ハツコイ。 | ナノ
 


この間のあの任務から数日たった。
わたしとフランは相変わらず仲が悪い。
まあ、わたしだって好きで喧嘩しているわけじゃない。
わたしだって、好きでこんな性格じゃない。

「ねえ、ユラ?ユラったら」

「あ、ゴメン、ルネ」

「また、考え事?
あんた、一人で抱え込む癖直したら?
そのうち、またしたっぱに戻っちゃうかもよ?」


「ルネの意地悪」

「あら、お互い様でしょ」

ルネとは2年ぐらい前から付き合い。だ
彼女もヴァリアーでわたしのしたっぱ時代からの親友だ。わたしが幹部になっても親しくしてくれて。
わたしを呼び捨てで呼ぶ。歳も近くて、わたしの数少ない大切な大切な親友。

「違うのよ、今回は…」

「フラン様のことかしら?」

「えっ!?」

「だってあんた達噂になってるんだもの」

「まてまて、噂になってるって何?」

「この間あんた達任務言ったでしょ?
その時あんた風邪でぶっ倒れたじゃない」

「あ…」

「その時、フラン様は優しくあんたをお姫様抱っこしてあんたを部屋まで運んだのよ
だから皆あんた達が付き合ってるんじゃないかって」

「お姫様、抱っこ…?」

フランがわたしをお姫様抱っこ?
嘘だ!そんなのあり得ないし。てか、付き合ってないし。

「…どうしたのよ?
顔を赤くして」

「赤くない、ない!」

「ふーん…初恋か」

「違うから!」

「ふふ、まあ良い機会かもね
あんたはただでさえ
青春時代をまともに過ごしてないんだから」

「…うるさい
だいたいわたしにだって相手を選ぶ権利があるでしょうが」

「じゃ、どんな人が理想?」

「優しくて、お金持ちで、わたしを愛してくれる人かな…」

「案外普通ね」

「なぁ!?」

わたしだって真剣に考えたのに…ルネったら。

「でもね、アタシはあんたに幸せになって欲しいのよ」

「ルネ…」

彼女はわたしのすべてを知っている。
過去もわたしの癖も。

「フラン様が無理なら…レヴィ様あたりは?
あんた顔より性格重視派っしょ?」

「…無理
わたし、あの人昔から苦手」

「あら、残念
幹部だともう残ってないわよー
いっそのことボスはどう?」

「えー無理
ボスはわたしのお父さん的な存在だから」

「じゃあ、無理じゃない!
やっぱりフラン様よ」


「アイツは性格最悪最低なんだよ?」


「よくもまあ
人のこと悪く言えますねー」

「げっ、その声はフラン」

「あら、噂をすればなんとやら
アタシはお邪魔になるといけないんでそろそろ行くね〜」

「ま、ルネ!?」

行っちゃったか…
ったく…覚えてろよ。


「今の友達ですかー?」

「そうよ」

わたしとフランは相性悪いのに。
二人きりにするなんて。


「ふーん
何の話してたんですかー?」

「うるさいわね
あんたには関係ないでしょ」

「まあ、なんとなくなら予想できますけど
どうせ噂のことでしょー?」

「あんたも知ってたんだ」

「はいー
まあ、ミーは噂とか気にしないタイプなんですけどー
ユラが気になって来ちゃいましたー」

「…最低」

「意外とそういうの恥ずかしがったり気にしたりするタイプなんですねー驚きましたー」

「違う、わよ…」

「あ、図星ですかー?」

こいつは何でわたしのことがわかるのだろう…

「ま、ホント気にしない方がいいですよー
てか、酷い噂ですよねー
ミーはユラみたいなうるさい女は無理ですー」

「あんた…」

「それに、ユラみたいな幼児体型はミーの趣味じゃないですしー」

「幼児体型で悪かったわね…」

「それに性格悪いしー」

「あんたもでしょ!」

「聞こえなーい」

「フーラーン!」

「怒るとシワが増えますよー?」

「わたしはそんなに年寄りじゃないわ!
まだ18なんだから」

「あれー?意外でした
そんな若かったんですかー」

「何よ?」

失礼なヤツ

「いやぁ…ついミーより10歳くらい年上だと思ってましたー」

「酷っ」

「だって、10年前からヴァリアーにいるんでしょ?
普通8歳でヴァリアー入るなんか堕王子くらいしかいませんよー」

「まあ、確かに」

「だからユラは堕王子と同じレベルってことですよねー」

「失礼な!あのベル先輩と同じにしないでくれる?」

「…もしかしてベルセンパイのこと嫌いなんですかー?」

「えぇ、まあ」

「ミーもですー
アイツムカつきますよねー」


「あ、うん」

あれ、フラン案外良いヤツじゃん。
結構気が合うかも。

「ユラ、」

「へ?」

「今度よかったら
ミーと出掛けませんかー」

「あ…うん
別にいいよ」

「じゃあ今度の水曜日に」

フランはこれから任務なんでと言って去っていった。
楽しみだなぁ、お出かけ…

わたしは思わず笑みがこぼれた。

…あれ、わたし今楽しみって。

あれ、わたしフラン大嫌いなはずじゃ?



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