私は友達が少ない。

こんなタイトルで自伝を書けるかもしれないと数少ない友人に言ったら「タイトルが既にパクリに近い」と言われた。
そんな名前のライトノベル…ラノベがあるらしい。
私はラノベを読まないので全く知らないんだが……。

まあ、そんなこんなで私には友達が少ない。
なぜ増えないかを同じく友人に相談する。
あっ、ごめんねアニメ見てる邪魔して!謝るからほんとそんな嫌そうな顔しないで!

「なまえ……あんた人の名前を覚えることから始めなさいよ」
「クールな意見をありがとう友よ。それは前向きに検討する方向でいくよ」
「二枚舌の政治家なのあんた?」

人の名前だけは本当に覚えられないのだ。仕方なかろう。
無理なものは無理だ。大人になってからやろう。

「ねえ?覚えられないもんね?王ドラくん」
「だから王ドラってなんだ!?俺は宍戸だ宍戸!」

隣にいた王ドラこと宍戸くんに振ると鋭いツッコミを返してきた。結構早業だったぞ!
というか宍戸くん……

「え、王ドラ分からないって言うから、この前ザ☆ドラえもんズ おかしなお菓子なオカシナナ?のDVD貸したじゃん」
「……全部見てねぇんだよ」

部活が忙しかったんだよ……と言いながら目を逸らす宍戸くん。
なんだか口ごもっている。


「宍戸くん……まさか!同時収録のび太の結婚前夜を見て号泣したんだな!?号泣して続きが見れなかったんだね!?分かる!分かるぞ!」
「くっ!激ダサだぜ……あれぐらいで涙するなんて」
「いいんだよ王ドラくん。みんな泣くよ、あれは……」
「どさくさの王ドラ呼びやめろよな」
「のび太の結婚前夜が泣けるの気を抜いたら名前忘れちゃうのも仕方ないじゃん……」
「後者はもっと努力しろよ」

のび太の結婚前夜を思い出してか、はたまた王ド……宍戸くんが辛辣なせいなのか、目から汗が。

「A〜宍戸ばっかりズルいC〜!なまえちゃん俺にもドラえもん貸してよ」
「ちょ、重っ!重い重い!」

突然背後から何かが覆いかぶさってきた……というより私にしがみついておる。

「ちょっと!シエスタくん!重い!子泣きジジイみたいなことやめようぜ!まだ若いんだから!」
「貸して貸して貸して〜」
「おう!分かった!貸す!から!どいて!」
「ついでになまえちゃんのチロルチョコも貰ったC」
「え?事後報告なの?」
「ジロー、みょうじ困ってんだろ。ほどほどにしとけよ」
「もう注意しても遅いよ!」

藪蛇に子泣きジジイと化したシエスタくん…確かジローくんだ。
宍戸くんが言っても遅く、彼によって私の今日のおやつは駆逐された後だった。
今度からジローくんとの間にウォール・マリアを建築することにするぜ。

「ねぇ、なまえ」
「くっそおおぉ!チロルチョコが……うん?」
「最近友達増えたよね」

スーパードライな友人が興味津々とばかりに私に言った。

2016/08/27修正


※王ドラ(わんどら)とは
中国にいる猫型ロボット。
女性が苦手な純情ボーイ。
なんとCV綾◯レイ。

[ ]