yasumonoNIHAgotyuiwo | ナノ
※性描写有り

 ホームルームの後、教室に好きな先輩の苗字先輩が来て私を呼んだ。いつもの爽やかな笑顔で手を振る先輩に本を返そうと、私は急いで駆け寄る。先輩に本を差し出して、笑った。

「先輩!この本すっごく面白かったです」
「おー、苗字が好きそうだなって思って貸したからな。面白かったなら良かった」
「はい、ありがとうございました!」

先輩は本を手に持つと、嬉しそうに微笑んだ。私はそんな先輩を見て嬉しくなる。すると赤也が友達と一緒に騒ぎながらB組までやって来た。先輩に向けていた視線を赤也にやると、ばっちり目が合って思わず逸らす。

「苗字?どうかしたのか」
「え、あっいや何でもないです!それより先輩、今日メールしても良いですか!?」
「メール?もちろん、待ってるぜ!」

先輩の表情がまた明るくなる。私は赤くなっているであろう顔を隠すようにして、喜んだ。



放課後になるとクラスメイトは次々と教室から出ていってしまう。最終的に一人残された私は、自分の席に座って先輩にメールを打ち始める。
 メールを送信し終え、しばらくすると廊下から足音が聞こえてくる。B組の前で止まった足音に少し恐怖を感じていると、急にドアが開いた。

「…え?」
「ああ苗字さん、やっぱりここにいた」
「あ、えっと…幸村先輩、」
「覚えていてくれたんだね。苗字さんはB組だって赤也に聞いたから、まだいるかなと思って見に来たんだよ」
「え?」

疑問点はいくつかあった。
何で前は私を名前と呼んだのに、今はこんなに他人行儀なのか。そして、なぜ幸村先輩が私に会いに来たのか。
聞いていいのか、よく分からず混乱していると幸村先輩は静かな足取りでこちらへ近付いてくる。思わず腰が浮いた。いつでも逃げられるように。

「苗字さんはこんな時間まで何をしていたんだい?」
「あ…特に理由はないんですけど、何となく…帰るのが面倒で。もう少しここに居ようかなって」
「そっか、じゃあ俺と何か楽しいことでもしようか」
「…え?先輩、部活は?」
「今日は休みなんだ。顧問の用事でね」
「そうなんですか…でも私といても楽しくないですよ?」

私が首を傾げて先輩に問うた時だった。ガタンと音を立てて倒れる椅子の音と、背中に感じた鈍い痛み。ぎゅっと閉じていた目を開けると、目の前にあったのは先輩の顔だった。

「っ、え」
「苗字さん、いや名前で良いよね。俺のことは思い出してくれたかな?忘れたなんて言わせないけどね」
「え、あ、あの、幸村先輩?」
「まだ思い出せないの?俺は幸村先輩じゃなくて精ちゃんだよ」
「……せい、ちゃ…」

 視界が真っ暗になる。ああ、思い出した。この人は、精ちゃんだ。


 まだ小学生だった頃、私は公園で精ちゃんという男の子に出会った。精ちゃんの本名は知らなくて、だけど精ちゃんは私を夢中にさせたんだ。公園に行けば精ちゃんはいつもブランコに座って私を待っている。そんな精ちゃんに会いたくて、私は毎日公園に通ったけれど、いつの間にか精ちゃんは公園に来なくなった。

だけど問題はそこじゃない。
私はあの時、精ちゃんとある約束をした。

「ねえ名前、あの時の約束…覚えてるよね?」
「せ、精ちゃ、」
「大きくなったら、精ちゃんに私の全部をあげる、って…確かに俺は名前から、そう聞いたよ」
「っそ、それは…!」
「俺たちはもう大きくなったよ」
「!」

精ちゃんの瞳から、涙が零れた。重力に逆らわない涙は私の頬に落下して、滑り落ちる。本当の涙だった。綺麗な精ちゃんの顔が、悲しく歪んだ。

「精ちゃん…」
「ずっと、探してた。あの時、病気にかかった俺は公園に行けなくなって…半年後、やっと病気が治って名前に会いに行こうと公園に行っても名前はいなかった」
「わ、私…精ちゃんはもう来ないんだって思って…」
「でも、やっと会えたね。約束、叶えてもらおうか」
「待っ…精ちゃん!」

