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17.触れる右肩





結局その日は眠れずに朝を向かえた。
私は通学路をとぼとぼ歩いていた。



「おはよう名前。どうしたの?元気ないじゃない。」

「あ…リナリーおはよう……。」



彼女は艶めいた長い黒髪をなびかせ言った。



「どうしたの?名前……。」

「ううんなんでもないの。」



こんなことで悩んでるなんて恥ずかしくて言える訳ない。
そもそも赤の他人のことを深刻に悩むなんて、ちゃんちゃらおかしい。

このことは胸の奥に閉じ込めて置こうそう思った。
アレンとも話さないだろうし大丈夫。



「という訳で席替えしたいと思いまーす。」



気分屋でマイペースな担任が突然席替えしようと言えば、クラスはもちろんざわめき始めた。
私は突然不安を抱いた。
もしも、アレンと席が隣になれば、余計に気まずくなるかもしれない。
かと言って、席変えようと他に言えば理由を聞かれるし、言い訳を考えるのが面倒臭い。
何より私はそんなことを言う勇気を持ち合わせてない。

そうやって気にしていると、やはり、アレンと隣の席になった。
調度リナリーも私の隣だから少しは気が紛れるのでよかったと思った。



「隣同士でよかったね。名前。」

「うん!あんま話さない子だと思うとチキンになっちゃったし!」



私はアレンを見ないようにずっとリナリーと話していた。



「名前……。」



授業中、アレンに話し掛けられ、一瞬背筋が凍ったような錯覚になった。
私は動揺がバレないように答えた。



「教科書忘れたんで、一緒に見ていいですか……?」

「……い、いよ。」



私達は机をつけ、教科書を境目に置いて授業に参加した。
距離は10cmもままならないくらいの距離で、私は変に緊張してしまい、時々触れる右肩が、熱を帯びたように熱くなって、授業なんてまともに受けられなかった。






2009.11.19







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