bookshelf | ナノ
※性描写有り




「っんあ、あ!うっ、ンん」

 苦しそうななまえの声がうす暗い部屋に響いて、しかしそれはすぐに静寂によって消えていく。生ぬるくて溶けてしまいそうな変な空気が俺たちを包んで、べつに室温が高いわけじゃないのに汗か冷や汗か分からないそれが肌を伝った。

「やっ…も、むりっ…!きる、あ」
「ッ、はぁ…?無理?何言ってんの」
(なまえが"したい"って、言ったんじゃん)
「ぜってェ、やめないから、っ」





 年頃の俺たちは別にお互いをそういう目で見ていたわけじゃないけど、やっぱ必然とそうなってしまうものだ。部屋で二人きりになればなまえの白い肌に手を伸ばしてみたくなるし、なまえだって期待するような目で俺を見てた。それは別に年頃なんだし、悪いことじゃないんだろう。だけど俺は何となくそういう変な関係が嫌になって、どうせならちゃんとなまえに触ってみたくて、たまたま俺の部屋で二人きりになったからなまえに言った。
「あのさあ」
俺がいつもより真剣な声でそう切り出すと、なまえは少し肩を上げて「なに?」と小さい声で返した。(そういうの、が)なんか、まるで俺の理性を試してるみたいで、苛々する。

「なまえだって、そういうの興味あるんだろ」

そう言った俺に、なまえはかなり吃驚しているみたいだった。え、まじか、みたいな。たぶん図星なんだろうけど、そうやって黙られると何か俺が自意識過剰みたいで恥ずかしくなる。(くそ、早く頷けよ)

 なまえは「ちょっとだけ」と答えて、顔を真っ赤にさせた。そんな顔が可愛いとか思ったことがすげえ悔しくて、何ていうかむらむらする。いつもは友達っていう関係で話したり遊んだりしてたわけだから、急にこうやって"異性"を意識させられると心臓も理性もそう長くは持ちそうにない。

「…キルアは、したいの?」
「え?」
「だ、だから…そういうキルアだって、興味、あるんでしょ?」
「、」

てっきりなまえはこういう話を嫌がるタチだと思ってたけど、なんだ、割と乗り気じゃん。
俺はだんだん楽しくなってきて、調子に乗って「なまえはしたい?」って聞いてみたらなまえがさっき以上に顔を赤くさせて頷くから、もう止めなくていいやって思った。



 だからこうしてなまえの白い肌に舌を這わせてなまえの反応を楽しんでたわけだけど、「無理」って言われると結構傷つくしイラッてくる。

「お前、もうこんなんなってんじゃん」
「!!っや、」

下着の中に手を突っ込んでみるとそこはもうぐしょぐしょに濡れていて、温かくてぬるぬるするしすげーエロい。試しに秘所に手を滑らせてみれば甲高い声が響いた。(うわ、えっろ)
 指を一本そこに挿して少し乱暴にかき混ぜるとなまえは真っ赤な顔をぶんぶんと横に振り、焦ったような声で喘ぐ。

「んっん、あぁ、あ、やっ、きる、キルア…!!ひっンんう!」
「ははっ…おまえ、すげーえろい…」
「いっ、言わな、でよ…!」

ぐちゃぐちゃとねちっこい水音が部屋に響いて、生ぬるい空気はいつの間にか熱帯の空気へと変わっていた。俺は膝立ちでなまえに跨り、ぼろぼろと涙を零すなまえを見つめる。(すげえ、気持ちよさそうじゃん)嫌だ嫌だと言うくせに、嘘つきな奴め。

「ねえ。気持ち良いって言えよ」

膣内で暴れさせている指をいったん止めて、睨むようになまえを見た。涙で潤みまくったなまえの目を見た瞬間、今すぐにでもまた指を動かして喘がせたい気持ちが溢れてくる。だけど駄目だ、これだけは絶対、こいつの口で言わせたい。

