koiNOtasatutai | ナノ
 目が覚めると、カーテンの隙間から差し込む光が眩しくて思わず頭から布団を被って丸まった。


(……頭、痛い…)

風邪でも引いたのだろうか。ずきずきとこめかみが痛んで、心なしか吐き気もする。枕元に置いたはずのCCMを手探りで探して画面をつけると、いつもならもうとっくに起きている時間だった。
(あー…これは……)
寝坊と言うか、風邪と言うか。どちらにせよ今日はもうこのまま寝てしまいたい。こんな風に思うのはとても珍しいことだ。
私はやる気のない手つきでユノに「風邪引いたから休むね」とメールを送り、そのまま布団に潜り込む。それと同時に昨晩のできごとが頭をよぎって、また頭が痛くなった。

「………」

ぎゅっと布団を握り締めて、目を閉じる。
(………ブンタ…)
昨日泣きすぎたせいで瞼が重い。きっと赤く腫れてしまっているだろう。掠れた声で無理に叫んだからか喉も痛い。あんなに人前で取り乱したのは初めてだった。私はずっと支えてくれていたブンタを傷付けてしまった。
謝るのは、私の方だ。

ブンタは当たり前のことをした。ひどくなんてない、普通のこと。だって、きっと私がブンタの立場だったらブンタと同じことをする。相手を傷付けたくないから、相手に嫌われたくないから。相手のことを、本当に大切に思っているから。

―――仲間、だから。



「……めん、ごめんね、ブンタ…」

次起きた時も私は、同じように思うのだろうか。


『全部、終わらせてほしいんだ』



 ブンタ、ありがとう、って。


 20141211