私、みょうじなまえは最近、隣の席の唯我独尊男子に目を付けられた。
「おはようなまえ」
「!?お、おはよう赤司くんっ!」
彼は赤司征十郎君。バスケには暗いから分からないけれども、彼はその筋だとかなりスゴイ人らしい。
「なまえは今日も虐めたくなる顔をしているね」
ひい!と上げそうになった悲鳴を飲み込む。
何かよく分かんないけどこんな感じでいつもおちょくられるようになった。
友達に何でだろうと真剣に相談したけど一言「とりあえず諦めたがいいんじゃない」。
このヤロウ、私の命よりスマホ画面に映る韓流アイドルが大事だってか親友よ。
「そ、そうかな?そんなつもりないんだけどな…あはははは」
「それより、僕現国のテキスト置いてきしまったんだよね」
それ先週もだった気がするんですけど。
テキストが数学から現国に鞍替えしただけですよね。
つまりは、机くっつけてテキスト見せろよ、ということですか。
当然断れない私。
「…私持ってきてるよ」
「ならいいね」
赤司君は座ってからも私のことをじっと見ている。
怖いというより見られると恥ずかしい。
赤司君はかなりのイケメン、の部類に入る。
というか、気品ある美少年といった感じだ。
天は二物を与えない、というがウソだ。
バスケができて勉強ができてかっこいいとか、赤司君は既に三物も貰ってる。
「なまえ、さっきから騒がしいよ」
「わ!ご、ごめんなさいっ!」
びくっ!と意図せず体が跳ねる。って私喋ってた!?
「分かりやすいほど心の声がだだ漏れだ」
「赤司君って魔術の心得でも…」
赤司君は、さぞ愉快そうにしている。
そんな赤司君と並んでたら、私の余裕の無さがますます露呈してしまう。
「それより、僕の事を格好良いと思ってたんだ?」
「え、あ、それはその…」
クラスの視線がこっちに集中しているのが分かる。
こんな公開処刑に処せられた私はたまったもんじゃない。
これだって、赤司君の虐めの一環だ。
おどおどしていると赤司君が私の耳元に唇を寄せる。
「僕もなまえを可愛いと思っているよ」
…そう、これも虐めの一環に決まってる。
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