「っそ、んな、嫌、だ…」
ぜえはあと荒い呼吸を繰り返しながら、途切れ途切れになまえがそう言う。
(…嘘つき)
俺は心の中で毒を吐き、今度は指を動かすわけではなくただ真っ直ぐに膣の奥へと指を沈めた。それはもう、かなり恨みを込めて。

「ッひ、い!!」

目を見開いて突然の快楽から耐えるなまえを見て、嘲笑ってやりたくなった。ぷるぷると身体を震わせて、今度は目をぎゅっと瞑って「や、あ、っ」と苦しそうな声を漏らす。

「どう?言う気になった?」

なまえが頷くわけもないと分かっていながら、わざとそんな質問をした。なまえは肩を上下に動かして何とも辛そうに呼吸を繰り返す。頷きも、首を振りもしない。(今度は無視かよ)こいつもこいつで辛いし気持ち良いし苦しいしで俺の言葉を聞く余裕もないのだろうが、そんなの俺には関係ない。(ってのも酷ぇ話だけど)べつに首を振るぐらいできんじゃねーの?

「……無視かよ」

さっき心の中で呟いた言葉を口にしてみれば、なまえはただ俺を見つめて「ゆ、指っ…抜い、て、」と小さな声で言った。嘘つき。本当はもっと、気持ち良くしてほしいくせに。

「――あっそ」
「ッんう!?あっ、あ、あ、ひぃっンあぁぁっ!!」

あまりにも腹が立って、子宮口をぐりぐりと擦ってやった。なまえは口端から涎を垂らして顔を真っ赤にさせる。ぐちゃぐちゃに乱れた髪とか、さっきからずっとやけどしてしまうくらい熱い膣の中にある指とか、なまえの泣き顔も真っ赤な顔も震える身体も、全部が厭らしくて卑猥で。
 さっきはあんなに苦しそうな顔してたのに、今はすっげえ気持ちよさそう。
(…可愛い、とか)
そりゃあ、俺の周りにはロクな女がいないし、そもそも俺と年が近い女なんてなまえくらいだ。だからなまえが特別に見えるのもなまえをそういう目で見るのも、別に可笑しなことではないと思ってる。思ってるけど、だけどこの気持ちは、明らかに違う。"年頃"だとかそんな言葉で片付けられる感情ではなかった。

「っきる、あ…キルア、!」
「、」

なまえがこんなに可愛いのも、なまえとこんなことして気持ち良い気分になるのも、ほんとは"年頃だから"とかそんなんじゃなくて。

「す、き」
「!」
「キルア、っ…好き、だよ」

(ずっと前から、なまえのことが好きだったから。)

「っ……俺だって、ずっと…好きだったよ、バカ」

なまえを責め立てていた指を止めて、今度は強くなまえを抱きしめる。なまえの身体は吃驚するくらい熱くて(多分俺もだろうけど)吃驚した。涙でぐしゃぐしゃになったなまえの顔に手を添えて、頬をゆっくりとなぞる。

「……気持ち良かった?」

さっきみたいな意味はなく、ただ単にそう聞いてみたらなまえは少しずつ落ち着いてきたのかゆっくりと息を吐いてから答えた。

「…すごく、気持ち良かったよ」

うっすら赤く染まった頬と、乱れた呼吸。全部が本当に心から愛おしくて、可愛くて。出会った時はなまえをこんなに好きになるなんて思ってもいなかった。きっと人生は"ありえないこと"の連鎖で出来上がっているのだと、少なくとも俺の人生はそうであると知る。
 俺の背中に腕を回して「大好き」と呟いたなまえにキスをして、柔らかい髪を撫でた。

「無理矢理して悪かった」
「大丈夫、だよ」
「…思ってないくせに」
「、だってキルアが、ほんとの気持ち教えてくれたから」
「!」

ね?と嬉しそうに笑って俺を見るなまえを、これからどうやって愛してやろうか考えた。なまえを無理矢理犯したことは俺の罪だけど、なまえにだって罪はある。



どうしてハニー
(こんなにもなまえを好きになってしまったのは他の誰でもないなまえのせいだ)



 20131028
飽きましたショボン