ハツコイ。 | ナノ
 


「よし、できたよ」

「ありがとうございます!深緒さん」

深緒さんとはわたしの尊敬する先輩で今日は普段化粧をしないわたしに化粧の仕方を教えてくれたのだ。

「ふふ、ユラちゃん
初デートなのに緊張してないのね」

「デートじゃないです!」

「まあ、良いじゃない
私なんか人生初のデートがユラちゃん付きだったんだよ?」

「あの時はすいませんでした…」

「もう気にしてないわよ
そんな昔のことなんか」

「はい」

「ほら、さっさとデートを楽しんで来なさいな!」

「だからデートじゃ」

わたしが言い終わる前に無理やり部屋から追い出された。

変わってないな深緒さんは…


――――


「フラン、待った?」

「はいー
ユラが遅いから
かなり待ちましたー」

「…まだ待ち合わせの時間の五分前よ」

「ミーは十五分前から来てましたよー?」

「うるさいな…」

フランはいちいちうるさいんだから…

「…ユラ、いつもと雰囲気違いませんかー?」

そう言うとフランはわたしの顔をまじまじと見てきた。

「あ、化粧したからかな…
似合ってなかった?」

「普通ですかねー」

「…せめて嘘でもいいからお世辞ぐらい言ってよ」

「ユラはいちいちうるさいんですよ」

「フラン覚悟しときなよ」

「ハイハイ
わかりましたよー
ユラはどこいきたいんですかー?」

「えっと…―――」




―――


「うわぁ…!
一度来てみたかったのよ」

「ガキですかーユラは」

「いいじゃない!
ずっと前から行きたかったの」

わたし達が訪れたのは最近若い子達に人気のケーキ屋。

「なに食べるんですかー」

「えっと、まずはチーズケーキでしょ
あとショートケーキとチョコレートケーキと
あー迷う!よし、店員さん
店にあるケーキを一つずつくださーい」

「かしこまりました」

わたしは店員を呼び注文した。

「ユラ、そんなに食べれるんですかー?」

「うん!わたし甘いもの大好きなんだ」

「…」

あれフランもしかして引いてる…?
まあ、そうなるのはわかっていたけど…深緒さんもルネだって最初は引いてたし。


「御待たせしました」

「あ、」

店員がケーキを運んできたのでわたしはケーキを食べることに専念した。

「ユラー
美味しいですかー?」

「うん!」

「よかったですねー」

わたしはフランの笑顔に一瞬釘付けになった。
理由はいつも笑わないフランが珍しかったのもあるがフランの笑顔にときめいたのも事実だった。

「フランはケーキ食べないの?」

「あぁ、ミーはお腹すいてないのでー」

「フ、フラン
お腹すいてなかったら言ってくれればよかったのに
わたしは、別にショッピングとかでもよかったよ」

「でもユラがここに来たかったんでしょー
だからミーの事は気にしないでくださーい」


何でコイツはこんなに優しいのよ。
わたしは別に何もしていないのに。


「フラン
ごめんなさい」

「何がですかー」

「初めて会った日
わたし、フランを叩いたじゃん
だから…」

「あー気にしてませんから
それにミーだって酷いこと言いましたしーお互い様ですよー」


「…ありがと」

「礼はいりませんから」

「ううん
ありがとう、ありがとう」


馬鹿だ。
わたし馬鹿だ。
人に優しくされるのは苦手だけど。
こんなことで泣くなんて馬鹿だよ、わたし。
フラン困ってんじゃん。

「ごめんなさい、わたし」

「謝らないでください
何で泣いているかミーにはわからないですが
ユラが泣きたいなら泣いてくださーい」

「ありがと」

「とりあえずユラが泣き終わったらミーもケーキ食べますから
ユラが選んでくださーい」

「うん」

「ほら、ハンカチ貸しますよー」


「うん、ありがと」

何だろう。
フランにときめいたり、泣いたり、今日のわたしおかしいよ。




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