密告により捕まった私は藤田に大量の宿題を課された。現実とはいかに非情か。

そして、藤田は生徒会室で宿題を仕上げて帰るよう言ってきやがった……おい目の前にジャイアンがいるんだぞ?泣いて悔しがっていたらジャイアンがなぜか宿題を手伝ってくれた。
曰く「泣きすぎで煩いから」だそうな。
そう言いながら教えるなんて意外と良いやつだった。終始踏ん反り返っていて、教えるというよりは指図だったけども。

更にジャイアンは「数学くらいこれから俺が見てやる」と言ってくれた。流石に悪いと断ろうとしたが、一度言ったら絶対に曲げないらしい性格らしく結局はやめた。

改めてジャイアンにお礼しないとなあと思いながら家に帰宅し、兄ちゃんを一発ぶん殴った。理由?ワトソン君のことだ。




「何や跡部、最近良いことでもあったんか?」
「はっ!俺様が上機嫌だと?理由を知りたいのか?」

理由を聞いてくれと言わんばかりに跡部がチラチラと俺を見る……何や聞かんかったら良かった気がする。

「面白い女を見つけた」
「おもろい女なあ」

女=雌猫みたいな定義をたてとる跡部にしては珍しいことを言うとる。それだけおもろいということや。

「で?どんな子?脚キレイなら俺はええで」
「てめーは脚しか見てねぇのか。脚は知らねえが……校舎裏でハヤブサを飼ってるような女だ」
「なんでハヤブサやねん!?」

いつか跡部に『校舎裏で野良猫を可愛がってる女子は可愛いもんや萌えや』とか言った気がするんやけど……まさか跡部は猛禽類を飼う女子に萌えるんか?せやったらお前もかなりおもろいと思うで。

「そのハヤブサ飼っとる女子は名前なんていうん?」
「みょうじなまえ。宍戸とジローのクラスにいたはずだ。知り合いかまでは知らねえが……まあ俺様の方が仲は良いがな!ハーッハッハッ!」

突然腕を組んで高笑いする跡部。
そのみょうじさんと仲良くなれてそんなに嬉しいんか。
マジレスすると跡部は友達少ない方やからな。

「俺も仲良うしたいわみょうじさん」
「……あーん?」

跡部は俺をギロリと睨みつける。
なんや、友達っちゅーか本気やん。

「忍足……みょうじに数学を教える権利は譲らねえ」
「何のことやねん」


2016/08/27修正
前回の話の続きを番外編で出すことにしたので短くしました。
友達少なめの跡部は単に珍獣発見して嬉しがってるだけです。
名前変換少なくてごめんなさい。
番外編すぐ上がると思いまする。

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