精ちゃんの大きな手のひらが、私の頬を撫でる。視界にあるのは精ちゃんだけ。誰もいない教室で精ちゃんは私にキスをした。

「っん、はあ…っ」
舌を強く吸われて、思わず全身が震える。精ちゃんは私の口内をかき回し、黒い笑顔で微笑んだ。

「可愛いな、名前。昔よりも、ずっと可愛くなったね。童顔なのは変わらないけど…ふふ、たくさん楽しもうか」

精ちゃんが私の服の中に手を入れる。水野君との事が頭にフラッシュバックして、涙が溢れた。(いやだ、こわい)

「っ、名前…?」
「やっ、怖い…精ちゃん、こわいよ…」
「…ごめん…名前が嫌がるなんて思わなかった」
「い、嫌じゃ…ないけど、精ちゃん…ごめんなさい」

私は俯いて、呟く。

「私、今…好きな人がいるの。精ちゃんとした約束は、あのときは本気だったんだろうけど…その、今の私は…精ちゃんを好きになれない」
「!…そうか…まさかこんな形でフラれるなんて思わなかったなあ」
「せ、精ちゃ…ごめんなさい、」
「ふふ、謝らなくて良いよ。だけどね、」

精ちゃんは私の腕を優しく引っ張り、その大きくなった身体で抱き締める。精ちゃんの香りは、昔と変わっていなかった。優しくて、太陽みたいな匂い。
 目を閉じると、優しくキスをされた。後頭部を捕まれて動けなくなり、優しいキスから激しいキスへと変わる。

「んン、っは、」
「今だけで、っ良いから…こうさせて」

抵抗できない。嫌だって言っても、やるつもりだ。精ちゃんはいくらか性格が悪くなったんじゃないか。そう思った結果、なんとなく精ちゃんなら良いんじゃないかという気持ちになった。

「っはぁ、あ」
「名前…可愛いよ」
舌を絡めてくる精ちゃんは、私の足を優しく撫でる。それがくすぐったくて身を捩ると、「感じてるの?」だなんて聞いてきた。必死に首を振ったが、精ちゃんはクスリと笑うだけだった。(し、信じてない…!)

「っあ、せ、精ちゃ…!これ以上は、っ駄目…だよ…!」
「駄目じゃないよ。今だけで良いから」
「っんあ、あ、ッひ…!」

耳を甘噛みされて、鳥肌が立つ。それなのに気持ち良くて、目を細めた。精ちゃんの手のひらは色んな所を触りながら、私のスカートの中に入ってくる。

「っ!?やっ、だめ!精ちゃっんああ!だ、だめ…!そこ触っちゃ駄目え!」

精ちゃんの胸を叩いて離れようとしたが、そんなの抵抗にもならなかった。そのまま背中に腕を回され、抱き締められる。真っ赤になった顔を見られないのが幸いだったが、精ちゃんは私のお尻を撫で回してきた。

「っんー!せ、精ちゃ、や、変態…!」
円を描くようなテクニック。もしかして精ちゃんは慣れているんだろうか。(いやいやいや!それはないでしょ!)
 精ちゃんはそのままパンツの中に手を入れて、秘部を撫でる。全身に稲妻が走ったような感覚に襲われ、力が抜ける。精ちゃんにもたれ掛かった私の秘部に、精ちゃんの細長い指が入り込んできた。しかし全身の力が抜けてしまった私にとって、そこまでが限界だった。

「っひ、あ、ああっんン、んーああ!」
身体が強ばって、頭が真っ白になる。目がチカチカしたと思ったら、秘部から何か液体が溢れ出てきた。

「名前、イッちゃったね」
「…っい、く…?」
「ああ分からないか。なら良いんだ。気持ちよかった?」
「…は、ずかしい…」
「ふふ。名前、俺のシャツを汚しておいて良い度胸だね」
「っえ、あ…!ご、ごめ…!」
「冗談だよ。こんなの洗えば平気だから。それより名前、一人で帰れるかい?」
「だ、大丈夫…だと、思う…」
「そうかい?なら今日はもう帰ろうか。空も暗くなってきたし、早く帰らないと危ないから」

精ちゃんが私に手を差し出す。だけど、立ち上がろうとしても足に力が入らなかった。

「っ、あれ…」
「どうしたんだい?」
「足に…力入らなくて、」
「そうか。じゃあ少し休もう。今日は送っていくよ」
「え!?わ、悪いよ…!」
「俺が送りたいんだ。良いよね?」
「っ…じゃあ、お願いします…」

すると精ちゃんは微笑んだ。私は真っ赤な顔を隠すようにして俯き、ありがとうと言う。精ちゃんはさっきとはまるで別人のように、私の頭を撫でた。

「また、俺を好きにさせてあげるよ」

20120810