「跡部くんお誕生日おめでとうなわけだけど誕生日プレゼント要らないよね。そんなにいっぱい貰ってるんだから」
「お前知らなかっただけだろ」

毎年10月4日は学校中が煩いなぁとは思っていたけど跡部くんのお誕生日だったとは。
私は生徒会室で沢山のプレゼントに囲まれている跡部くんを見てちょっと羨ましくなった。
私なんて去年の誕生日プレゼント何だったと思う?みんな揃いもそろって適当なものばっかり寄越して。特にあっくんとがっくん。
語感が似てる二人はそれぞれライターと納豆をくれた。どちらもイトー○ーカドーのレジ袋とか舐めてんの?

それに比べて跡部くんなんなの?
私の足元のプレゼントの包装グッチじゃないですかね?


「てめーから何か貰えるなんて期待してないから安心しろ」
「何それ」
「あーん?」


ちょっとカチンときた。
くっそおおお!ちょっと私が誕生日を知らなかったからってそんな態度取って許せない!


「私だって跡部くんにプレゼントしてあげるよ!」
「ほう、珍しいじゃねーの。塩飴は無しだぞ」
「えっ」
「あーん?」
「…」
「みょうじ」
「…そんなわけないじゃん」

跡部くんの視線が疑念を含んだものになる。
やばい。だって跡部くん塩飴お気に入りだったじゃん…こんな時ばかり私に高望みしやがって。これなら何も求められない方が良かった。後悔。

「因みにテニス部の人からは何貰ったの?がっくんとかがっくんとかがっくんとかから何貰ったの?」
「向日は去年と同じだ。羽根のアクセサリーだった」
「私には去年納豆だったくせに!?」


なぜ私には納豆だったんだ。
美味しく頂きましたけどね。
しかし早くプレゼントの代替案を考えなければ。跡部くんがじっとこっちを見ている…。

あっ、そうだその手が。


「このみょうじなまえが跡部様に相応しいバースデーソングを作曲してご覧にいれましょう!」
「…みょうじにしては真面目に考えたな」
「うん。タイトルは『HAPPY BIRTHDAY TO ATOBE 2014ver.』どう!?」
「捻りも何もねーな!まあ悪くねえ…」
「じゃあ早速音楽室に行こうじゃないか」
「ただしタイトルは俺様が決める」
「えー…いいじゃん『HAPPY BIRTHDAY TO ATOBE 2014ver.』」
「単純すぎるのはつまらねえからな。決まったらさっさと音楽室に行くぞ」
「へーい」

私は跡部くんと生徒会室を出た。生徒会室外の廊下にもプレゼントが山積みされている。
自分の前を歩く跡部くんの通り道を邪魔するようなプレゼントは一つもないのが、よく訓練されてるなあと思う。

「みょうじ」
「ん?」
「『HAPPY BIRTHDAY TO ATOBE 2014ver.』ってことは2015ver.もあるってことだよなぁ?」
「跡部くん自分でタイトル決めるんじゃなかったっけ?」
「俺様がそんな返事を所望しているとでも?」
「はいはーい。来年も作りますぅー」

2015verを作るのも別に悪い気はしない。
もしかしたら私も随分訓練されてるのかも。
ただその上から目線にちょっと歯向かいたいので『HAPPY BIRTHDAY TO ATOBE 2014ver(仮題)』は演歌調にしてやる。

そう考えるとちょっとワクワクしてきたので私は跡部くんの前を追い越して歩き出した。

あっ、2015verはマンボっぽくするよ跡部くん。



2014.10.04
跡部様ぁぁぁぁお誕生日おめでとうございますぁぁぁぁあ!



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