ちびたか!5



次の授業も高尾は暇です。

暇過ぎて宮地さんのノートの上をゴロゴロしていました。

「高尾やめろ。 潰すぞ」

宮地さんの言葉も気にせず、高尾はゴロゴロし続けます。

小さくなった高尾は、暇潰しでとるノートも無ければ、高三の授業なのでやってる内容もわかりません。

「勉強? 何ソレ食えるんすかー?」

尚も高尾はゴロゴロしながら言い放ちます。

暇過ぎる高尾は、宮地さんに構って欲しくてわざとノートの上でゴロゴロしていましたが、鈍感な宮地さんはそんな事気付きません。

「おい……」

ゴロゴロするのを止めそうにないと悟ったのか、宮地さんは高尾を呼びます。

「なんすか?」

漸く宮地さんに呼ばれ、高尾はゴロゴロするのを止めると、キラキラした目で宮地さんを見上げます。

「これで絵でも書いてろよ」

そう言って宮地さんはシャーペンの芯を折ると、高尾に渡しました。

高尾は宮地さんにシャーペンの芯を貰うと、暫く考えてから宮地さんをもう一度見上げます。

「宮地さん! パラパラ漫画書いてもいっすか?」

なんだか楽しそうにそう言う高尾を見て、宮地さんはノートの端を指で軽く叩きました。

ここなら描いていいと言われ、高尾は嬉しそうに絵を書き始めます。





「……できた!」

暫くして高尾は宮地さんに完成の意を伝えます。

「宮地さーん! 見て下さい!」

ペチペチとノートの端を叩きながら楽しそうに高尾が言うので、宮地さんはさっそく高尾が描いたパラパラ漫画を読み始めました。

「…………」

高尾が描いたパラパラ漫画は、人がうん○を踏むという中学生男子が描きそうな定番のパラパラ漫画で、宮地さんは言葉が出ません。

しかし無駄にパラパラ漫画のクオリティが高く、宮地さんは高尾が授業中何をしているかが簡単に想像出来ました。

「くだらねぇ……」

宮地さんはボソッと呟きます。

「え……」

その宮地さんの言葉に、高尾はショックを受けました。

高尾の顔がみるみる青ざめていくのを見て、宮地さんはどうしたのか聞こうとした瞬間、パラパラ漫画の続きが目に入りました。

み や じ さ ん ス キ

その文字が見えた瞬間、宮地さんはくだらねぇ……と呟いた自分を轢いてやりたいと思いました。

ふるふると震えている高尾を見て、宮地さんは頭を撫でるとごめん、と呟きます。

「俺もだアホ」

宮地さんは照れたように高尾にそう言うと、黒板の方へ向いてしまいました。

それでも高尾は満足そうに笑うと、一言。

「ほんと、宮地さんってツンデレなんすから〜」

と言いました。





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