unubore | ナノ
 今日のウォータイムでは、私たち第6小隊が特に被害を受けてしまった。
今日もまた、バンデットが出たのだ。第1小隊が反撃に出ようとしていたのだが、バンデットは第6小隊を狙ってきた。皆は必死に抵抗をしたもののロストされそうになったが最終的に何とか全員生きて返って来てくれた。しかしその機体は散々グルゼオンにより傷付けられたため、修理には少し時間がかかるだろう。私は急いで寮に戻り修理を始めた。

「これはだいぶ掛かるかも…」
うわぁ、と悲惨な声を一人で零す。(今日は徹夜かあ…)がっくりと肩を落としたが、皆のためだ。私は少しでも多く隊員の皆に力を貸したい。
メカニックである私は修理とメンテナンスくらいしかしてあげられないのだから、せめてそれは全力でやらなければいけない。そうと決まれば「よし!」と気合いを入れて、道具を手にした。





 朝方になると少しずつ日が昇ってきて、窓の外から差し込む光に気付いた頃にはもうすっかり朝を迎えていた。(朝食は諦めるしかないか…)私は視線を時計からLBXに戻して、止めていた手を動かす。
しばらくすると、コンコンと控えめなノックが聞こえた。

「! はい」
「まこ、大丈夫?そろそろ時間だけど…」

声の主はリンコだった。

「あっ、うん、もう終わるから大丈夫だよ」
「そっか。良かった」

すると小さくドアの開く音が聞こえたから驚いて振り向くと制服に身を包んだリンコが私の部屋に入ってきて、ドアを閉める。
「リンコ?」
何かと思い尋ねるとリンコは笑顔で言った。

「待つよ。まこが終わるまで」
「えっ、そんな悪いよ。リンコは先に行ってて」
「気にしないで良いから。ほらそれより、早くしないと」
「!…うん、ありがとうリンコ」

リンコの優しさに頬を緩めながら、私は必死に修理を進める。
 最後の作業を終えて私が「終わった!」と声を上げるとリンコは嬉しそうに「お疲れ様」と言ってくれた。そんな幸せにまだ浸っていたかったのだが、そうはいかない。時間はギリギリだ。私たちは急いで教室へと走る。
 やっと私たちの教室がある階まで辿り着いてから隣を走るリンコを盗み見て、遅刻遅刻と慌てる姿を可愛いとさえ思ってしまった。


 20140118