「いやぁ、跡部が言ってた臨時マネージャーってなまえだったんだね。教えてくれたら良かったのに」
「実は私も今日知ったんだって」

タカさんの超威力の球を食らって一時は死ぬかと思ったけど大丈夫だった。人間気合さえあればどうにでもなるようだ。

「さっきからチラチラどこかを見てるけど」
「あっ、いやぁ……そのぉ……」
「ああ、手塚が気になるのか。なまえが好きそうなタイプだよね」
「タカさんそれっ!」
「ごめんごめん」

今手塚って言った。
そう、目覚めた時から視界に入ってるこの人手塚さんじゃね?と思っていたわけだがどうやらそうらしい。相変わらず手塚さんはカッコ良かった。直視とかそんなんできない。

「やはりみょうじさんか?」
「!」
「手塚、まさかとは思っていたけど知り合い?」
「ああ。以前公民館でな」
「なんだ、そうだったのか」

久しぶりだなと手塚さん……中学生だったのね。手塚くんと呼ぼう……その手塚くんがまさか私を覚えていてくれたなんて。私なんて途中逃げ出したというのに!

「ててて手塚くん……私のこと覚えててくれたなんて!」
「もちろんだ」
「ええー!て、手塚部長に女子の知り合いがいたなんて!」
「貴重なデータが取れたな」
「明日台風が来るにゃ……」
「明日は室内練習っすね」

手塚くんには聞こえてるだろうに、良くも悪くも無表情。部長は大変だね。白石くんもだし、跡部くんもだし。その中でもやっぱり幸村くんは悠々自適で異色の存在だなぁ。

「みんな、紹介するよ。手塚は知ってるみたいだけど、俺の幼馴染のみょうじなまえ。こう見えてあの亜久津を手懐けちゃうくらいすごい子なんだ」
「亜久津を手懐けるって……最早猛獣使いみたいだなあ」

……こう見るとテニス部ってキャラクターが濃いね。私をすごいなぁって目で見ている彼はタマゴみたいな髪型してる。ちーちゃんとがっくんを超えるインパクトだ。
あと背の高いメガネの彼から変な視線を感じてならない。メガネとかタイプではあるんだけども……なんか……。

「へぇ……アンタがアイツをね」
「あ、もしかしてこのちっちゃい子があっくんに殴りこまれた子だったりする?」
「そう。本当に亜久津の奴……」
「ごめんね〜。あっくん悪い奴じゃないんだよ。ああ見えてモンブランに煩くてポケモン映画で鼻啜っちゃうような良いヤンキーだから」
「……こんな人に手懐けられるなんてまだまだだね」

一年生らしき帽子少年の名前を資料で確認すると『越前リョーマ』と書かれている。
写真右上に『俺様大注目』と印が。跡部くん、私そんな情報いらんし……。


「この前なんて電話掛けたら『あっくんなら私の隣で寝てるよ』なんて言うんだよ。びっくりしたなあ」
「け、結構やるにゃー!」
「ちょっとバカそうなんすけどそういう猛獣使いなのか」
「おい桃城!流石に失礼だろうが!」
「やめろタカさん!明らかに誤解を招いてるから!」
「確かななまえにイタズラされたって亜久津が怒ってたんだけど」
「性的にゃ?」
「違うわ!お腹に油性ペンで白菜と猫踏んじゃったの楽譜描いただけだし!」
「迷惑極まりないっすね!」

このツンツン頭の彼は私をおちょくってるようだ。あと猫テープの彼(……はあざといから許したくなるけど)。
ちょっと顔を赤くして注意してるバンダナの彼を見習え!

「ああ、思い出した。君のことどこかで見たことあると思ったら……」
「不二とも知り合いなの?」
「ううん?知らないよ」
「僕が一方的に知ってるだけさ。みょうじなまえさんだよね?会えて光栄だよ」

糸目美人さんが私に握手を求めてくる。おどおどしつつその手を取ると彼はふっと笑った。

「私のこと知ってるの?」
「学生間では有名なピアニストだからね。君の演奏を一度だけ聞いたことがあるんだ……素晴らしかったよ」
「やはりそうなのか。流石に只者ではないと思っていたが」
「みょうじなまえ……氷帝学園中3年D組。ピアノだけでなく作曲の才能もあり日本クラシック界では天才と一目置かれている。しかし、自身の尊敬するエリック・サティが異端児と称されたのと同じくして奇行が激しいため別の意味でも一目置かれている」
「……すっごい既視感ある」
「蓮二のことだろう。俺の幼馴染だからな」
「データマン一族……」

氷帝にはいないからちょっと新鮮だよ。
四天宝寺にはいるのかな?データマン。

「不二も青学の天才って呼ばれてるんだよ」
「へぇ〜」

不二くんはそんなにイケメンで天才だったら女の子が放って置かないだろうね。私もこれで美しささえ付属されれば男の子にチヤホヤされたかな?

「そうなんだ。まあ私がどんなに天才って呼ばれててもこの小説内では全く発揮されることはないんだよ」
「クス、それは僕も一緒だよ」
「そういう世界観をクラッシュする発言は辞めた方がいいよ」

タマゴくんはいいとして不二くんから幸村くんと同じ空気を感じたのは気のせい気のせい。


2016/9/16修正
長くなりそうなので中途半端に切りました。
いかんせん人を一気に出すととんでもないことになるのでこれから個別に触れ合っていくぜ。
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