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 名前が去った公園にぽつりと取り残され、溜め息を吐く。俺は何をしていたんだ、と。反省なのか後悔なのか分からない。

名前が赤也を好きで、赤也も名前を好きだと。丸井はそう言うとった。そんな丸井こそ名前を好きなんじゃないのかと問うてみれば丸井は何も答えずに首を振った。
 名前を知ったのは赤也が女と同居をし始めたという噂を耳にした時だ。その女はバスケ部で有望な二年エースらしく、赤也と似ていると感じた。

ある時は一緒に登下校をし、ある時は名前が何やら興味ありげにテニス部の練習を眺めていたり。そんな二人が気になって、つい名前に手を出した。

最初は本当に、遊びのつもりだった。
ちょっと脅して付き合って、赤也が嫉妬したところで退散するつもりで近付いた。
なのに、俺の言葉ひとつひとつに顔を赤くしたり怒ったり笑ったりする名前がひどく眩しく見えて、気付けば取り返しがつかないくらいに名前にハマっていた。


先ほど赤也に殴られた右頬がジクリと痛む。俺の罪は重かった。名前も赤也も傷付けた。最低だと自分でも思った。俺らしくはないけれど。

「…なにしとったんじゃ」
不意に溢した言葉は本心だった。
名前の焦った顔が頭に浮かぶ。赤也の事となるとあんなにも必死になるんか。

「解せんのう」

次会った時、名前はまた俺に笑いかけてくれるんじゃろうか。

「プピーナ」
ブランコをキィと鳴らして、馬鹿馬鹿しくなった俺はそのまま自宅へと帰った。

(まあせいぜい幸せになりんしゃい)


 20121228
仁王も反省。