「仕掛け人のなまえです。現在まだ日も登ってない早朝ってかほぼ深夜ですが……今から氷帝学園テニス部のレギュラー陣に一人ずつ寝起きドッキリを仕掛けようと思います。私一人じゃつまらんので本日は青学からゲストをお二方、お呼びしています……おひと方は青学のジャックナイフこと桃缶さんです!」

「桃缶じゃないっすよ!半分しか合ってないっす。みょうじさん、それわざとすか?」
「ごめんごめん鯖缶くん」
「最早形も残ってねぇ」

「もうひと方は青学のおニャン子クラブ海堂くんです!」
「何すかその言い方……」
「にゃんこ好きじゃん」
「言い返す気も起きねえ」

「この三人で氷帝男子テニス部を恐怖のどん底に突き落として行きまーす!」
「ホラー映画かよ!」
「(帰りてぇ……)」


【鳳の場合】

「最初はマイスゥイート鳳長太郎くんから。チョタくんの寝顔をこのハンディカムにおさめちゃうのだ!」
「まさかそれが狙いすか!?」
「それだけじゃないぞ!」
「それも狙いなのか……。それで、どうやって起こすんすか?」
「一人にこの宍戸お面を被って貰います」
「宍戸お面!?」

「それで私がチョタくんを思いっきり起こした直後に、私と宍戸(仮)くんが婚約宣言をします。寝ぼけたチョタくんが婚約宣言を聞いて果たしてどんな反応をするのか!?」
「で、俺とマムシのどちらかが宍戸さんになりきればいいんすね?」
「そうそう、もう一人は撮影ね」

「マムシ、ほらよ。宍戸お面。俺が撮影だ」
「あぁん!?何で俺が!?」
「俺はやりたくねーからお前がやれよ!」
「俺だってやりたくねーよ!」

「何それ私が嫁じゃ不満なの?ったくもう……そうだな、二人のどっちが宍戸くんの身長に近いかな?」
「そんなこと言ったって俺たち大体同じくらいなんすよ!」
「そうっすよ!」

「宍戸くんは172cmだけど」
「俺は170cm!」
「173cmだ……!?くそっ!たった1cmの違いでこんな役!」
「私の心中複雑……」

「おはようございまーす……」
「すー……」
「おお、すやすや眠っておる!宍戸(仮)くん準備できた!?」

「フシュー……」
「マムシ!負のオーラを引っ込めろ!」
「じゃあはい、私と腕組んで」
「はぁ……」
「そこフシューじゃないの!?まあいいや、はいじゃあクラッカー持って。せーのでクラッカー鳴らして起こすよ。後は打ち合わせ通り。いくよ、せーのっ!」

パァンパァン!

「っうわぁぁぁ!?」
「おはようチョタくん!」
「お、おはよう、ちょ、長太郎!」
「なまえさん!?と、し、宍戸さん?うーん……」

「寝起きで悪いんだけどね、チョタくんに報告があります!」
「ほ、報告……?何が何だか……寝起きで……」
「本日付で私と宍戸くんは婚約しました!」
「こ、これからも!お、俺たちをよろしくだぜ!」
「……」
「お、鳳?」
「おーいチョタくん?」
「……」

「マムシの演技が下手すぎてドン引きしてるぜ」
「あぁ!?俺のせいだっていうのかよ!?」
「俺たちをよろしくだぜ!はない」
「みょうじさんまで!?」

「ん?チョタくんの様子が……!」
「お……」
「お?」
「そ、そんなっ!俺は、俺は一体どっちに嫉妬すればいいんです!?」
「えっ」

「なまえさんと宍戸さん……幸せになって欲しいのに、二人とも祝福する気になれない……どうして……っ!」
「みょうじ先輩、これガチでマズいことしちまったんじゃないすか」
「一発目にこんな悲惨な結果を招いてしまうとは……」

「とりあえずこれ外します」
「チョタくんチョタくん、ごめんね!」
「なまえさん?」
「これ宍戸くんじゃなくて海堂くんなの」
「悪い、鳳。みょうじ先輩がどうしてもって言うから」
「海堂となまえさんが!?」

「何とか誤解が解け……」
「どうしてもってなまえさんからプロポーズしたんですか!?そんな、二人が結婚!?」
「てねえ!」

「宍戸さんならいざ知らず……海堂!?海堂!なまえさんと結婚なんて俺は許さないよ!」
「鳳落ち着け!誤解だ!」
「そうだよチョタくん!私は海堂くんみたいな男子と結婚なんて歓迎だけども!」
「歓迎!?」
「ちょっと!みょうじ先輩はそれ以上喋らないでください!」


