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※近親相姦?ですので苦手な方は注意です



 おかしいことには気付いていた。こんなの私達だけだと知っていた。だけどお兄ちゃんに嫌われたくなくて、お兄ちゃんを失ったら生きてはいけないから。私はお兄ちゃんを拒むことすらできないでいた。

「なまえ、もう寝るの?」
「…うん、疲れてるから」
「一人で寝れる?」
「あはは、もう子供じゃないよ」
「そういう意味じゃなくて」
「…え?」
「なまえ」

首に触れられて、体が固まる。お兄ちゃんの白くてふわふわな髪が不意に視界に入った。私達は、普通の兄妹じゃない。昼は外で仲良し兄妹。夜は自室で性行為。なんて歪んだ、救いようのない兄妹なのだろう。
 にこりと優しく笑うお兄ちゃんに思わず一歩遠ざかった。「ど、どういう意味?」「言わなくても分かるでしょ」がしりと手を捕まれてそのままお兄ちゃんの部屋に連れ込まれた。

「今日は一緒に寝よう?」
「…お、にいちゃ
「ほらおいで」

柔らかな仕草でベッドに引っ張られた。
ぼふんと私がベッドに沈むと、お兄ちゃんは優しく私を抱き締める。二人分の体重を支えるベッドがギシリと音を立てた。

「…好きだよなまえ」
「、うん」
「なまえは女の子で、俺は男の子っていう意味、なまえ分かってる?」
「…うん」
「俺はなまえのことが女の子として好きだからね」
「わ、わたしは…、っん」

震えた唇にキスをされて、肩が揺れる。お兄ちゃんの唇は、いつだって優しい味がする。その真っ白い髪も、大切にしている十字架のネックレスも、甘ったるい声も。全てが私を追い詰めるようにして快感を与えてくる。すると、お兄ちゃんの綺麗な指がするっと太股を撫で上げた。

「っひ、ぁ」
「可愛いな、なまえ…」
そのままスルスルと指が動いて、パジャマ越しに秘所に触れる。じんわりと伝わるお兄ちゃんの指。きれいに切り揃えられた爪が陰核を引っ掻いた。

「やっ、やあ、ぁああっ!」
「布越しなのに感じてるの?厭らしいなあ」
「ち、ちが…!」
「違わないでしょ」
「っ…んん!」

今度はごしごしと陰核を擦られて息が詰まる。気持ち良いのに、苦しいほどの罪悪感。与えられる快感に必死に耐えていると、お兄ちゃんは恍惚と笑ってパジャマの中に手を忍ばせた。突然のことに腰がヒクつく。

「おにい、ちゃ…待って、!」
「なに?」

お兄ちゃんの手が止まる。私はお兄ちゃんから少しずつ距離を取りながら言った。

「やっぱり、おかしいよ…だ、駄目だよ、兄妹なのにっ…!」
「今更なに言ってるの?」
「いまさら、って…」
「この前俺がしてあげたこと覚えてない?」
「っ、」

お兄ちゃんがギシリと音を立てて身を乗り出した。そして滑らかな動きで私の腰から子宮辺りに向けて撫でる。子宮の上で手が止まって、指先で子宮を押された。「んああっ」だらしない声が出る。お兄ちゃんはゆっくりと、確かめるように呟いた。

「なまえが欲しいって言ったから、たくさん、気がすむまで俺の遺伝子をここに植え付けてあげたよね」

目の前が真っ暗になった。視界が滲む。目に涙がたくさん溜まっていた。だって、だってそれは…

「お兄ちゃんが、媚薬なんかっ、飲ませるから…!」
「俺のせい?」
「っ、」

深くキスをされる。お兄ちゃんはねっとりと舌を絡めてくる。そのキスの上手さに思わず理性を無くしそうになった。

「やっ、お兄ちゃん…!!」
「名前で呼んでよ」
「、」
「なまえ」
「…っ」

お兄ちゃんのパジャマを握り締めて、不規則な涙を流しながら、それでも必死にお兄ちゃんにすがった。

「好きだよ、なまえ。愛してる」
ただ思うのは、どうして私達が兄妹に生まれてきてしまったのかということだけ。
私達はお互いに依存しすぎたのだ。あなたがいれば生きていけると、そう信じすぎた。

「永遠なんてないけど、俺の命が終わるまで、そばにいてほしい」
「お兄ちゃ、っ…」

それなのに、私達はそんな後悔さえも許されない。お兄ちゃんが優しく笑って、私も必死に涙を拭う。せめていまだけは。何度願ったことだろう。もしかしたら明日起きたらお兄ちゃんと離れ離れになっているかもしれない。当たり前なことが、今一緒にいるという事実が、私達にとって奇跡だった。

「長太郎、」
どうせ許されないのなら、いっそあなたの手で、
「すき、だよ、…すき。あいしてる」
わたしをくるわせて。


(神様、どうか私達の罪を永遠に許さないでください)

20121231
決して許されることのない禁断の愛が大好きです。誰かが報われるのではなくて、幸せなはずの二人はきっと一生報われないのが好きです。