bookshelf | ナノ
※性描写有り






「っは、んン」

呼吸器が苦しいよと息を漏らす。私はただ、虚ろな目を閉じて薄く息を吐いた。…苦しい。腹部の威圧感が消えない。ぐちゃぐちゃと水のようなものが混ざり合う音が脳に響いて、吐き気がした。吐きたい…吐き、たい。と、次の瞬間いきなり高等部を掴まれて、ひゅ、と吐息が喉をかすった。

「…ん、っ叶、く ん」
「すげー可愛いよ、なまえ」

するりと撫でるようにして私の頬を滑る叶くんの手のひらがくすぐったくて、身をよじる。

「逃げんなよ」

やけに冷たい声だった。私の頬から冷たい滴が流れ落ちて、それを見た叶くんは「何で泣いてんの?」と目で訴える。

「…なまえ、なんで俺を見ないんだよ。なんでいっつも織田ばっかり見て、俺の気持ちになんて気づかないで、っ」

叶くんの目元が苦しそうに震えて、私はまた涙をあふれさせた。いつからこうなってしまったんだろう。織田くんと私はたしかに仲が良い。だけどそれは好きだとかそういうんじゃなくて、私が好きなのは…
(叶くん、なのに、)

「か、のう く」
「もう喋んな」

(好きだ、って 言いたい)
私が好きなのは、叶くんだよ?織田くんはただの友達で、私は野球部のマネージャーで、叶くんは…私の好きな人だよ。なんで、届かないんだろう。(ああ、それは私が臆病だから叶くんに気持ちを伝えられない、だけなんだ)

ぐちゃ。叶くんの細い指が、また私の奥で動き回る。

「っあ、アぁ、ひ、んっ ふ、」

声にならない声が口からぼろぼろと零れて、涙も溢れてくる。(い、たい…のに、きも、ち、良い) 私って…マゾだったっけ?痛いのに、気持ち良いだなんて。叶くんは頬を釣り上げて嬉しそうに笑う。その唇が、私の唇を食いちぎるようにしてキスをしてきた。

「ん、んンふ、ぁ」
「かわいい…可愛いぜ、なまえ」
「あ か、のう…君、んあ」

甘いリップ音が脳にこだまして、叶くんの唇が離れていく。(…織田くん、) 優しい織田くんの笑顔が脳をよぎった。

「お、だくん…織田く、ん」
「!! …っなんで、なんでまた、織田ばっかり…!」
「っヒ、ひィあ、ッ!!」

痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。叶くんの叫びと共に、叶くんの熱い下半身が思い切り私の奥をついた。(あ、ッつい、)

「ん あ、あつ、い、っ叶、く…んン!あ、っつ、いた、い…!」
「良い、ぜ…可愛いよ、なまえ、マジ可愛い、」

はあ、と叶くんの熱い吐息が頬に当たる。心地良い手のひらが、私の服の中を弄って、私はまた甲高くて気持ち悪い声を上げた

「っンあぁああ!は、あ、あ、かの、く…!!こ、声、や、だ…!」
「抑えんなよ、もっと聞かせてくれ」

ぎゅううと強く抱きしめられて、思わず声が止まる。喉がひゅうひゅうと音を立てるようにして、私は息をする。叶くんは怖いくらいに優しく笑って、「これからもっと、なまえのイイ所みつけていこうな?」だなんて笑う。その意味が私には分からなくて、思わず首を傾げれば叶くんはまた私にキスをした。

「ッん、ふう」
「……まだなまえには早い、よな。そうだよな、でも俺にこんなにされて乱れまくってんだもんな、マジで可愛いよなまえ」
「かの、うく…!もう、やだぁあ、」
「わけも分かんないままぐちゃぐちゃにされるのって、どんな気分だ?」
「ッ、う、うあ、う…っ」
「俺だけ見てれば、なまえは幸せになれんだよ。…俺が絶対幸せに、するから。だからもう、織田なんて、見るなよ」
「…!!」
「俺だけのモノにしてやるから」
「ッひア、あ、あ、あ、ンひィいい、うっ、ンンあ、…ッ!!」

叶くんが私を逃がさないように抱きしめたと同時に、膣の中に何か温かいものが注ぎ込まれて、私は口を開けたまま息を止めてその威圧感に耐える。(きも、ち、わる…苦し、い、)
温かい液体が注ぎ込まれた後、叶くんによって涙と白い液でぐちゃぐちゃにされた顔を上に向ける。すると叶くんと目が合った。

「…か、の……く ん」
「気持ち良すぎて声も出なかった、か?」
「!ち、が、」
「これからずっと、何回でもしてやるからな」
「や、やめ、や、だ…!た、すけ…ッ」
「なまえはもう俺から逃げられねえよ」
「ッん、ンんあ、っ」
「なまえ…まだイッてないよな?……すぐ、イカせてやるから」
「やだ、やだやだやだぁあ!!!」

(助けて、助けて助けて、織田くん……!!)
必死に声を絞り出しても、出てくるのは気持ち悪い声だけで。私は心も体もぐちゃぐちゃにされて、ただ叶くんの腕の中で泣き続けた。

「愛してるよ、なまえ」


 20120416