SS.ta | ナノ part.03
「銀ちゃん気をつけてね。」
彼女は、朝飯の片付けをしながら、微笑んだ。
俺は適当に返事をして仕事場へ向かおうと足を歩めた。
ふいに、横で桜の花びらが舞ったような気がした。
懐かしい香りとともに。
俺は振り返り、万事屋を見た。
銀ちゃん達を見送り、窓から三人の後ろ姿を見下ろしていた。
ふいに、横で桜の花びらが舞ったような気がした。
わたしの大好きな、あの懐かしい香りとともに
「晋…助……、」
ふいに言った名前に、自然と涙が零れ落ちた。
万事屋を見れば、彼女がいた。
その表情は切なげで、何より一度も見たことない「女」の顔で泣いていた。
紅潮した顔と、高鳴る鼓動と共に、妙な胸騒ぎを感じた。
この時はまだ、
胸騒ぎの意味を知る余地もなかった。
TRIANGLE
03:始まりの鐘
よみがえる彼への想い
2009.11.18
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