bookshelf | ナノ
「ねえなまえちゃん、僕ずっとなまえちゃんのことが大好きだったんだよ。それなのになまえちゃんはにこにこ笑いながら冗談でしょって聞き流してたよね。ううん怒ってるわけじゃないの、ただね、ちょっとだけ悔しくなっちゃった。僕は他のどんな女の人よりもなまえちゃんのほうが素敵だと思うし、他のどんなバディファイターよりもなまえちゃんのほうが何倍も強くてかっこいいと思うんだ。だから、そんななまえちゃんだったから、こんなに大好きになったんだよ。そうそう、なまえちゃんは可愛くて優しいから色んな人に好かれるよね。僕、それがすごく嫌なんだけど、そんなこと言ってたらきりがないから我慢してたの。だってなまえちゃんがもし束縛とか嫌いだったら、僕のことも嫌いになっちゃうでしょ?僕それだけは避けたくて、なまえちゃんがどんなに他の男の人と仲良くしてても我慢してきたし、なまえちゃんの好きな人になるのは僕だってずっと信じてた。いつかこの気持ちがちゃんと届いて、なまえちゃんの恋人になれる日がくるって信じてたよ。でも、でもね、たまに不安になっちゃうんだ。ましてやなまえちゃんが中等部の先輩と二人で歩いてたなんて聞いた時は頭がおかしくなっちゃうくらいヤキモチ妬いちゃった。僕よりも背が高くて、僕よりも大人っぽくて、髪も短くて、あ、そういえばあんまり笑わない人だったよね!僕あの人のこといろいろ調べたんだけど、やっぱりなまえちゃんにはたくさん笑う人のほうが似合ってるよ。仏頂面な人の隣にいて楽しい?そんなわけないよね!僕はあの人より小さいし子供っぽくて髪型も違うけど、たくさん笑えるよ。なまえちゃんのこと、たくさんたくさん笑顔にできるよ!背だってこれから伸びるかもしれないし、なまえちゃんが望むならどんな風にでも変われるから。ねえ、なまえちゃんはどんな人が好き?女の子はよく優しい人が好きって言うよね。今の僕じゃ足りないならもっともっと優しくするよ。なまえちゃんが困ってたら必ず助けるし、宿題だって代わりにやるし、なまえちゃんがやりたくないことは全部僕がやる。どんな辛いことだってなまえちゃんのためなら耐えられるんだよ。もちろん、なまえちゃんの貯金箱になら喜んでなってあげる!僕のことたくさん頼って、時にはたくさん傷付けてよ。あ、でも、ヤキモチ妬くのはあんまり好きじゃないかなぁ。僕だって男だし、それなりの欲求はあるんだからね?他の男がなまえちゃんにベタベタ触ってたりキスしてたりその先なんて、考えただけで苦しくて死んじゃいそう。でもなまえちゃんはそんなことしないって信じてるよ?純粋で、ちょっと恥ずかしがり屋で、そこがなまえちゃんのいいところだもん。僕なまえちゃんのそういう可愛いところ本当に大好きなんだ!他のどんな人よりもなまえちゃんが一番だよ!だからなまえちゃんも僕のこと好きになってほしいなぁ。そうじゃないと僕、ここで手首かき切って死んじゃうかも。だって好きな人の好きな人になれないのに生きてる意味なんてないでしょ?この息も、心臓も、僕の体も全部なまえちゃんにあげるから、せめてなまえちゃんの心だけは僕にくれないかな。大切にするよ、絶対傷付けたりなんてしない。ほら、なまえちゃんがもらってくれないと僕の全部、ごみになっちゃう。ごみは嫌がられて、捨てられて、消えちゃうの。なまえちゃんは僕がごみになってもいいの?ねえそんな青い顔しないで答えてよ。どうして泣くの?もしかしてどこか痛いの?僕がすぐに治してあげるから、ね?ゆっくり息を吸って、目を閉じて。……どう?何も見えなくなったでしょ?はい、じゃあゆっくり目を開けてね。………あはは、びっくりしちゃった?ごめんね、ごめんね、だいじょうぶだよ。怖くないよ。だって僕、痛くないし、なまえちゃんが心配してくれてすっごく嬉しいんだぁ。え?ダメだよ、血を止めたら死ねないじゃないか。なまえちゃんしっかり見ててね、僕が、君のためなら何でもできるってこと、しっかりその目に刻んでね。僕、君に嫌われるくらいなら死んだほうが幸せなんだ。だからこれで、幸せになれる。何言ってるの?君が僕を殺したんじゃない、これは僕が幸せになるために自分でしたことなんだから。泣かないで、だいじょうぶ、だいじょうぶ。謝らないで、なまえちゃん。僕は君が大好きだよ。だから、最後にひとつだけ、お願い聞いてくれるかな」



僕にキスして

20141218