《説明書》
用法用量を正しく守って使用しましょう。

用量
0〜5歳…使用不可
6〜19歳…50ml
20歳〜…75ml

※服用から効き目が現れるのは10秒〜1週間と個人差があります。
※誰に惚れるかはこちらでは分かりかねます。


「誰に惚れるかはこちらでは分かりかねますじゃねーよ!」
「というか何で炙り出しなんだ!回りくどい!」
「跡部、日吉……」

跡部と日吉は平静を装っていただけだった。
跡部と日吉はみょうじと委員長の近くに寄ると委員長からみょうじを引き剥がそうと強行する。
いくらなんでも激ダサだぜ……。

「ぎゃっ!何するの!?」
「おい奇行女!いい加減目を覚ませ!汚いコーラ飲んでますます頭おかしくしてんじゃねーよ!」
「離れないと張り倒しますよ?容赦しませんよ?」
「やれ日吉!一発かましてやれ!」
「なまえちゃん、俺のこと好きになってくれるって言ったじゃん!」
「なまえさん!委員長とは何もないって言ってたじゃないですかぁ〜!」
「あいつらなまえちゃん大好きやな」

俺の味方は忍足と樺地しかいなかった。

「せやけどなぁ、一番の問題は……」
「何だよ?」
「委員長……満更でもないんやろ?なぁ?」
「お、忍足くん……」
「そんなになまえちゃんに鼻の下伸ばして……なぁ?」
「忍足くん味方じゃないの!?」
「そんなこと一言も言うてへんで」

やばい忍足も大丈夫じゃなかった。つーか委員長満更でもないのかよ。さっきなんて『私と一緒のお墓に入ってくださいっ!』とか言われてたのに……。

「い、委員長も私のことを?」
「あ、その、うん。なまえちゃんのことは、前から……気になってて」
「おい忍足!テメー何キューピット役果たしてんだよ!」
「あかん、恨み節が裏目に出てもうたわ」

みょうじを張り倒す気満々だった日吉の手は既に歳上のはずの委員長に向けられている!このままだと嫉妬に狂った奴らの手によって委員長がどうなるか分からない。つーかみょうじを一刻も早く戻さなくちゃならない。俺は説明書をもう一度よく見る。何かないのか……?何か。

「委員長、私と……」
「なまえちゃん」
「あかんあかんあかんて!」
「みょうじ!考え直せよ!お前今惚れ薬飲んで一時的にそうなってんだぞ」

なまえのまずいところは、多分薬が切れても『え?委員長と付き合ってるの私?うーん……まあいっか。私このまま委員長の彼女でもいいよ』とか言い出しそうなところだ!俺は見にくい説明書を判読しようとして……やっと。

「僕も……」
「おい!対処法が載ってるぞ!」
「何だって!?」
「流石は宍戸さん!」

説明書の裏。一応炙り出しで対処法が掲載されていた。だから何で炙り出しなんだよ。
そこに一言

※元に戻す際はショックを与えてください。

とあった。……いやアバウトだなおい!


「ショック!?ショックってどんなのだ!?」

ドスッ!

という鈍い音がして、みょうじはそのまま倒れてしまった。岳人が……蒼ざめた顔で日吉を見ているから……多分。多分だが日吉がみょうじに何かしたに違いない。物理的に。

「ショックを与えました」
「日吉、今一歩間違えてたら殺してたよ……」
「手刀やったな」

長太郎の言う通りだ。日吉は息を吐いた後、みょうじが気絶したことをいいことに委員長を睨んだ。俺を含めて全員の視線が委員長に集中している。

「ほう、あの満更でもねぇ態度……この変態数学24点女に気があるってことだったんだな」
「貴方の考えていることはよーく聞かせて貰いましたよ」
「委員長、なまえさんのことは先輩とはいえ譲れませんよ……」
「惚れ薬は俺に使う予定だったんだC」
「おいジローそれマジかよ!?」

「うう、ドブみたいな色したコーラの川で溺れる……」

なまえが気を失いつつもうわ言のように色々言っている。
委員長を含めて俺たち全員がみょうじと同じドブみたいな色したコーラの川で溺れてしまっているみたいだった。


2016/09/18修正

大変遅くなって申し訳ありませんでした。
千歳くんと橘さんのお話でミユキちゃんを出したかったのですがやむなく(;ω;)
幼馴染2人に取り合いされたいサレタイ……と思いながら書きました!
惚れ薬の方は……色々書いた末にこの話に落ち着きました!なかなか急展開ですが……好きな人にも容赦なく手を上げる日吉くんが好きです。

ぽん柑様、リクエストありがとうございました!

[ ]