相合い傘 | ナノ
 


「それでね、私…」

「あー…はいはい。何回も言わなくていいですよー
もう、わかりましたから」

「ごめんなさい…」



今は昼休み。この間の事をフラン君に相談しているところです。ちなみに屋上には彼が居るので
今、私達は空き教室に居る。

「てか、そんなに好きなら早く告白しちゃえばいいじゃないですかー」

面倒くさそうに溜め息をつくと、フラン君はそう言った。

「無理だよ…ベル君
気になる人がいるって前に言ってたから」


前に屋上で好きな人いるの?と私が質問した時に彼は気になってる奴はいる、と答えた。
一体誰なんだろう?

「…………莉菜センパイ」

「はい?」

「もうすぐ文化祭ですよー」

「そうだね」


「文化祭とか、そういう行事は危ないんじゃないですかー…」


そう言われて私は、はっとした。彼は、ただでさえモテるのだから…文化祭でも告白されるに違いない。
もしかしたら、彼が気になってる人が彼に告白するかもしれない。
どうしよう…


「フラン君…」

「泣かないでくださいよー
…まあ、告白するしないは莉菜センパイ次第なんで」


そう言うとフラン君は空き教室を出ていった。






―――――――




昼休みが終わる五分前になり、私は少し慌てながら自分のクラスに戻った。私の雰囲気がいつもと違うことに気がついたのか、友達が話しかけて来なかった。



席に着くと私は窓の外を見上げる。きっと彼は、また屋上に居るだろうな。
今日はまだ一回も彼と会ってない。

彼は、私を待っているかな?
いいや、きっと待ってなんかいない。
頭の中で私は自問自答した。

ふと、携帯が気になり新着メールを問い合わせると…

「…あ」

彼からだ。
ちなみにメールは顔文字も絵文字もない、シンプルなもので彼らしいな、と私は思う。
肝心の内容だが…
“今日はどーしたわけ?”
と、まあ短い一行メールだ。一行メールでも嬉しいけどね…


“ちょっと忙しくて”

と私は返信すると携帯を制服のポケットの中に入れた。嘘を吐いてしまったが仕方ない。だって彼には言えないもの。


――――――





「文化祭準備…」



「莉菜、買い出し行こうよ」


「あ、うん」

友達と、あと同じクラスの女子数名と買い出しに行くことになった。

私のクラスは焼きそばを売るのだが……

「何買うの?」

「えーと、私達は店内の飾り」

「飾り…」

本当は中庭とかで売りたかったのだが、中庭は人気が有りすぎて私達のクラスは教室で売ることに…

あ、そういえば彼は…E組は何処で売るんだろう。

「莉菜、莉菜」

「なに?」

私が考え事をしながら歩いていると友達が話しかけてきた、とても楽しそうに。

「あそこにE組の奴らがいるよ」


「え?」

「わあ、ベルフェゴール君もいるー!」
「やっぱり格好良いなぁ」
「だよね!」

私が驚いている間に、一緒に歩いているクラスの女子数名が騒ぎ出した。友達から莉菜も騒いでこいと言われたが私は無視した。


「………」

彼は、まだ此方に気づいてない。

あ、こっち向いた。


「……べ、」

声をかけようと思った。けど出来なかった。
だって彼が顔を逸らしてしまったから。


私、嫌われるようなことしただろうか?


――――――






「買ってきたよ」

「ありがとう」

「早く飾り付けしようよ」
「まだ早いって」


私達が買い出しから帰ると、辺りはすっかり真っ暗になっていた。なんとなく雲行きも怪しい。

最終下校時刻間近になり、クラスメイト達がぞろぞろと帰り出す。

勿論、私も。



「うわ…」

雲行きが怪しいとは思ってはいたが…
私が外に出るとパラパラと雨が降ってきた。幸い折り畳み傘がカバンに入っていたので濡れずに済みそうだ。


「あっ、ベルく、ん…」

数十メートル先に彼の姿が見え私は今度こそはと思い声をかけようとした時、私は気づいてしまった。

彼の隣には、女の子がいたのだ。
ここからじゃ、二人が何を話しているかなんて事は、わからないが…楽しそうな雰囲気だ。



突然の雨


傘をさしているはずなのに、頬が濡れているのは泣いてるからだ。
もしかしたら、彼が言ってた気になる子ってあの子なのだろうか?
そう思うだけで
ズキリ、と胸が痛んだ気がした。

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