あれから、色々考えてみたけど 結論がまだ出ない。 私は彼が好きなのか? 悶々としたまま時間はどんどん過ぎていった。 ついに今日はベル君と映画を観に行く日です。 楽しみで楽しみで私は約束の時間よりも前に集合場所に着いたのだけど………… 「ベル君っ」 「莉菜遅刻ー」 「ベル君、今は約束の時間の二十分前です」 「ししし、んなことわかってるって」 彼も約束の時間よりも前に此処に着いていたなんて。 彼も映画観に行くの楽しみだったって、私と同じ気持ちだったって思ってもいいかな? 「予定より早いけど そろそろ行くか」 「う、うん」 ダメだ、彼を意識しすぎて彼の横を歩くのが恥ずかしい…。 仕方なく私は彼の一歩後ろを歩く。 「莉菜」 「な、なに?」 「オレ、歩くの速かった?」 「え、速くないよ!私が遅いだけ」 「ごめんな オレ…これからはもっと、ゆっくり歩くから」 どうしよう、謝らせてしまった。彼は悪くないのに、私が恥ずかしいから一歩後ろを歩いていただけなのに… 私は暗い気持ちのまま映画館へ向かった。 ――――― 「席は…っと あった。莉菜こっち」 「あ、うん」 先程の出来事の所為か彼は私に必要最低限な事しか話しかけてこなくなった。きっと彼は気分が悪くなったに違いない…と思うと胸が痛い。 全部私の所為だ。 私がそんなことを考えている間に映画は始まってしまった…まあ、始まったといっても まだ本編は始まってなく予告などがスクリーンに映し出される。でもそろそろ本編が始まるだろうと思い ふと、隣を見ると彼の姿が…あれ、いない? 怒って帰っちゃったのかな? 私が落ち込んでいると… 「莉菜」 凄く凄く小さな声で名前を呼ばれた。 驚いて辺りを見渡すと彼がいた。 「ベル君!?」 「しーっ …静かに、な?」 彼は私の隣に座ると、そう言うと私にポップコーンを差し出した。 「え?」 「さっきのお詫びっつーか、なんつーか その、莉菜が元気ねーから…」 「ごめん、気を使わせちゃって」 「謝るのはナシ。ほら、本編始まっちゃうぜ?」 そう言うと彼はいつものように笑った。 ―――― 「映画面白かったー ラストが意外だったっつーか」 「う、うん…」 彼が隣で楽しそうに映画の感想をペラペラと話し出す。私は映画の内容が全然頭の中に入ってこなくて……仕方なく適当に頷いてる。 「で、主人公がー…」 楽しそうに感想を話す彼はまるで子供のようで… 見てて飽きない。 学校じゃこんな姿見られないだろうな。そう思うと何だか得した気分になって、とても嬉しくなった。 あぁ、私は 彼が好きなんだ。 好きだから嬉しいんだ。 自覚 「莉菜?」 「…また映画観に行こうね」 「ん、約束な」 彼がそう言って いつものように笑ったので、つられて私も笑った。 |