DGM.sp | ナノ
14.揺れ動く







こうして私達は恋人になった。

神田は素っ気ないけどまだアレンに未練がある私に尽くしてくれた。
私も日々それに答えようとしていた。



‐キーンコーン
カーンコーン・・・



「やぁーっと寝れる!!」
「ふふっ名前てばいつもそればっかりよね。」
「リナリー酷っ!
私の唯一の幸福の時間を馬鹿にしやがって〜!!」
「ちょカバン振り回さないでよ!」



私とリナリーがじゃれながら、校門へ向かって行ってると、女の子達が集まっていた。



「どうしたのかな?」
「さぁ・・・なんかカッコいい人でもいるんじゃないの?」
「随分興味引いて無いわね。
あ、彼氏に夢中なのね。」
「もうリナリーったら!」



そう言って校門を過ぎようとした時、誰かに腕を掴まれた。
振り返ってみると、神田がいた。



「よう・・・」
「神田っ・・・!?どうしたの?」
「バイト休みだしたまには二人で出かけてぇから迎えに来た。」



そう言って、肩を抱き寄せて来た。
女生徒の視線が痛かったけど、リナリーに言い、自転車に乗った。



「てか何処行くの?」
「・・・・・・」
「おーい神田くーん」
「海だ!!」
「えぇ!?遅くない!?寒くない!?
頭大丈夫!!??」
「お前に言われたくねぇよ!!
ムカついた本気で行ってやるよ!!」
「ちょ、そういう問題じゃないよ!
ってぎゃああああああああああ!!」



神田は、私の言葉なんか聞かず、ペダルを思い切り踏み自転車の速度を早めた。
私は涙目になりつつ秋の涼しい風と微かに吹く潮風を全身で感じた。



「あーあ、髪の毛ベトベトするやぁ。」
「でも気持ちいいだろ?」



少し勝ち誇った様に話す神田にイラッとした。



「む。ぜーんぜん。
寒いくらいだよ。」
「寒いのか?
じゃあこうするかっ!」
「え、ちょ、きゃあ!」



反抗したつもりが不意をくらい、神田は私を抱き寄せた。
その時の表情は何とも言えないくらい、勝ち誇った企んだ笑みだった。



「・・・気持ち良いね・・・・・・」
「・・・あぁ」



水平線へと墜ちて行く夕日と、静かに打つ波の音。
涼しい風と神田に抱き締められている温もりが調度良くて、私は穏やかな気分になった。
そういえばこうやって抱き締められたの初めてかも。
男の子ってこんなに体が大きいんだ・・・
神田じゃなくてアレンもきっと・・・

私はハッとなり頭を横に振った。

ダメダメッ!
アレンのことなんて忘れなきゃ!!



「どうした?」
「え!?
あの、男の子ってこんなに大きくて暖かいんだーって思って・・・ん・・・」



そんな話をしてると唇に柔らかい感触がした。



「神・・・田・・・?」
「・・ンなこと言われたらなんか勝手に体が動いて・・・」



神田は赤面していた。
そんな神田を見て私も思わず顔を真っ赤に染めた。

しばらく気まずい空気が漂った。
そんな中神田が口を開いた。



「・・・もう暗ぇし帰るか。」
「うん・・・!」



私は神田に微笑みかけ、指を絡め自転車へ向かった。





「じゃあまたね・・・」
「あぁ・・・・・・」



自宅玄関前で私達は離れたくないが故、いつまでも手を重ね指を絡めていた。



「・・・なぁ名字・・・」
「何神田・・・?」



周りが薄暗くて神田の表情がよく分からないけど、顔を赤く染めていた。



「キス・・・していいか・・・?」
「え・・・・・・」



私は思わず口を閉ざしてしまった。
先程の事が鮮明に残っていて、唯唯、顔を赤くするしかなかった。
でももどかしくて、私は小さく頷いた。
すると神田は私の顎を持ち上げ、ゆっくりと顔を近付けて来た。



―ちゅ



最初は軽いキス。
一回で終わると思ったが束の間、神田は離れてはかみ付く様な軽く甘いキスを繰り返した。
最後の長く長く長いキスが終わると、神田は私の額にキスを落として、帰って行った。
私は唇に残る生暖かい感触に鼓動を弾ませ、ゆっくりとゆっくりと眠りについた。






2009.10.22






「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -