あのオタク女こと名字名前 と出会ってしまってからニ十分。やっとの思いで小野田のいる教室まで辿り着いた俺は疲れ切った表情で小野田にラブヒメのブルーレイ第二巻を手渡した。
「小野田、これ」
「あっ!観てくれた!?」
「ああ…まあ」
「良かった、明日三巻持ってくるね!」
「あ、」
「ん?どうかしたの?」
「…いや、何でもない」
名字名前 と話した後に小野田と話すと何だか同一人物と話しているような気分になる。まあしかし二人とも悪い奴じゃないのは分かるのだが、まさか高校に入ってオタクという類の知り合いが二人もできてしまうとは思ってもいなかった。
(悪くない、と言ったら嘘になるが…)
本音は、悪いくないのかもしれない。
「…なあ、小野田」
「えっ?何?今泉くん」
「名字名前 って知ってるか?」
どうせならこいつに教えた方が良いだろうと思い、俺は名字名前 の名を口にした。名字名前 もきっと俺なんかより小野田との方が馬が合うだろう。
しかし小野田はしばらく考え込んでから首を捻る。どうやら知らないようだ。結構有名だとは思ったが、知らない奴もいるのか。
「うーん…聞いたことないなぁ」
「そうか」
「ぼ、僕、あんまり女の人と話したことないから…」
それは、まあ、俺もだが。
俺はポケットに手を突っこんだまま心の中でそうぼやく。話し掛ける掛けないは別として、同じラブヒメオタクがいるというのを知ればこいつも少しくらいは喜ぶかもしれないと思い、続けた。
「そいつが、ラブヒメ好きらしい」
「え!?」
驚いたように体をビクつかせた小野田だったが、すぐにメガネを掛け直しながら「め、珍しいね、女の人なのに…」やら何やら口にする。そんな小野田から視線をずらし、俺もぽつりと呟くように独り言を零した。
「…物好き、かもな」
そう口にした時、ポケットの中で携帯が小さく震える。一瞬あいつからのメールかと思ったが、ただのメルマガだった。
20140723
「小野田、これ」
「あっ!観てくれた!?」
「ああ…まあ」
「良かった、明日三巻持ってくるね!」
「あ、」
「ん?どうかしたの?」
「…いや、何でもない」
名字名前 と話した後に小野田と話すと何だか同一人物と話しているような気分になる。まあしかし二人とも悪い奴じゃないのは分かるのだが、まさか高校に入ってオタクという類の知り合いが二人もできてしまうとは思ってもいなかった。
(悪くない、と言ったら嘘になるが…)
本音は、悪いくないのかもしれない。
「…なあ、小野田」
「えっ?何?今泉くん」
「名字名前 って知ってるか?」
どうせならこいつに教えた方が良いだろうと思い、俺は名字名前 の名を口にした。名字名前 もきっと俺なんかより小野田との方が馬が合うだろう。
しかし小野田はしばらく考え込んでから首を捻る。どうやら知らないようだ。結構有名だとは思ったが、知らない奴もいるのか。
「うーん…聞いたことないなぁ」
「そうか」
「ぼ、僕、あんまり女の人と話したことないから…」
それは、まあ、俺もだが。
俺はポケットに手を突っこんだまま心の中でそうぼやく。話し掛ける掛けないは別として、同じラブヒメオタクがいるというのを知ればこいつも少しくらいは喜ぶかもしれないと思い、続けた。
「そいつが、ラブヒメ好きらしい」
「え!?」
驚いたように体をビクつかせた小野田だったが、すぐにメガネを掛け直しながら「め、珍しいね、女の人なのに…」やら何やら口にする。そんな小野田から視線をずらし、俺もぽつりと呟くように独り言を零した。
「…物好き、かもな」
そう口にした時、ポケットの中で携帯が小さく震える。一瞬あいつからのメールかと思ったが、ただのメルマガだった。
20140723