陽のあたる場所(ほのぼの)

「ダラダラしに来たぞ!」


そう言うなりスースは日光浴してる俺っちの足の間に座り、くつろいでしまった。
そして懐から取り出した桃を食べ始めた。俺っちを背もたれにしたまま。


ここ、神界にお客さんが来ることは稀だ。
と言ってもさっき、カバっちと武吉っちゃんが来ていたが。
今目の前にいるこの人を探しに。

「スース、あーた一体何してるさ…」


「わしか?わしはもう引退した身じゃからのう。風の旅人みたいなもんじゃよ」

「…」

そう言ってスースがヘラヘラと笑った。桃をかじるたび、フワリといい香りが漂ってきた。


仙道のいない世界を作ろうと必死だったこの人は、忙しい合間を縫ってはこんな風に俺っちのところにサボりに来ていたのだ。
今となっては懐かしい思い出だ。



そうだ、女禍との戦いのときは言えなかったが


もう一度会えたら言いたいことがあったんだ


「スース」

「んー?」

「あのときはワガママ言ってごめん…」

「何のことかのう?」

「俺っちが一人で朝歌に乗り込んだときのことさ」


「…過ぎたことは、気にしても仕方ないであろう。
それに今こうしてお主の元気な姿を見れるんじゃから問題ないわ」

「ん…サンキュ」


ありがとう、スース

もう二度とあんな辛そうな顔させねえさ。





2011/11/20

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