yasumonoNIHAgotyuiwo | ナノ
「赤也、赤也っ…!!」
はんばがむしゃらに走っていた。近くのコンビニまではそう遠くない。赤也に今すぐ会いたくて、赤也が怒ってる理由を知りたくて、また赤也と笑い合いたくて。いろんな思いが混ざりあっていた。

 やっとの思いで辿り着いたコンビニは、チカチカとまぶしいくらいの照明。自動ドアを割って入ると、すぐそこに漫画を立ち読みしている赤也がいた。

「赤也…!」
「……、名前…?」

横目で私を確認した赤也は目を丸くして私を見つめた。だけどすぐに、何でここにいるんだよ、みたいな目で見てくる。

「な、何で帰ってこないの…」
無視された。赤也はまた漫画に視線を戻す。それでも私は赤也に訴え続けた。

「心配した」
「…」
「仁王先輩から聞いたよ、先輩のこと殴ったって」
「…帰れよ」
「っ…あ、赤也、あのね」
「黙れ」
「ありがとう」
「…は…?」
「私が仁王先輩に脅迫されてたって知ったから仁王先輩のこと殴ったんだよね?」

赤也は一瞬だけこちらを見た。
一瞬だけ、目が合う。
目が合って、気持ちを押さえきれなくなった。

「赤也、帰ろうよ…!」
気付けばぼろぼろと溢れてくる涙。必死になって涙を拭いながら赤也の服を引っ張り、ただただ「帰ろう」と繰り返す。みじめだ。
だけど赤也は私の腕を掴んで走り出した。コンビニを出て、深い溜め息を吐く。
「おまえ、さぁ…」
「あ、赤也、」

ぎゅうう。

「赤也、赤也…」
「ごめん」

赤也の必死そうな声が耳に響いた。赤也は私を強く抱き締めて、頭を撫でながら言葉を続ける。

「俺、今まで何回もお前に最低なことしてきて、ちょっとお前が困った時に助けたからってでかいツラしてた。それと、っあー…えっと…」
「?」
「い、一回しか言わねえけど、」
「赤也?」
「好きだ」
「……、え?」
「だからお前が仁王先輩と付き合ってるって知ったときはショックでお前に八つ当たりした。廊下でお前ら見掛けた時も、あー何だやっぱり付き合ってんのかよって思ってお前に冷たくしちまった」
「そ、んなことない」
「は?」

私は赤也の背中に腕を回して、精一杯声を振り絞る。

「あの時は…悲しくて、怖かったけど…いまは、すごく、すごく嬉しいよ…」
「!!」
「私も、赤也が好き」
「名前…」
「ねえ赤也、」

ほんとは優しい赤也なら、

「これからもずっと私のこと守ってくれるでしょ?」
「当たり前だろ、バーカ」

そうすればいつだって一緒にいられるよね。

 20121228
くっつけました。
何だか色々と吹っ切れた感がありますね…
とりあえず学園祭が終わったら完結にしようと思っています。
もう少しです。頑張ります。