「へー、ジローちゃんのお友達なんだね」
「うんうん！丸井くんマジすげーんだC！」

ジローくんが見つけたのはお友達だったらしい。何がスゲーのかは全く分からない。

「ジローくん、こいつ結局彼女なの？」
「うん！」
「！？」
「へえー」

馴れ馴れしい丸井くんに少々カチンときたのもジローちゃんの衝撃発言にふっとんだ。

「ちょ、ジローちゃん！嘘はいかん嘘は！」
「嘘じゃないC〜。俺なまえちゃん好きだから大丈夫だC」
「いや、嬉しいんですが、大丈夫だいじょばないの問題ではなくてですね！」

キラキラした目は、「面白いもんね！」と言っている。それは主に君たちの周りに巻き込まれてしまうからそう見えるだけだと思うよ。跡部くんとか忍足くんとかさ……。

「ははは……ジローちゃん、その好きは違うよ……」
「……結局彼女じゃないんだろぃ。
それで、名前は？」

この丸井とかいうやつマイペースだな。

「山田花子です」
「ジロくん？こいつ何なの？」
「なまえちゃんスゲー面白いでしょ！」
「いや、スゲーむかつく」

なまえちゃんも丸井くんに意地悪しないで〜と大天使にせがまれた。ここは大天使に免じて恩赦を授けよう。

「みょうじなまえだよ。ジローちゃんと同じクラスなんだ」
「へぇー」

へぇーじゃねーよ！お前は自己紹介しないのかよ！

「なまえちゃん、丸井くんだよ」
「丸井くんね。そうだったそうだった」
「それで丸井くんこんなとこで何してるの〜？」
「ここのケーキバイキングが美味しそうでさ〜。ついつい立ち止まったんだよね」
「そうなの！？」

もしかして、こ、この流れは……丸井くんをケーキバイキングに誘うアレ……

「なまえちゃんがねー！ここのケーキバイキングの割引券持っててさ！誘ってくれたんだC！丸井くんも一緒に行こうよ！」

もしかしなくてもそうだったー！

「おっ、マジかよ！可愛いし気が利くしいい奴だなみょうじちゃん！」
「調子いい奴だな！？」
「なまえちゃんいいでしょ〜？」
「なまえちゃんいいだろぃ？」
「くそ、ジローちゃんの為だかんな！」

丸井くんも割とあざとい。むかつくしジローちゃんの足元にも及ばないけどさ！



「丸井くん食べすぎじゃね？」

丸井くんはケーキバイキングを片っ端から制覇していく。ショートケーキ、チーズケーキ、モンブラン、フルーツタルト、カスタードプリンなどなど。最終的にはクロカンブッシュを丸々皿ごと持ってきていた。

「ん？みょうじ全然食ってねーじゃん」
「本当だー！なまえちゃんどうしちゃったの？」
「（誰かさんの食べっぷりで）お腹いっぱいでさぁ」
「いらないなら俺にくれよぃ」
「あああ！人の苺タルトをよくもぉお！」
「いらないって言ったろぃ。それにみょうじにはその極彩色カラフルパンケーキがあるじゃん」

『よくそんなの食うな』と言われたけど、こっちからしたら『よくそんなに食うな』だ。むぐむぐほっぺたをハムスターみたいにして食べてる丸井くん。
ああ、その頬袋、更にはブラックホールの胃袋に私の苺タルトが消えてゆく。


「くううう……ぐす……ん？」
「なまえちゃん？」


机の上にある三角POP。レストランなんかでメニューが貼ってあるあれだが、ここのケーキ屋さんには心理テストが貼ってある。

「こういうの小学生でもやったなぁー。『恋人からあなたをイメージしたケーキを贈られました。さてベースの味は何でしょう？』」
「なまえちゃんは塩飴！」
「ケーキだからねジローちゃん。4つ選択肢もあるからね。チーズとレモンとシンプルな生クリームとチョコ」
「みょうじはあれだな、ピスタチオ系だ」
「話聞いてますか？そんなのないぞ！それにピスタチオ系って何ぞ」
「ピスタチオとラズベリーのマカロン最高だな」

……もはや何も言うまい。

「でもね、なまえちゃんってこれのどれでもないなぁー」
「そうなの？でもさっき塩飴って？」
「だっていつもなまえちゃん塩飴くれるC。でもケーキとなると、なまえちゃんはねー、なんていうか、ここにあるぜーんぶのケーキを混ぜてなまえちゃんのイメージにならないC」
「うっわ。全部混ぜたら流石にまずそー」
「君の胃袋の中は今一緒くたでしょ」

気持ち悪いこと言うなよ！と文句を言う丸井くんは無視する。

「でもとっても不思議な味がするとっても美味Cケーキだよ！世界に一つしかなくってさ！」

ジローちゃんはにっこりと笑いかけてくれた。

「なまえちゃんはそこがステキだC！」

再確認、ジローちゃんは大天使である。人生でこんなに内面について褒められたのは初めてな気がする。
やはり神様は私に祝福を与えたもうたのか。
今年のみょうじなまえ、ツイてる。


「きゅん」
「きゅんって口で言うなよな。折角のジローくんの同情を台無しにすんなよ」
「今ジローちゃんの素晴らしい台詞を台無しにした丸井くんには絶望した」
「ま、要はみょうじが面白い奴だっつーのは何となく分かったけど」
「それ何一つ分かってないよ。ジローちゃん見習えよ」
「さっすが丸井くーん！わかってるC！」
「えっ」
「だろぃ？」


…ジローちゃんは天使なの悪魔なの？どっちなの？
あ、丸井くんは悪魔に内定してますよ。
おめでとうございます。




2016/9/7修正

丸井くんとの絡みが少ない気がする。

追記
学プリの丸井くんのストーリーにケーキ占いありましたね！
結構メタッてて笑った。
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