手元にスケッチブックでガードしていると、金ちゃんが部室のドアを開けて勢いよく入ってきた。後ろから笑顔のちーちゃん。この二人のセット可愛いよね。大きいものと小さいもののセット。

「金ちゃんも?」
「千歳から聞いたで!銀も行くんやってな!ワイもねーちゃんと一緒に行く〜!」
「分かった分かった。金ちゃんも行こうね」
「銀さんも一緒?」
「不動峰に行くとよ。なまえちゃんも桔平に会いたい言っとったけんね。
安心したと?」
「安心した……ってちゃうわ!」
「謙也さん、そんなんやから部長にリード許すんすよ」
「なっ!?お前こそあんな分かり易そうで回りくどい方法であの思考回路が樹海状態のなまえに伝わるわけないっちゅー話や!」

どうやら誤解は解けつつあるようだ。
それに小春ちゃんが止めに入ったことによりユウジのボール攻撃と罵詈雑言の精神攻撃は既に止んでいた。

「なまえちゃん、ごめん。浮気疑ったりして」
「うん。何で浮気なのかな?」
「新婚旅行はフランスとオーストリアで決定や!」
「えと、誰の新婚旅行かな?」

白石くんって旅行代理店?ウェディングプランナーでもしているんだろうか。それなら今度の不動峰ツアーの企画をして欲しいくらいよ。……あ。

「白石くんも東京行かない?」
「なまえちゃんからデート誘われたら断るわけないやろ」
「ていうかみんなで行ってそのデート経費を学校に持ってもらおうよ!『不動峰との合同練習』って形で!」
「ほんま?じゃあワイのお小遣い食べもんに使える!?」
「東京での飲食代もだよ」
「さ、さすが俺のなまえちゃん!無駄がない!」
「なまえちゃんってたまに蔵クンの愛を無意識に利用しちゃうわね」

さすが白石くん!いつも私の味方!素敵!
一方、謙也くんが私を青ざめた顔で見ている。ひかるんに至っては何か写メってるし。

「何撮ってるの?」
「悪の奇行種の図っすわ」
「……その悪の奇行種にメロメロなのは誰やねん。なまえ〜一昨日の財前のブログ見たかぁ?」
「謙也さんの愚痴メールここでみょうじさんにスピードスター顔負けの勢いでぶちまけてもええんすよ」
「あかんて!それはあかん!」

謙也くんとひかるんが喧嘩を始める。
覚えてるよ昨日のブログ。バカにされたし。



俺の部活のマネで先輩のみょうじさん。
あ、こいつ変人や、と思った人。せやね
ん。昨日も突然、部室の壁にかけてあっ
た時計を綺麗に解体してまた戻してた。
好き放題の先輩は俺にいつもベタベタで
きもい。ほんまどうにかならんかな。せ
やけどあの人のことやから無理やろな』

だったっけ。私は思わずオレンジジュース吹き出したよ。

「まあいっかー。取り敢えず金ちゃん、オサムちゃんに頼まないといけないからオサムちゃんを見つけないとね」

いまだ私に抱きついている金ちゃんに言い聞かせると目をキラキラさせている。金ちゃんがいれば敵は絶対見つけられるぜ。

「オサムちゃん見つけてくるわ!」
「オサムちゃんのことだけん、こっそりこの会話聞いて逃げてそうね」
「きゃー!オサムちゃん探して神尾くんに会いに行くわよぉぉ!」
「浮気かー!」
「アンタにはなまえちゃんがおるやん!」
「押し付けられた!」
「残念やったな!なまえちゃんには俺がおるで!」
「部長うざいっす」
「白石……残念なのはお前や」

こんなに大勢で探すとますますオサムちゃん逃げちゃう気がする。まあ楽しく探すのも悪くはないよ。
オサムちゃんならどうせ、こいっしーに泣きついてるだろうしなー。


「じゃあ頑張るぞ!ついでにオサムちゃんに美味しい東京のラーメンを奢ってもーらおう!!」
「鬼か!」




2014.10.23

四天宝寺に奇行種が入ってたら、案外まず白石に誘われてマネージャーしてそうだなって思いました。あと一番仲良いのはユウジかなぁと。妄想が膨らみます。
財前くんは不器用ツンデレだと可愛い。

どこの学校もそうですがみんな大家族で可愛いですよね!書いていて楽しかったです!

さぐも様、リクエストありがとうございました!





※財前くんネットしてるし縦読みしそう


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