぁ」

お昼に向かう途中の廊下でスクアーロさんと出会った。

「うわ、鮫じゃん」

「う゛お゛ぉい!!ベルてめぇ喧嘩売ってんのかぁ゛?」

「は?ちげーし」


「まあまあ…二人とも…」

最近気づいたのだが、彼はスクアーロと意外と仲が悪いみたいだ。あとフラン君とも。

いつも一緒にいるから仲良いと思ってたけど…まあ、喧嘩するほど仲が良いとも言うけどね。


スクアーロさんに私たちが付き合い始めた事を言った時、スクアーロさんは私に向かって「よかったなぁ」と言ってくれた。後で知ったんだけど、スクアーロさんは私と彼が話さなくなった時
ものすごく心配していたらしい。


「ベル君、昼休み終わっちゃうよ…」
「そーだな
あ、じゃあなスクアーロ」

「失礼しました!」

「あぁ」



スクアーロさんはそう言って頷いてくれた、しかもスクアーロさんの顔は笑顔。




何だか私まで笑いたくなってきた。
「ねぇ、ベル」

「んー?」

「今、私
すっごく幸せ」

「オレも」


私が笑うと彼も笑ってくれた。



こんな日常が、
彼の傍で笑えることが、
私にとって…
しあわせ






end.

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