【向日の場合】

「純粋な男の子の誤解を解くのは大変だな……」
「アンタが口出す度に話がどんどんこじれてましたよ」
「いや〜それほどでも」
「全然誉めてないっす。それで次は誰いきます?」

「次はがっくんかな!」
「向日さんっすか!そりゃ期待できそうだぜ!」
「それで起こし方はどうするんすか?」
「がっくんの口の中にワサビをぶち込む」
「えげつねえええ!」
「それを笑顔で言うみょうじさんもヤベェ……」

「もちろん最後の良心でバケツ一杯の水も用意しといてあげたよ。本当は乾汁にしたかったけど死体蹴りのようなマネはしたくないもん」
「もっと恐ろしいこと考えてたんすか……」
「な、何でそんなキツいのを!?」
「2年の野外学習の時に寝ている私のお口に辛子をぶち込んだ向日岳人を許すな!はいじゃあ次は桃缶くんバケツ持って」
「やられてたのかよ!」


「おはようございまーす……」
「ぐー……」
「くくく……よく眠っておるわ。しかもお口をこんなに開けて」
「新手の犯罪だ……」
「復讐はいけねーな、いけねーよ」
「復讐とは自分の運命への決着を付けるためにあるッ!」
「こんな兄貴は嫌っす!」
「いくぜ!ワサビ開☆放!」

「あがああああああああああ!なんだこれえ!?ぐはっ!?みっ、水水水水水水!」
「向日さんこっち!水水!」
「あああああ!」

「ふはははは!ざまあみろがっくんめ!私の口の中に特売80円の辛子をぶち込みやがって!」
「なまえ……お前、そんな昔のことを!」
「聞いて驚け!がっくんのお口の中のワサビは賞味期限が近くて40円で投げ売りされていたワサビなのだ!ふははは!」
「何すかそのワサビ自慢」
「クソクソ……!覚えてろよッ……!!うええええ……」

「こうして負の連鎖が続いていくのか……」
「みょうじさん、次タバスコあたりを突っ込まれないよう注意してくださいよ〜……って聞いちゃいねえ」
「アーッハッハッ!」


【忍足の場合】

「ふーっ!復讐完了してすっきり!」
「次は誰行きます?」
「次はね、忍足くん!」
「忍足さんっすか〜。全く想像つかねーな」

「スネイプ先生並みの閉心術の使い手な忍足くんには無防備な寝起きであることを利用して精神的ダメージを与えたいよね!」
「みょうじさんは普段から与えてるんじゃないんすか」
「もっと決定的なダメージを与えたいの!よって次の作戦は……がっくんの部屋からこっそり押収した納豆を忍足くんのお口にぶち込む!」
「おいおいさっきとあんま変わんねえじゃねーか!」
「つーか結局向日さんを徹底攻撃してんじゃないすか!」
「二人も寝てる間に口に辛子を注ぎ込まれれば私の気持ちが分かるよ」


「おはようございまーす」
「んん……っ」
「寝息までエロい男め……チッ!しかも口が開いてない!海堂くん、開口よろしく!」
「何で俺が……!」

「あ、でも鼻に突っ込んでもいいかもしれない」
「あんまり惨いことするのはやめたがいいっすよ、今更だけど」


「さーあ忍足くん!普通の納豆小粒納豆挽き割り納豆……」
「むぐ……!?」
「ぜーんぶミックスした特製納豆を食らえ!」
「それミックスする必要があるのか!?」

「げほっ!げほっ!何やこれっ……!?」
「納豆」
「なまえちゃん?海堂、桃城……?ここで何しと……って納豆!?げほっ!マズッ!ちょお、誰か水!水持ってへんか!?」
「一本200円でお安くしときますで旦那」
「高いわアホ!ちょっ、ほんまに水、なまえちゃんどいてくれや!桃城!お前も何一緒になって俺を抑え込んどるねん!」
「いやスゲー面白くて」
「退いて欲しいなら500円」
「だから高いわ!」

「私と桃城くん二人に退いて欲しいなら本来1000円のところを850円!水もセットなら1050円になります!」
「商売始めるんやない!ちゅーか水も安くせいや!」
「忍足さん思ったより楽しそうっすね」

[ ]
×*×