ハツコイ。 | ナノ
 


まあ、何やともあれ。
フランと付き合うことになったのだが…

「ねえ…フラン」

「何ですかー?」

「フランはいつからわたしのこと好きだった?」

「あー
気になったのはユラに叩かれた時からですかねー」

「はぁ?何で」

「珍しいタイプだったので」

「珍しい?…」

「まあ、それからユラを見てて気が強そうなわりに心が弱いところとか素直になれないところに惹かれましたー」


「でもわたしを好きになるなんて悪趣味だね」

「あれ、もしかして照れましたー?」

「照れてない!」

今のは嘘。
本当は照れてたし恥ずかしかった。

「ユラー
少しは素直にならないと嫌いになりますよー?」

「ヤダ
嫌いにならないで」

「はい、よく出来ましたー」

フランはわたしの頭を撫でるとわたしに微笑んでくれた。
わたしは頭を撫でられるのが好き、なんか安心する。

「フラン、」

「何ですかー?」

「わたしフランのさりげなく優しいとこ好き」

「…ありがとうございますー」


「あ、フラン照れた?」


「…っ
馬鹿ユラと一緒にしないでくださいよー」

「…どうせわたしは馬鹿ですよ」


「あ、怒ってます?」

「別に」

「嘘」

「…うるさいなぁ」

「ったくユラは可愛すぎますー」

「どこが?」

「全部ー」

「そう?ありがと」

「いえいえー」

「…」

とまあこんな感じで何も進展はしてない。
早く進展したいってわけじゃないの。
ただ、これじゃあ付き合ってるのにまるで友達のままじゃない。
せめてキスとかしてみたい。けど恥ずかしくてフランには言えない…
でもどうしたらいいの。
わたしはもやもやした気持ちのまま任務に向かった。
今日はわりと簡単なCランクの任務。
なので、今日はわたしとベルフェゴール先輩と二人だけで任務を行う。

「顔色悪くねー?」

「大丈夫です」

「無理すんなよ?」

「はい」


わたしはベルフェゴール先輩のことが嫌いだ。
なんとなく嫌い。

わたしは匣を開匣し片っ端から敵を殺った。

だが、わたしはまだ背後の敵に気づいていなかった。

ザシュ…と肉の切れる音が聴こえたので振り返ると怒ったベルフェゴール先輩がいて。
そばには敵の残骸が転がっていた。
「お前、任務やる気あんのかよ?」

「あります」

「ふざけんなっ
オレが敵を殺んなきゃお前死んでたぜ?」

「すみませんでした」

「だからオレらはお前を幹部にするの反対だったのに」

「…」

それは初耳だった。
オレ“ら”と言うことは幹部の皆は反対してたんだ。
そうだよね。
わたし、たいして強くない。


「中途半端な気持ちで任務やったら確実死ぬくらいわかってんだろ?
お前みたいな役立たずは死ねよ」




――――

わたしはアジトに帰ると真っ先に自室に向かった。

自室に入り、ドアに鍵をかけた。

そしてベッドに倒れ込んだ。

泣いた。

先輩が言ったことは正しい。
もし、あの時先輩がいなかったらわたしは死んでいた。

だから悔しかった。
任務の時に余計なこと考えてしまった。
わたしは初歩的なミスを犯してしまった。
それがショックだった。

わたしは、ベッドの近くに置いていたカッターを取り、自分の手首を久しぶりに切った。
真っ赤な血はドクドクと流れる。

ああ、わたし生きてる。
わたしは昔からリスカをしていた。
イライラした時とか自分のことが嫌になった時にどうしてもおさえられなくて手首を切っていた。

最近はしてなかったのになぁ。

あーあ…
フランとの約束破っちゃった。

でも仕方ないよね…
わたし、弱いし。

元から釣り合ってなかったんだよね。
わたしたち…
そう思った瞬間
ドアをノックする音と「ユラ?」とわたしの名前を呼ぶ声が聴こえた。

「…ドア開けるから待ってて」

わたしはドアを開けフランを部屋に入れた。

「ユラ、泣いてましたかー?」

「ううん、何で?」

「涙のあとがついてる」

「そっか」

「ユラ…
手首見せてください」

「いいよ…
ほら、フラン見て
わたし約束破っちゃった」

「馬鹿ユラ
怒ってませんから泣かないでくださいー」

「ごめん」

「今日は何でこんなことしちゃったんですかー」

「イライラして」

「これからはイライラしたらミーに相談してください」

「ごめんなさい」

「今度約束破ったら1日中ユラを監視しますー」

「…わかった」

「ユラは大丈夫ですよー」

そう言ってフランはわたしの頭を撫でた。

「ユラにはミーがいるから
ミーを頼ってください」

「うん」



ありがとう
フラン大好き。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -