bookshelf | ナノ
※クロロが最低で駄目男です。性描写有り。




 誰もいない教室でただ校庭を眺めていた。運動部が楽しそうに青春をしているのを見て溜め息を吐く。高校三年生になってから進路も決まらず授業も帰宅部の仲間と一緒にサボってばかりで内申も悪い。どうしたものかと改めて頭を抱えた。直そうとは思っている。だが一度定着したサボり癖や暴れ癖はなかなか直らないものだ。
俺には好きな女がいた。物静かで優しいくせに、変なところですぐ怒ったり笑ったりする忙しい奴。そういう女は嫌いじゃないが好きでもなかったはず。だけど自然に好きになっていった。自分でも馬鹿だと思う。あいつは頭も良くて先生からの信頼も厚い。俺とは別世界の人間であり、大学なんて一緒に行けるわけがない。そんな高嶺の花を、こんな進路の時期に好きになったこと。間違ってるとは思ってた。好きな女なんて、金を持ってる奴なら誰でも良い。そんな考えだった俺があんな餓鬼を。

「…何をやってるんだ俺は……」
それは自己嫌悪に近かった。無性に苛々する。その原因は今日の昼休み。
 屋上でたまたま見てしまった。二年生の男女がキスしながら抱き合っている姿を。俺は女を壁に押し付けるように覆い被さり、女は顔を真っ赤にしながら必死な表情で男に答えていた。見て見ぬふりをしようとしたが俺は二人の顔を見た途端に動きを止める。
そこで抱き合っていたのは、帰宅部の仲間であるシャルナークと、俺の好きな女…なまえだった。

「っ、」
息を止める。まさか。視界が目眩を起こしたかのように歪む。俺は初めて絶望を知った。俺が今まで思いを寄せていた女は、すでに誰かのモノだったってわけで。しかもその"誰か"が俺の仲間。何それ、なんだよそれ。
 俺は逃げるようにして屋上を出る。さっきのなまえの顔が、頭から離れない。しかも、よりによって、シャルナーク。最悪だ。俺はその場に座り込み、壁を殴った。



思い出しただけでも吐き気がする。忘れたい。陸上部の部員がはしゃぎながら走っているのを見て、何もかもが馬鹿馬鹿しくなる。
ぎりぎりと拳を作り、窓ガラスでも割ってしまおうかと思った。俺に希望なんてない。拳を振り下ろそうとしたその時だった。

「あれ、クロロ?」
「!」
後ろから聞こえたのはなまえの声。俺はびくりと肩を震わせた。なまえは笑顔を浮かべながら俺に近づいてきた。

「どうしたの?こんな時間まで残って…」
「いや、何となくだよ」
「…珍しいね」
「そうでもないさ」

俺がなまえから目を逸らすとなまえは首を傾げて俺の顔色を伺った。
「元気ない?」
「、」
「あ。もしかしてプリンの食べ過ぎとか」
なまえはくすりと笑って俺を見る。それでも俺が無表情でなまえを見れば、なまえは肩を上げて顔を強ばらせた。

「じ、冗談だって…。顔怖いよ、クロロ」
「お前は何でこんな時間まで残ってるんだ」
「え?あ…そうだった。サトツ先生を探してるの」
見てない?と聞かれて首を振ればなまえは「そっか」と肩を下ろす。ふと、シャルナークと抱き合っていた時の顔が浮かんだ。俺は無意識になまえの腕を掴む。

「クロロ?何してるの…」
「なまえ」
ぴくりと反応したなまえの指先。
このまま俺がなまえを抱き締めたら、こいつはどうするのだろうか。抵抗した上で最低と罵られるか。それとも、…なんて。そもそも教室に男女が二人きりだという意味をこいつは理解しているのか。きっと、してないだろうな。

「…クロロ?」
信用されてるのか。それとも、そもそも俺なんて警戒するに値しない、か。

「シャルナークと、付き合ってるのか?」
「っ、え…」
なまえの目が大きく開く。なんだ図星か。答えを聞く必要もない。

「……な、何で…?」
「答えたくないなら良いよ」
「!」
冷たく返して、掴んだ腕を引っ張った。なまえは驚いたような声を出して俺の腕の中に収まる。小さくて柔らかい体。シャルナークへの謝罪の気持ちよりも、理性を保つのに精一杯だった。保つなんて出来っこないのに。

「クロロ、離して…!」
「断る」
「な、なんで…っ」
必死に逃げようとするなまえを見て、好きだと言おうとした口を強く紡ぐ。俺は、俺は何をしているんだ。こんなことをして、後々どうなるか…――

「…、」
そうだよ。
「なまえ、」
俺に未来なんてない。希望もない。
それなら派手に歪めば良い。今を好き勝手に過ごしてしまえば。

「…シャルナークが好きか?」
「は、離して…」
「答えろよ」
「っい…、!?」
ぐい。髪の毛を引っ張って無理矢理視線を合わせる。なまえの目に涙が滲んでいた。そんなのも、俺の知ったこっちゃない。
その柔らかそうな唇にキスをした。なまえの目からついに涙が溢れる。そのまま舌を突っ込んで深いキスをしてやればなまえが急に暴れて俺達は床に倒れ込んだ。

「っはぁ…、や、クロロ…!」
「抵抗したら痛い目見るぞ」
「、」
なまえがハッとして俺を見る。俺のすべてを軽蔑したような目だった。今まで良かった仲も、ちょっと犯そうとしただけで簡単に崩れる。単純な世の中を嘲笑いたい気持ちでなまえを床に組敷く。じたばたと抵抗を続けるなまえのスカートに手を突っ込んで秘部を撫で上げれば甲高い声が響いた。

「あっ、ああ、や、やだ…!」
「シャルナークなら良いのかよ」
「っ…!く、くろ、ろ」
「黙れ」
俺はなまえの膣に指入れる。なまえは快感に耐えるようにぎゅっと目を瞑った。ああ、なんだ。女はやっぱり好きな相手じゃなくても、例え嫌いな相手であっても善がるんじゃないか。こんなに顔を赤くして。

「んン、あっ、はぁ…あああっ!!」
「ここが良いのか?」
「やっんあっ!ああ、あ、んんっ」
「声、抑えろよ」
先生にばれちゃうだろ。

 ぐいぐいと奥まで指を入れて激しく動かす。ちょうどクリトリスの裏側を引っ掻いてやればなまえはあっという間に絶頂を迎えた。ぜえはあと息を荒くするなまえを見て酷く興奮する。人からモノを奪うのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。手に入った時の悦びは溜まったもんじゃない。

「っくろ…、クロロ、っ」
「力抜かないと痛いのはお前だからな」
「!?っや、やだ!やだクロロ!駄目だよ、それは…!!」
「何だよ。女なんか所詮、男なら誰でも良いんだろ」
「違う…!」
「気持ちよければ誰だって良いくせに。俺は今までそんな女しか見たことがない。お前だって同じな癖に」
醜いと、心の底から思った。なまえは、違うのに。なまえは今までの女とは違う。だから俺は本気で好きになったんだ。それなのに俺は…

「そ、んなの…貴方が見てこなかっただけよ」
「!」
なまえが目を歪ませて俺を睨む。ハッキリと、淡々と。なまえが俺に叫んだ。
「私は違う!シャルのことしか愛してない。シャル以外なんて考えられない…!貴方が今までそんな女しか見てこなかったのは貴方が汚い世界しか見てないから!!」
「っ、」
「離して。貴方なんて大嫌い」
私が知ってるクロロはもっと良い人だった、と。なまえは最後にそう言った。
視界が酷く歪む。なまえの言葉を頭で整理できなかった。ただひたすらに、大嫌いと言われたことだけがぐるぐると頭に残る。俺はがむしゃらになまえの肩を床に押し付けた。

「いっ…!」
「黙れ…黙れよ!俺の気持ちなんか知らないくせに…お前が善がってるのも事実なんだ…認めろよ、お前だって最低だろ!!」
「!!」
なまえの目が開かれる。俺は荒い呼吸をそのままに、なまえの膣に自身を突っ込んでやった。

「ぁああっ、や、うあ、シャル…シャルっ、!!」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が響く。なまえの声がだんだん大きくなり、俺は嘲笑する。空いた手で丁度良い大きさの胸を鷲掴んだ。そして形が変わるほどに揉みしだいてやればなまえの中から幾らでも愛液が流れ出る。
「し、しゃる…っやだ、あっんン、はぁ、あ、あ、あっああっ!!」
クリトリスに手を伸ばし二本の指でこねくり回す。ぬるぬるとした愛液が邪魔だったがそれでもなまえはボロボロと涙を溢れさせながらひたすらにシャルナークの名前を呼んだ。

「っ、――!!んんんっ!!」
ぎゅうう。膣の締まりが強くなり、俺はそのまま中に射精する。なまえがぐったりと床に沈み込むと同時に、閉じていた教室のドアが開いて聞きなれた声がした。

「クロロ」
怒りに満ちた声。意識を失っているなまえの頬をスルリと撫でながら開いたドアの方を見るとそこにはシャルナークが立っていた。俺は絶望さえ忘れてくすりと笑う。

「来るのが遅いぞ、王子様」
シャルナークが俺を睨む。なんて怒りに狂った目だ。お前は温厚な性格じゃなかったか?なんて。こいつが怒って当たり前のことを俺はしたんだ。それにしても馬鹿な王子様だな。

「もう少し早ければなまえは助かったのに」
そう言ってやればシャルナークがこちらに一歩ずつ近付いてくる。俺はそんなシャルナークの顔を見て嘲笑した。
 ここで一つ、馬鹿馬鹿しい王子様に良いことを教えよう。

「あんたの姫は俺の子を孕むだろうよ」

俺はもう、助からない。


 20130107