「……」
「……」
「青学に四天宝寺に、山吹の亜久津か。個性的な顔ぶれだね。流石なまえちゃん。人気があるね」
「……」

みょうじ目当ての来客7人目は立海の幸村やった。しかも8、9人目も引き連れて。3強揃いぶみ……お前ら暇人かい!

「ぼ、ぼくドラえもんだよ。なまえちゃんなんてぼくは知らないなぁ。きっと人違いだよ」
「なまえちゃんは冗談がヘタだなぁ」
「む、ドラえもんは上手いぞ」
「古き良き旧ドラえもんだ」

ただでさえみょうじのツタン鬼太郎で目立っていたっちゅーに立海まで来て更に店内は色めきだっとる。大体女子の視線は白石や不二や幸村に釘付けやほんまお前ら俺にその視線の4分の1寄越せ!

「みょうじ、お前まさかこいつらのせいでツタンカーメンマスクを」
「主に幸村くんの所為だよ。このマスクのせいで手塚くんと真田くんと柳くんの顔を拝めないの悔しい」
「もうバレとるんやから外せや」
「まだバレたくない人がいるの!
お客様とりあえずお席にお付きください。ご注文をお伺いします」
「そのマスク取ってよ」
「ぼくの体の一部だからダメ!」
「ツタンカーメンで鬼太郎でドラえもんやからもうコイツほんまにみょうじなのか怪しい」
「フン、なまえはなまえだ。そんなことも分かんねーのか」
「余裕ばかましとるね。なまえからたまーに話は聞いとったけどなかなかの信頼関係を築いとるように見ゆる」
「てめーは下心見え見えだな」
「あかん!みょうじ!こいつら止めて!」
「自分が蒔いた種なんだ。自分でどうにかしろよ。君は男だろ」

東西幼馴染対決まで勃発したのまではツタン鬼太郎(CVドラえもん)も面倒見きれずそそくさとキッチンへ消えていってしもた。

「あかん……白石。俺もう帰りたい」
「なまえちゃん見て癒されようや」
「誰がツタンカーメンマスクの鬼太郎なんか見て癒されるか!」
「……それにしても跡部がいないのはどうしてかな?いつもなまえちゃんの保護者気取りなのに」
「生徒会長だからな。忙しいのだろう」
「まあ俺としてはその方がなまえちゃんを構えるから楽しいんだけどね」
「あーん?俺様を呼んだか?」
「呼んでないよ」

追い討ちをかけるように現れたのは跡部、それに侑士と樺地やった。恐らくみょうじのまだバレたくない奴って跡部と侑士の2人のことやろ。

「それでみょうじはどこだ?」

跡部が来たことでギャラリーは更に増え店から人が溢れ返っとる。特に女子。大体この場にイケメン多すぎなんや。俺全然目立たへんやんけ。

「なまえちゃんなら注文受けて今キッチンやで」
「なまえちゃんどんなコスプレしとるん?俺的には脚が映えるコスプレならええなぁ」
「短パンやし映えとるんとちゃう?」
「謙也、お前なんでそんな遠い目しとるんや」
「言うとくけど微塵も可愛くないで」
「微塵もって……」
「お待たせしました、ご注文の品です」
「……」
「……」
「……」

跡部と忍足はやってきたみょうじを見て何ともいえない沈黙が流れる。が、沈黙を破ったんは意外にもみょうじやった。

「跡部様と忍足くんの接客したい人ー」
「!?」
「私が!」
「いえあたしが!」
「何よ!あんた隣のクラスじゃないの!」
「今日からこのクラスになったのよ!」

店員の女子の目がギラギラと光り私が!と跡部や侑士の方に向かっていく。
どう考えても他所のクラスがおるし。

「ちょっ、俺たちなまえちゃんに会いに来たんやで」
「跡部くんと忍足くん捌いたから自由時間始まったよー。謙也くんこのマスクあげる」
「薄情だなてめーは!」

みょうじはツタンカーメンのマスクを脱いで俺に渡してくる。

「こんなもん要らんわ!」
「え?いらないの?じゃあ跡部くんにでもあげようかな」
みょうじは立ち上がり女子の間を掻き分けて跡部の元に近付いていくとツタンカーメンのマスクを事もあろうに被せおった。

「みょうじてめぇ……!」
「はははっ、なまえちゃん流石だなぁ」
「クス……似合うよ跡部」
「あっ手塚くんにはコーヒーをサービスだよ」
「ありがとう」
「ついでにこのマスクもサービスしてやれ!」
「お嬢さん脚キレイやな」
「きゃー!褒められちゃった」

跡部はツタンカーメンになってしもたし、侑士は侑士で脚キレイな子を口説いとるし。亜久津は既に千歳に掴みかかっとるし、魔王2人は跡部見て笑うとる。
みょうじはみょうじで手塚に恥ずかしそうに話しよる。

俺、やっぱ金ちゃん探しに行けば良かった。

「あかん、俺あのなまえちゃんが被っとったツタンカーメンマスク欲しい」

否、白石を病院に連れて行けば良かった。



2016/09/18修正

二部作になりました!
書けて大変楽しかったのですが、
折角のお題をやや持て余している気がします……駄文で申し訳ないです。謙也くんというツッコミ要素はどうしても不憫になってしまいます笑
はる様、この度はリクエストありがとうございました!

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