AIkurushii | ナノ
 二日間の休日がやってきた。
監督からは、これからの練習に支障が出ないようしっかり休養を取れとのこと。本当にそれだけの理由で二日間も休日にしたのかは定かではないが、嬉しい報告には変わりない。私はこの二日間をどう過ごそうか考えていた。

(やっぱり部屋でゆっくりするのが一番かなー…)
朝食を終えた私は部屋に戻りベッドの上に横になる。真っ白な天井を眺めていると色んなことを思い出してしまって、遂にはどうして自分がここにいるのか、なんて馬鹿なことすら考えてしまう始末。

「しばらくは、ぜってェあきらめないからな」


「………」
(多分あれは、うそ…かな)
あの時の瞬木の顔を思い出せば分かる。"あきらめない"と言っているにしては諦めがついてスッキリしたような顔に見えた。私は枕に顔を埋めて項垂れる。
(なに、やってるんだろ。私)
私はいつまでこうして男のフリをしていれば良いんだろう。

「あっあのね!ゆうき、わたしっ…!」
さくらはあんなに必死になって、きっと勇気を振り絞ってくれた。それなのに私はさくらの気持ちを拒否するかのような態度を取ってさくらを傷つけた。瞬木だってそうだ。私が女だと知った上でこんな私のことを好きになってくれて、それなのに。
何が「ホコリ、付いてた」だ何が「ごめん」だ。私は最低なことをした。それなのにさくらも瞬木も笑ってくれて。

(……優し、すぎるんだ…)
私がここに来て出会った人たちは皆、優しくて温かくて、強い。それに比べて私は、自分ばかりが幸せになって和人と恋人同士になって、他人の幸せを祈ることしかできない。私は皆に何もしてあげられてない。


 ―― 最低 だ。



 20140319