bookshelf | ナノ
※性描写有り






恋人同士である私たちは、今日もまた昼休みの屋上にやってきた。フェンスの近くに並んで腰を下ろし、お互い違うものに視線を向ける。

「最近、雨降らないね」
「ああ。そうだな」

たまにぽつりぽつりと会話をして、私たちの間にはまた沈黙が流れる。それは決して居心地の悪いものではなかった。ムラクは私の視線を追うようにして空を見つめる。今日もカラッカラの晴天だ。日差しが少しだけ眩しい。
 しばらくそうして空を眺めていると、不意にムラクが私の手を優しく握った。

「!」

私は突然のことに少し驚いてムラクを見る。ムラクは私をじっと見つめて、やがてふわりと優しく笑った。そんな笑顔に私は思わず赤くなってしまい、恥ずかしくて目を逸らす。しかしムラクは気にせず指を絡ませた。ムラクの体温がじんわりと指先から伝わってくる。なんだか照れくさいけど、すごく幸せを感じた私は逸らしていた視線をまたムラクに向けた。

「む、ムラク、」
「好きだ」
「! っ……」

滅多に好きと言わないムラクの口から零れたムラクの気持ち。私の顔はきっと真っ赤になっているだろう。ドキドキと高鳴る心臓と、体中を駆け巡る緊張感。何だかとても甘い空気に全身が痺れてしまいそうだ。
 スッと私の首筋に唇を寄せたムラクが私に体重を掛ける。

「ま、待ってムラク…!」
「待てない」
耳元で聞こえたムラクのいつもより低い声に、ジンと身体の底が熱い痺れを感じた。心臓がこれでもかというくらいに音を立てる。それがムラクに聞かれてしまわないか心配で、私はぎゅっと目を瞑った。
ムラクは私の首筋に小さく口付けながらゆっくりと私のスカートの中に手を滑らす。ムラクの手袋が太股に触れた時、びくんと肩が震えた。

「っひ、うあ」
思わず漏れた声を気持ち悪く感じて口を手で押さえつける。しかしムラクはその手を掴んで引き剥がし、ノーガードになった私の唇に食い付いた。唇が重なったと同時に舌が入り込んできて私は目を丸くする。思わずムラクの胸を押し返そうとしたが離れてくれない。ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てながらムラクは私の口内を弄った。

「んう、う、っふぁ、む、むらく…ッ」

時折頬にかかるムラクの吐息はひどく熱くて、溶けてしまいそうなキスに私の指先はびりびりと電気が流れているように痺れる。
今日のムラクはいつもより余裕がないように見えた。くっついた身体から伝わってくるムラクの鼓動はすごく速くて、心なしか顔も赤い。するするとムラクの手袋の感触が太股の付け根あたりを行ったり来たりしていた。ぶるぶると身体を小さく震わす私を見て、ムラクは厭らしく笑った。いつもの優しい笑みとは違う、妖艶な笑み。私の心臓は止まってしまうんじゃないかと思うくらい跳ねた。

「なまえが可愛すぎるのが悪いんだ」
「っ、な、…!」
「…俺が満足するまで、付き合ってもらおうか」
「!む、むら――… ッひぁあ!?あっ、や、やだ、ムラクっ…!!」

私の反論を遮るようにして下着の中に入り込んだムラクの長い指が、私の秘所を撫で上げる。あまりに急な快感に全身が強張った。いつの間に手袋を外したのだろう。ムラクの指が直接私の肌に触れて、羞恥と快感で息が詰まる。
ムラクはまるで私を焦らすようにして浅く指の抜き差しを繰り返した。その度にびくびくと震えて使いものにならなくなった私の足に、ムラクは舐めるようなキスをする。ムラクの熱くねっとりした舌はなかなか私の肌から離れない。あまりの羞恥に襲われた私は生理的な涙をぼろぼろと零しながらムラクの髪を優しく掴んだ。
(ムラク、ムラク…)

「ムラクっ…!」

心の中だけで彼の名前を呼んだはずなのに無意識に口に出てしまった私の声を聞いたムラクが身体を起こして私を見つめる。

「なまえ、」
少しだけ掠れたムラクの声はこれ以上にないくらい大人っぽくて、私は何も言えずに唇を噛む。ムラクは私の頬を濡らす涙を見て、「そんなに気持ち良いか?」と言ってまた厭らしく笑った。
 悔しい。悔しいけど抵抗できない。私の身体は完全にムラクを求めてしまっていた。私がゆっくりとムラクにキスをしようとしたその時、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。私は近づけた顔を離した。

「っも、もう教室戻らなきゃ…」

しかしムラクはそれを無視して私の腕を掴み、思いきり引き寄せた。それにより強制的にムラクに抱きしめられた私は目を丸くしてムラクの背中を叩く。

「ムラク…!授業っ、始まっちゃう、よ」
「今やめるのは無理だ」
「でも、」
「なまえ」
「っ、あ、ぁあ、ひ…!」

ムラクはスカートを払いのけ、厭らしい手つきで先ほどの続きを始めようとした。そんなムラクに私は文句を言おうとしたのだが快感のあまり言葉が上手く喋れない。さっきよりも深く膣内に入り込んできた指がぐちゃぐちゃと私の中をかき回す。気持ちが良すぎて死んでしまいそうだ。はあはあと荒い息を漏らしながら私はムラクに抱きついた。その時少しだけムラクの背中に爪を立ててしまったが、それを謝る余裕すらない。
 しばらく私の膣内を弄っていたムラクの指が急に抜かれて私はびくんと大きく身体を震わせる。頭の中が真っ白になって全身の力が抜けた。ムラクに倒れかかった私を見て、ムラクが私の頭を優しく撫でる。しかしそんな優しさも束の間、今度は秘所に熱く反り返ったムラクの自身が触れた。

「っや、なに…」
「なまえ…っ、力を抜いて俺に捕まっていろ、」
「えっ あ!うぁあっ、あ、んんあ…!!」

先端がヌルリと膣内に入ってきて、あまりの圧迫感に呼吸が止まる。
半分くらい入った時、ムラクが私を気遣うように優しく背中を撫でながら「大丈夫か…?」と聞いてきた。

「っい、たい……」
「すまない…っ、もう、少しだけ…我慢してくれ」
「う、あ!あッあ、い…!!」
「っ好きだ、好きだなまえ、愛している…!」

訴えかけるようにそう言ったムラクが私の両頬に手を添えて甘ったるいキスを繰り返す。唾液でぐちゃぐちゃになった舌同士がぬるぬると絡み合って恥ずかしい。それでも私は必死にムラクの首に手を回して、離れようなんて考えなかった。
気付けば痛みも忘れてキスに夢中になっている間にムラクの自身が全て入りきったようだ。

「動く、ぞっ…」
「んぁあ、あっ、ムラク…!!」

ぎゅっと目を瞑って快感に耐える。最初はゆっくりと繰り返されていた抜き差しが、次第に速く激しいものへと変わっていった。すっかり抜けてしまった私の腰を掴んだムラクの爪が少しだけ肌を痛めたけど、それさえも快感へと変わってしまう。

「す、きっ…大好き、っムラク…!」
「っ…なまえ…!」
「あい、してるよ…っふぁああ!あ、っ、う、」

どうやらムラクも限界が近いらしく、苦しそうに快感に耐えているムラクの顔が視界に映った。(ムラク、)私はそんなムラクを心から愛しく思い、目を閉じる。あまりの幸せに脳みそが溶けてしまいそうだ。

 ムラクが今までで一番強く腰を打ちつけたと同時に私の意識は飛びそうになる。ぎゅっと膣内が締まって、それによりムラクも辛そうな声を漏らした。途端に抜かれたムラクの自身が私のお腹に精液を撒き散らす。フッと身体の力が抜けて地面に身体を預けた私の上にムラクが覆い被さった。
授業をサボってしまった上に、制服も汚れてしまった。きっと、いや、絶対先生に怒られるだろう。この幸せがいつまでも続けば良いのにと思いながらも、ゆっくりと閉じていた目を開けてムラクを見つめる。

「っ、ムラク……」
「…乱暴に、して…すまなかった」

いつもの優しい表情に戻ったムラクが申し訳なさそうな顔で私の頬を撫でた。しかし私はそんなムラクを責める気にもなれずに、だらしない笑顔で返す。

「…でも、気持ち良かった、から」
「! ……ありがとう、なまえ」
「うん…あのね、ムラク、」

今度は私がムラクの指に自分の指を絡めて、そのままキスをした。

「私はもっと、愛してるよ」

不意打ちを突かれたことにより唖然としているムラクだったが、すぐに嬉しそうな顔をして私にキスを返す。どんなお菓子よりも甘い甘いキスだった。



相思相愛プラネット



 20140131
伊織様リクエストのムラク甘裏でした。リクエストありがとうございました!
タイトルサンクス 魔女