「で、部長は一体何しに来たんすか?」

「財前応戦しに行きおったー!」

財前の顔には『会話の邪魔すんなや』とあり完全に応戦状態である。

「そりゃあなまえちゃんも忙しいやろ?あんま財前と喋っとったらなまえちゃんの練習にも差し障るやん?」
「……とってつけたような理由やわ」
「白石くん」
「ん?どうしたんなまえちゃん」
「私もう少し財前くんとお話したいからまた後で」

「ふ、ふられたァー!白石見事にふられおったー!」
「大ダメージは避けられへんわ!」
「あれ?せやけどまだ笑顔やぞ、アイツ」

「……」
「白石くん?」
「ちょっとだけタンマ」
「えっ?」

くるりと振り返って3人の元に帰って来た。一見ダメージは無さそうだったが、これはやはりそうだ……と出迎えた3人は勘付いた。

「あかん……なまえちゃんに拒絶された死にたい」

白石は地に足を突き落ち込み始めた。

「やっぱあかんかったぁぁぁ!」
「蔵クンしっかり!これは相手がアカンかったのよ!」
「せや!今から俺や小春とファーストガンダムから観なおそうや!」
「はぁぁ……どうせならなまえちゃんとファーストガンダム観たい」
「何やと俺じゃ不満か!?」
「俺の天使……マイフェアリーなまえちゃん。財前のとこに行ってまうんか」
「重篤な症状やわ」
「救急搬送先は?」
「恋煩いはどこも専門外や」



ちょいタンマ、と言い残して部長は数十メートル先の謙也さん達のところで膝をついて動かなくなった。みょうじさんは部長の方を背伸びして見つめると、俺に申し訳なさそうに聞いてきた。

「私何か悪いことしたかな?」
「はぁ。部長めんどくさ」
「自分の先輩じゃん」
「アンタもどっこいどっこいや。何で部長があんなんなったか考えてみたらどうすか?」
「うーん?」

俺も先輩相手にあそこまで喧嘩腰になったのはアカンかったけど。謙也さん相手やあるまいし。それでもトドメを刺したのはみょうじさんや。天使天使言ってはばからない相手が突如背中から刺してきた位の衝撃やったろうな……。
ま、俺はお詫びにみょうじさんに気付かせること位はしてやりますわ。

「あ!?そうか!白石くーん」
「早っ」

思い立ったら即行動に移すみょうじさんは今もなお落ち込む部長の元に走っていき、しゃがんで様子を伺う。

「白石くーん」
「おい、白石。しっかりしーや。お前の大天使が来たで」
「なまえちゃんよ!ほら、蔵クン顔を上げて!」

何やまるでいじけた子どもを元気付ける為に餌付けしよるみたいや。

「なまえちゃん……?」
「あ、良かった白石くん。さっきはごめんね。白石くんの気持ちを無視してあんなこと言っちゃって」
「なまえちゃん……」
「白石くんのこと嫌いとかそういうんじゃないんだよ?ただちょっと財前くんとお話したかっただけで……」
「なまえちゃん!ええんやで!なまえちゃんのせいやない!なまえちゃんに愛を求めるばかりで……俺が性急すぎたんや!」
「(あれちょっと何言ってるか分からない)」

みょうじさんの顔が『あれちょっと何言ってるか分からない』になっとる。しかし気のせいと片付けたらしいみょうじさんは、笑顔で部長の手を取り言う。

「一緒にファーストガンダムから観よう!」
「え?」
「は?」
「何やコイツ……」
「白石くんもガンダムに興味あるんだよね?」

結局部長はガンダムが観たかった……に落ち着いたらしい。無邪気に笑うみょうじさんには呆れた。それ以上に『俺の大天使!』みたいな目をしとる部長にはもっと呆れる。

「うん……なまえちゃんとファーストガンダム観る」
「うちでね」
「なまえちゃんの家行ってもええの!?」
「いいよ」
「ガンダム布教活動……」
「財前くんも一緒にね」
「財前……や……と」

……俺を出されて奇襲された部長は案の定『先輩の顔を立てろ!』と俺を若干涙目で睨んでくる。あかん……人は分かり合えるのに分かり合えない……まるでガンダムの世界やな。

「とりあえず宇宙世紀から……ファースト、Ζ、ΖΖ、CCAかな……それから0083とかのOVAを」
「おい火種!火種回収せんかい!」
「あ、でも2人とも関西か。遠いなぁ」
「俺は財前と違うてどこへでもなまえちゃんのとこへ行くで!」

マイペースすぎるみょうじさんの……ほんまどこを好きで天使と呼ぶ要素があるんやろか。


2016/09/18修正
ネタを詰め込みまくる結果になってすみません( ´・ω・`)
ネタ成分自重したいです……!
白石くんと仁王くんのリクエスト、ありがとうございました!白石くんはあのテンションの高さが良くて書いてて楽しいです!仁王くんは別に長編を書いているのでいわずもがなそうですが……。
素うどん様!楽しいリクエストありがとうございました!

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