嫉妬(ほのぼの)
趙公明戦後の周軍の宿営地にて。
「お待ちになって!太公望様!」
「付いてくるでない!」
「ご主人また追いかけられてるっす…」
「毎日だね!」
「どうして私の手料理食べてくださらないの!?」
「そんなグロテスクなものが入ってる料理食えるかい!」
「何とか逃げ切れたかのう…」
「よお、スース」
「おう、天化」
ビーナスから逃げている太公望が辿り着いたのは、天化がよく煙草を吸っている倉庫の一角であった。そこは太公望のサボり場でもあった。
「また追いかけられてるさね?」
「こう毎日じゃ仕事もままならんのう」
「んなこと言ってあーたサボってばっかじゃねーか」
「おぬしだって似たようなものじゃろう」
「俺っちは親父の手伝いで忙しいさ。だいたい趙公明との戦いに行って戻ってきたら、その妹が妻になってるってどういうことさ」
「実はかくかくしかじかあってだな…」
「言い訳なんて聞きたくねえさ」
「訳を聞いたのはおぬしじゃろが」
「とにかくスース女の趣味わりいさ!」
そう言うと煙草を踏み消して天化はどこかへ行ってしまった。
「何じゃ、機嫌悪いのう…」
2011/07/18
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