yubi | ナノ
「純ちゃん」


俺は、鞄を持って部室から出てきた純ちゃんに声を掛けた。すると一瞬驚いたように俺を見た純ちゃんに、俺はぎこちなく片手を上げる。

「…久しぶり」
「ああ、つーかマジで久しぶりだな」
「ごめん、無理に時間作ってもらっちゃって」
「気にすんな」

昔とあまり変わらない笑顔を見せた純ちゃんが、ふと真剣な顔で俺に問う。

「…で、話って?」
「!……」
「わざわざ千葉まで来たってことは、それなりに大事な話なんだろ?」
「…うん」