高級そうなコーヒーの味がじんわり口の中に広がる。
三成はミルクとか砂糖を入れたりしないから、
甘い物が好きな私には結構刺激的なキス。
私もこのキスには若干、中毒気味。

「…ん」
「…なまえ、何を食った?」
唇を離すと三成のしかめっ面と対面する。今、私もこんな顔してたりして。
「えっと、ショートケーキ、モンブラン、アップルパイ」
指を折って数えていく。
「あ、あとテーブルの上の板チョコ」
「食べ過ぎだ。太るぞ」
「大きなお世話だいっ!」
三成は無視してテーブルの上のコーヒーを取って飲んだ。
「甘かった?」
「ああ」
「三成は苦かった」
「なまえは子供だ」
また子供扱い。これで何度目よ。
私も同じテーブルの上の食べかけた板チョコに手を伸ばす。
口の中のブラックコーヒーの苦味をどうにかしないと、口が麻痺しそうだ。
「何すんの」
三成が先に板チョコを手に取った。
まさか食べるつもりじゃ…いや、甘い物なんて斬滅!な三成に限ってそんなこと。
「ああー!?」
「耳元で騒ぐな!」
なんと三成はゴミ箱に向かってチョコを放り投げた。
宙を描いたチョコは見事にゴミ箱の中へ…。
なんという暴挙。

「三成の暴君!ツンギレ!ドSアーモンド!」
「なまえ…貴様私をおちょくっているのか!?」
「ひどいー!私のお口の恋人なのにー!」
涙が出そう、いや出てます。
私は怒りと悲しみに震えながら三成を見るとニヤニヤしている。流石はドS。

「何がお口の恋人だ」
「ん…っ!?」

ちゅ、と本日2度目のキス。
舌を絡めるとまたコーヒーの味が私の味覚を刺激した。
「んん…はぁ」
「なまえはただでさえ甘いからな。私にはなまえの甘さだけで十分だ」
唇を舐められてちょっとびくっとする。
「…あれですか?私のお口の恋人は三成のちゅーだってことですか?」
「それ以外に何がある」
またまた近付く唇に、中毒症状を起こす私の期待は膨らむばかりだ。
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