ピーチ(甘々)
「スース、何食ってるさ?」
仕事しているわしの向かいから、片肘をついた天化が話しかけた。
最近よくわしの執務室に来るのう。
「桃味の飴じゃ。周公旦の机の中にあったからがめてきたのじゃ」
口の中で転がした飴は実に美味。
こんなおいしいものを独り占めするなんて、あやつも大概ムッツリじゃのう。
「ふーん…俺っちも食べたいさ」
「む、いいぞ。なんなら天祥の分も持っていってやれ」
「いーや、これでいいさ」
ちゅ
な、何じゃ?
今何をされた?
こいつにキスされた?
「て、天化…おぬし…」
「ごちそーさん」
「こらっ!馬鹿者!」
そう言うと天化は笑って、スタスタと部屋から出ていった。
もしやわしはからかわれたのか…?
「当分出入り禁止じゃ!まったく、煙草臭くなってしまったではないか…」
袖口で口を拭ったが、その香りはなかなか消えなかった。
2011/07/18
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