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▼ 3






もはや、狂気の沙汰だ。
何もしない黒子の上に馬乗りになった黄瀬は自ら挿入を果たし、腰を揺さぶる。
その間、黒子の指示を受けてオレは黄瀬の横に膝立ちになる。
何も言わなくとも、黄瀬は再び反応しているオレのチンコを掴んで咥え、頭を振ってフェラしてきた。

黒子が黄瀬の中でイき、黄瀬も同じタイミングで射精する。その折に油断した黄瀬がオレの先端に軽く歯を立て、オレは本日二度目、黄瀬の口の中に射精した。

そんなになっても、黒子は黄瀬に休憩する暇も与えず、オレに横になるよう指示を出す。
無心でその通りにすると、気だるげに黄瀬がオレに乗っかってきた。
「お、オイ、…大丈夫か?」
「…ん、疲れ、た、けど…、まだ、」
さすがにヤバそうだと声を掛けても、黄瀬はへらりと笑うばかりで。
そのまま足を広げると、何度かオレのを指で扱いて勃たせて、そこに腰を下ろしてきた。
「ん、ん…は、あ…っ」
「…ッ」
何度か中出しをされているせいか、穴は抵抗もなくずぶずぶとオレを飲み込んでいく。
そこの刺激は元より、この体勢は、まずい。黄瀬の表情がはっきりと分かるからだ。
どくんと心臓が波打ち、ブツも質量を増したのが分かる。ひゃ、と声を上げ、黄瀬の体が僅かに揺らいだ。
「あ、は…っ、また、おっきくなった…」
「っ、うるせ…っ、笑うな!」
「…うれしっス、…はぁ、ん…っ」
汗を垂らしながら、黄瀬はオレの胸に両手をついて、全てを中に収める。
「く…っ、」
本当に、タチが悪い。言葉どおり、心底嬉しそうな笑みを浮かべるのだ、この男は。
そして黄瀬はやや前のめりの体勢になると、抜かずに体を前後に揺さぶる。
「は、っ、ぁ、ん…っ」
奥を、オレの先端にぐりぐりと押し付けるような動きだった。それはスピードこそないが、恐らく黄瀬のいいところに当たってるのだろう。こうやってこすりつけるのが、黄瀬が、もっとも気持ちいいやり方なんだろう。
同時にこっちも気持ちいい。目を細めて黄瀬の頬に手を伸ばしたのは、無意識だ。
涙の痕が伝う頬を撫でると、黄瀬は僅かに目を見開いて、また笑った。
ゆっくりと黄瀬の手が、頬に当たるオレの手の甲に重なる。
その幸福そうな表情に、ますます欲望を刺激される。

まるで、恋人同士にでもなったような錯覚を抱かされる。
だが実際にはそんなことはない。
現実に引き戻すかのように、黒子の声が聞こえた。

「黄瀬くん、まだいけますか?」
静かな声だ。だが黄瀬は弾かれたように目を開き、声の方向を探し当てる。
「ん、へ、きっス…。黒子っち、のも、…舐めさせて」
そして、欲を滲ませた表情で黒子に強請った。


黒子のチンコを口に含んだ黄瀬の中が、一際締め付けを強くしたのがダイレクトに分かる。
さらに、黄瀬の表情だ。うっとりしたような、夢見心地な顔で黒子を咥え、左手で自分の体を支えながら頭と腰を振る。

もうこの頃にはオレにも分かっていた。
黄瀬は、心底黒子が好きなんだと言うことを。

先ほど、オレと黒子が逆の位置だったときにも感じた。
オレを含んだとき、黄瀬は苦しそうに眉根を寄せていた。それは質量の関係もあるのかもしれない。だが、今の黄瀬は、ひどくいとおしげに黒子のブツに愛撫を施している。
黒子が言えば、黄瀬は何でもしてしまうのだ。
それこそ、他の男と寝ているところが見たいと言われれば、躊躇いなく体を差し出すくらいに。

そう思うと、何故か苛立ちが全身を襲った。
その感情に任せて、オレは両手で黄瀬の腰を掴む。
驚いて目を開く黄瀬を気にすることなく、オレは下から黄瀬を思いっきり突き上げた。
「あ、ひゃ…っ、や、火神っち、きゅ、に…っ、ぁん!」
たまらずに黒子から口を離し、黄瀬が抗議を口にする。
だがそこは黒子だ。有無を言わせずに黄瀬の頭を掴むと、無理やりにその咥内にチンコを突き入れる。
「ん、く、ふ…っ、んん…ッ、ぁ…んっ」
こうなれば、黄瀬は逃げ場も何もなくなる。
締め付けの強い中を無理やりこじ開けて蹂躙するように腰を動かしながら、オレは黒子の顔を見上げた。

その時、黒子の表情が初めて苦しそうに歪んでいることをオレは確認した。






最終的に、黒子の精液を顔面に浴びた黄瀬は意識を失った。
オレの胸に落ちてきた黄瀬を支えながら、オレは黒子に声を掛ける。
「…なあ、キスしてもいいか?」
「それはダメです」
やっぱりな。確信する。

体はいくらでも好きにしていい。
でも、キスだけはダメだ、なんて。
お前、意外と独占欲強いな。…安心したよ。

「別にそういうわけじゃないです。黄瀬くんは、大切な友達ですから」
「…は?」
「でも、火神くんが気に入ったなら、どうぞ今後も好きにして下さい。黄瀬くんも喜ぶと思いますよ」

この期に及んで素っ気無い口調でそんなことを言う黒子に、オレは錯乱した。
なんだ、コイツ。どう見ても黄瀬はお前に傾倒しきってるじゃねーか。
普通ないだろ。いくら男だとは言え、いや男だからこそ、か?好きでもない男に何度もヤらせるなんて有り得ない。
全て、黄瀬が黒子に心底惚れてるから。だから、こいつは黒子の願いを聞き入れ、こんなことを。
「…そうだったらいいんですけどね」
「…は?」
「何でもないです。とにかく、黄瀬くんと僕はこういう関係ですけど、恋人ってわけじゃないです。…元々僕と関係持つ前から黄瀬くんは馴れてましたし」
「っ!」

本気なのか冗談なのか、黒子の表情からは分からない。
ただ、もしこれが黒子の本心だとしたら。

「…お前さ、ヤってる間、気付かなかった?」
「え?」
「…いや、なんでもない」


黒子は分かっているのかとばかり思っていた。
黄瀬と一緒にいる時間が長過ぎて、こんなことばかりやってたから、感覚がマヒしてんのかもしれない。
ぐちゃぐちゃな思考の中、黒子を認識した時の黄瀬の変化を。本人は、すっかり見過ごしている。

オレが指摘してやれば、ちょっとはこいつらの関係にも変化が訪れるだろう。
黄瀬も、黒子も、お互いに報われる。オレは、それを知っている。
それでも黒子に黙っているのは、意地悪なわけじゃない。
ただ、ちょっと。



「…次、黄瀬が泊まりに来る日は、言えよ」
「ええ、そうします」


友達、ね。
だったら、大切にしないとな。
オレにとっても、一応大事な友達ってことになるのだろうが。

オレの胸を枕にしてすっかり安心したようにすやすや眠る黄瀬の整った顔を、もう一度眺めてみる。
多分、オレは、無理だと思う。

少なくとも、こいつらがお互いの気持ちを知る未来を阻止してしまうくらいには。
オレの中には、友達以上の感情がはっきりと姿を現していた。













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