ちびたか!2「宮地さ〜ん」
部室から移動してる最中。
宮地さんのシャツの胸ポケットに入った高尾が、顔をひょっこり出して宮地さんの名前を呼びました。
「あんま喋んな」
「俺、宮地さんの頭に乗りたいな〜なんて……」
宮地さんの言葉を無視して高尾は話を続けます。
「はあ? お前ちょーしのんなよ」
宮地さんは眉間にしわを寄せてポケットの高尾に言いました。
「ですよね〜」
高尾はちょっと残念そうにそう言うと、ポケットの中に潜り込んでしまいました。
「はぁ……仕方ねーな」
宮地さんはポケットの中の高尾を摘み出すと、ひょいっと頭に乗せます。
「え、宮地さん?」
「あんま顔出すなよ」
宮地さんはぶっきらぼうにそう言うと、何事もなかったように前を向いて歩き出します。
「〜〜♪」
高尾はご機嫌で宮地さんの頭に乗ると、振り落とされないように宮地さんの髪の毛を掴みました。
「高尾、髪いてー」
宮地さんはそう言いますが、高尾を降ろそうとはしません。
「あ、こんな所にホクロはっけーん!」
髪の毛の中に高尾はホクロを見つけ、つんつんとホクロを突っつきました。
「うるせーよ」
宮地さんは少し恥ずかしそうにそう言います。
「(……俺、頭臭くねーかな)」
実は宮地さんは頭に高尾を乗せるのは嫌ではなかったのです。
ただ、朝練で汗をかいた後だったので、匂いが気になりました。
でも高尾が嬉しそうにしているのでまぁ、いいか。と思ってしまう宮地さんでした。