ちびたか!4「………」
ふんころがしの一件で高尾は拗ねてしまいました。
「高尾、いい加減機嫌なおせ」
机の角で体育座りをして拗ねる高尾の背中に向かって、宮地さんは呼び掛けましたが無視されてしまいます。
「お前そろそろうぜーから」
元来気が長くない宮地さんは、自分のせいで高尾が拗ねているというのにだんだんイライラしてきました。
「…………」
その言葉を聞いた高尾はすくっと立ち上がると、トテトテと机の上を歩きます。
「…………?」
そして消しゴムの前まで行くと、消しゴムを枕にして横になりました。
宮地さんは意味が分からないといった顔をしましたが、高尾はそんなこと気にせず本格的に寝始めてしまいます。
「てめ……」
宮地さんはそこで気付きました。
これでは消しゴムが使えないと。
しかし、体を丸めて眠る高尾を起こすのは良心が痛み出来ません。
「……くそっ」
宮地さんは仕方なくシャーペンについている消しゴムで授業を乗り越えようと決めました。
そしてバッグからおもむろにミニタオルを出すと、高尾にかけてあげます。
「……ん〜……」
ミニタオルが少し重かったのか、高尾は寝返りをうつと、また眠りに入りました。
その高尾の様子を見て宮地さんは少し笑うと、高尾の頭を撫でてあげます。
「……ん? ふぁ〜……」
授業も終わりの頃、消しゴムを枕にして寝ていた高尾が大きな欠伸とともに起きました。
「…………」
高尾が起きましたが、宮地さんは高尾に声をかけていいのかわからず、無言で高尾を見つめます。
「ん? どーしたんっすか〜?」
自分をずっと見つめている宮地さんの視線に気付いた高尾は、不思議そうに宮地さんを見つめました。
「お前……拗ねてなかったか?」
高尾は寝る前の記憶を辿り、思い出したのか手をぽんっと打ちます。
「そういやそんな事もありましたねー」
手を頭の後ろに置いてあはは、と高尾は笑いました。
「お前ってやっぱアホだな」
宮地さんは溜息混じりにそう言うと、高尾から消しゴムを取り上げます。
「ちょ、アホって……酷いなぁ〜」
ケタケタと笑う高尾を見て、宮地さんは何だか無性に高尾とお昼寝したいと思いました。