ハツコイ。 | ナノ
 


お菓子作りがこんなにも難しい物だったとは。

ルッスーリア先輩からレシピを教えてもらったが。
何回やっても成功しない。
一応、初心者でも簡単にクッキーを作れるレシピなのだが、うまくいかない。

「オーブンが壊れてるじゃ…」

もしかしてと思ったが他の先輩に確認してもらったところ壊れてないと言われた…

つまり、わたしに原因がある。
ちゃんと分量もあってるしレシピ通りに作ってるのに…
これじゃ、フランにプレゼントできない。

ハァ…
時々、ベルフェゴール先輩は冷やかしにくるし、スクアーロ隊長はわたしがクッキーをちゃんと作れるか本気で心配してるし、レヴィ先輩はチラチラとキッチンを覗いてくるし。

何?あんたら…
わたしが料理下手だと言いたいのかァァァァと怒鳴りたいくらいだ。

てか、マジで殺りたい。
ルッスーリア先輩はわたしにレシピを教えたら任務行っちゃったし。
あー集中できない。

でもとりあえずまた最初から作らなきゃ。


―――

型抜きクッキーは楽しい。
色々な型があったあってどんな形にしようか迷う。
ハートにしようか星にしようか?
フランはどんな形が好きなのかな?
そんなことを考えているだけなのにとてもドキドキする。
好きな人のことを考えている時間ってこんなにも幸せなんだ…

クッキーをオーブンに入れた、10分焼けば出来上がり。

上手くいくかな?
そんな不安な気持ちになる。

10分たってオーブン開けてみるとほのかにいい匂いがした。
やっと成功した。

前もってラッピングするために買っていた箱やリボンなど持ってきてラッピングをする。

綺麗な薄い藍色の箱にエメラルドグリーンのリボン。
なんとなくフランをイメージしてわたしが選んだ。

喜んでくれるかな…
わたしは首元のネックレス見てそう思った。


フランは今日任務なのでわたしは部屋で待つ。

早く帰ってこないかな。




6時55分。
もうそろそろ帰って来てもいい時間だ。

「早く渡したいな…」

ガチャっとドアを開ける音が聞こえた。

フランかな?

「ユラちゃん!いるかしら?」

「ルッスーリア先輩」

わたしの部屋に来たのはルッスーリア先輩だった。「いい?驚かないで聞いてちょうだい
フランちゃんが―――」





嘘だ…

嘘だよね…

「フランちゃんが任務失敗して…――」

やだ、やだ聞きたくない。

「私ったら心配して

フランちゃんが死んじゃうかもしれな…」

わたしは、その言葉を聞き頭が真っ白になりながらも部屋から飛び出て走り出した。
フランは医務室にいると聞き、わたしは走って医務室へとむかった。

「フラン…!」

わたしはドアを勢いよく開けた。そしたらフランは元気よく返事をした。

「なんですかー」

「え、死にそうじゃ…」

「…ミーは元気ですよー
右足は捻挫したけどー」

「だってルッスーリア先輩が」

わたしがそう言った瞬間ルッスーリア先輩が入ってきた。

「もう!ユラちゃん
やっぱりここにいたのねぇ」

「…怪我を大袈裟に言ったのあんたですかー」

「失礼ね!
ユラちゃんが勘違いしたのよ〜」


「え?」

「だから、私はさっき死んじゃうかもって思ったらフランちゃんったら
私を幻術で驚かしただけで怪我は捻挫だったのよ?
ったくもう!失礼しちゃうわ〜

って言おうとしたのにユラちゃん走っちゃうから!」

わ、わたしの勘違いだったの…


「でもユラちゃんはフランちゃんのこと心配したのねぇ
汗びっしょりじゃない!
とりあえず私はもう行くけど
ユラちゃん!後でちゃんと着替えるのよぉ〜」


そう言ってルッスーリア先輩は医務室から出ていった。


「…フラン、わたし」

「ユラ心配してくれてありがとうございますー」


「心配してない!」

「あーそんなこと言っちゃダメなんですよー」

「うるさい」

「あ…ユラ、その手に持っている箱なんですかー?」

「あんたへのプレゼントよ」

わたしは手に持っていた箱をフランに差し出した。

「開けてみていいですかー?」

「どうぞ」

「…クッキー?」

「うん」

「クッキー…
形が歪んで見えるの気のせいじゃないですよねー?」

「…うん」

「まあ、ミーは形なんか気にしませんからー」

「…嘘だ、気にしてる」

「…いや本当ですよー」
「じゃあ食べて」

「えー」

「あ、嫌そうな顔した!」


「ジョーダンですよー…
食べますから」

フランはそう言うとクッキーを一つ食べた。

「どう…?」

「美味しいですよー」

「よかった…」

「あ、今度も何か作ってくださいね
たとえ失敗してもミー食べますから」

「わ、わかった」


好きな人が喜んでくれることってすごく幸せなことなんだね。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -