bookshelf | ナノ
※性描写有り





「隼人、ちょっと良いかな?」

 夜。俺と同い年にしてアースイレブンのコーチである俺の恋人が、部屋に来た。

「どうしたんだ、こんな時間に」
俺はベッドに寝転んでいた体を起こし、なまえに目をやる。なまえの手には三冊のノートが握られていた。おそらく、なまえがコーチとして必要な選手のデータや情報をまとめたノートだろう。俺はベッドに腰を掛け、ぽんぽんと軽くベッドを叩く。

「とりあえずここ座れよ」

するとなまえはかしこまった顔で俺の部屋に足を踏み入れた。
 確か、なまえが俺の部屋に来るのは三回目だったと思う。(…そういえば、前に来た時もノートを持ってたんだっけ…)思い返してみれば、あの時に持っていたノートは二冊だけだった記憶がある。その前は一冊だった。

「ノート、また増えたな」
「…うん。書きたいこと書いてたら、こんなに増えちゃって」

なまえはそう言ってパラパラとノートを開く。そこには、中学二年生のコーチにしては十分すぎる量のデータや情報が書いてあった。

「で、今日はどうしたんだ?」
「あ…うん、えっとね」

途端になまえの顔が少し暗くなる。俺はどうしたのかと思い「なまえ?」と声を掛けた。するとなまえは少しだけ俯いて、今にも消えそうな声で言う。

「……これからの練習のこととか、試合のこととか、色々と相談に乗ってほしくて…」
「そういうことか。だったらいくらでも
「それと」
「…?」

俺の言葉を遮ったなまえは、少しだけ焦ったような顔で俺を見つめる。きっといつも夜遅くまでコーチとしての仕事をしてくれているのだろう、なまえのぱっちりとした大きな目の下には、その可愛らしい顔つきにはちっとも似合わない隈があった。

「…隼人に、会いたかったから」
「!」

なまえは恥ずかしそうに目を逸らし、苦笑した。俺はあまりに予想外だった言葉に目を丸くする。しかし唖然としているのも束の間、目の前にいる彼女を強く抱きしめたい衝動に襲われた。

「ご、ごめんね、急に押しかけて」
「……なまえ、」
「迷惑だったら帰るから…その、」
「なまえ」
「! っ、はや、と」

 ドサ。
俺はなまえの両手首を掴んでベッドに押し付けた。細っこい手首は少し力を加えただけで簡単に折れてしまいそうだ。貧乏なせいでろくな食事すら取れていなかった俺よりも裕福な暮らしをしていただろうに、どうしてこんなにもなまえは細くて繊細なんだろうか。
(男女の差、…か)俺はなまえの顔に自分の顔を近付けながら言う。

「キス、していいか」

するとなまえは顔を真っ赤にしてゆっくりと頷いた。それを合図に俺はなまえの唇に優しく噛み付く。なまえの柔らかい唇は、すごく気持ちが良い。
ちゅっと小さな音を立てて唇と離すと、なまえは照れ臭そうにはにかんだ。

「は、隼人」
「ん?」
「……好き」
「っ、!」
(くそ、こいつ…!)
あまりに不意打ちだったため俺まで顔を赤くしてしまう。なまえはちょっと嬉しそうに俺を見つめたままだ。俺は掴んでいた両手首から手を離し、華奢な体をぎゅっと抱きしめる。なまえの匂いに包まれて、すごく安心した。

「…俺は、大好きだ」

気付けば背中になまえの腕が回されていて、俺たちはベッドに横に倒れ込んだ状態でしばらくお互いの体温を感じていた。
「毎日こうして、一緒にいられたら良いのに」
そう零したなまえの髪が頬に掠って、少しくすぐったい。俺はなまえの髪を軽くかき混ぜながら、

「ああ、いくらでもしてやるよ」

そう言ってなまえの髪をまた梳かすように撫で下ろす。不意になまえの頬に俺の手が掠ったのか、くすぐったそうに声を漏らしたなまえに俺の理性は少しだけ壊されかけた。

「隼人、くすぐったいよ」

緩く頬を緩ませたなまえがひどく愛おしく感じて、俺は思わずなまえの首筋に舌を這わせる。ぴくん、となまえの肩が小さく揺れた。

「っや、隼人、」
小さく漏れたなまえの声すら無視してそのまま首筋に痕を付ければ、なまえはひどく恥ずかしそうに手で顔を覆う。俺はそんななまえの手をどけて唇にキスをした。

「なまえ…ちょっと、じっとしてて」
「! ……、ッひ…!?」

するりとなまえの柔らかい腹を撫でるように触れば、今度はビクンと体が大きく揺れる。
「っあ、や、やだ、ッはやと…!」
くすぐったいのか気持ち良いのか、それとも両方なのか顔を真っ赤にしたままなまえは目尻に涙を浮かべた。俺はそれに少しだけ戸惑ったものの、今更やめるなんてできるわけがない。
なまえのズボンにゆっくりと手を入れて下着の上から秘所を撫で上げた。

「あ、っんんう、う」

なまえは唇をきつく噛み締めて快感に耐えているらしい。
「なまえ、」
俺は真っ赤になった熱い頬を撫でながら、なまえの目をそっと自分の手で覆い隠す。何も見えなくなったであろうなまえは少し不安そうに「隼人」と俺の名を呼んだ。それさえも愛しくて、可愛くて。俺は崩壊寸前の理性を何とか保ちながらなまえの膣に中指を入れた。

「!!ッん〜〜、あ、あっ」

ゆるゆると指の抜き差しを繰り返すと、苦しそうな声が甘い声へと変わっていく。俺は思わず口角を少し釣り上げながらまだ少しキツいなまえの膣をかき回す。ぐちゅぐちゅと卑猥な音が聞こえてきて、もう理性を保つのは限界だった。

「ごめ、ん、なまえッ」
「っえ あ、っひぁああ!」

すでに硬く反り立った自身をなまえの膣に突っ込めば、なまえは真っ赤な顔を更に赤くして甲高い声を響かせた。ぎちぎちに締まった膣のせいで俺もすぐに絶頂を迎えそうになり、激しくピストンを繰り返す。

「んっ、あ、あッぁあああっ、も、むり…!!」

あまりの快感になまえは絶頂を迎えたらしく、俺の肩に爪を立ててぶるぶると体を震わせた。するとすぐにぐったりとベッドに沈み込み、苦しそうに肩で息をする。すぐに俺もなまえの膣から自身を抜いてなまえの腹にぶっ掛けた。

「ッは、あ…っなまえ、」
「はぁっ…は、っ…」
「好き、だ、なまえ、っ…愛して、る」

なまえの体温を確かめるように強く抱きしめながら、俺は何度もなまえへの想いを口にした。幸せすぎて、溶けてしまいそうな夜だった。
 今日のなまえはまるで瞬や雄太みたいに甘えん坊で、子供みたいで、だけど死ぬほど可愛いんだ。なまえはきっと俺たちと同じくらい、いや、俺たちよりも苦労して努力している。毎日一人一人に合った練習メニューを考えて、マネージャーや監督にも気を配って仕事をして。なまえは、コーチとしてほぼ完璧な人間だ。
それでもなまえには一つだけ欠点がある。


「私、隼人がいないと生きていけないよ」


 俺がなまえがいないと生きていけないのと同じように、なまえもまた俺がいないと生きていけないのだ。


とけるスターダスト


 20140414
七星様リクエスト 瞬木甘裏
リクエストありがとうございました!

タイトルサンクス mutti