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▼ 2







おかしいのは百も承知だ。
だが、この甘い誘惑に勝てる男がいるのだろうか。
多分、修行僧にでもならない限りは難しい。

そんなわけで、いま、オレの足の間には現役高校生人気モデルが顔を埋めている。


わざとなのだろうか。ぴちゃぴちゃと水音を立てながら、黄瀬の舌がオレのに這っている。
もちろん両手は黒いコードで縛られたまま。不自由な体勢で、床にしゃがんだ黄瀬は、ベッドの淵に浅く腰かけたオレの股間を一心不乱に舐めている。
柔らかい舌の感触はもとより、これは、視覚的にも色々ヤバイ。
黄瀬の顔が半端なく整っているのは知っていたが、この角度。伏せた長い睫毛が、頬に影を落とし、たまらない色気を惜しみなく放出している。

「火神くん」
「うおっ!な、何だよ黒子…ッ」
「いえ、ちょっとしたアドバイスなんですが…せっかくなんで、黄瀬くんの髪を撫でてあげると凄いことしてくれますよ」
「…何だと?」

オレの背後からひょこっと顔を覗かせた黒子が、こそこそとオレに甘言を囁く。
オレは息を飲んで、視線を下に落とす。
ちょうど黄瀬が伺うような眼差しでオレを見上げて、目が合った途端、オレのは膨張を増した。
「…っ」
「わ、ワリィ…」
驚いたのか、黄瀬は再び目を伏せ、僅かにオレから顔を離した。
そのタイミングでオレが黄瀬の頭に手を伸ばしたのは、別に、黒子のアドバイスに従ったわけじゃない。
「あぅ…」
「?」
髪をなでると、黄瀬は何やら篭もった声を絞り出す。
そして、再びオレの股間に顔を寄せ、
「ッ!…くっ、き、せ…ッ」
「…っ、ふ、ん、ぅ…」
顔を斜めにして、すでに完全に近いほど勃ち上がったチンコを咥え込んだ。
そのままスピードをつけて上下に擦られる。容赦ない刺激に、オレは限界を感じ、思わず黄瀬の髪を鷲掴みにしてしまう。

確かに、これは、すっげ…、
「ッ!!」
黄瀬の口が先端を咥え、吸い付かれた途端、限界は訪れた。
「……」
「…っ、ワリィ、黄瀬、口ん中に…」

ゆっくりと離れた黄瀬が、項垂れるように俯いていたのを見て、オレは慌てた。
だが、その直後、ぱっと黄瀬は顔を上げた。

「へーきっスー、飲んじゃったぁ」
「の…っ?!お、おま、…ッ!」
べっと舌を出してオレに見せつける黄瀬の無邪気な表情に、何と言うか、気が抜けた。
「火神っち、けっこー溜まってたんスね」
「そうなんですか?」
「ん。黒子っちのより濃かったっス」
「それはそれは」
「お前ら…」

日常的にこんなことしてんのかと言いそうになって口を紡ぐ。
そんなのは愚問だ。じゃなきゃ、平気で他人のブツを舐めるなんて行為、出来ないだろう。
呆れている間に、黄瀬は再びベッドによじ登ってきた。

「黒子っちは抜かなくていいんスか?」
「僕は後で構いません。…それより、黄瀬くんの方がきついんじゃないですか?」
「…うん、ぶっちゃけ、かなり」
「でしょうね」
「さっき出したまんまだし、スゲー気持ち悪いんスよー…、とりあえず、脱がせて欲しいんスけど」
そしてオレは再び耳を疑う発言を聞く。
「火神くん、お願いします」
「え?!お、オレ?!」
「当たり前です。黄瀬くんは手が使えないんですから」
「火神っち、お願いっスー」
へらへら笑いながら黄瀬はオレの肩に顎を乗せてくる。
非常に気まずい気分になりながら、オレは身体の向きを変え、黄瀬の体を後ろに突き倒す。
なるべく黄瀬の顔を見ないようにしながら、黄瀬のスウェットに手を掛け、一気に引き下ろす。
下着の中で、かなりキツそうに膨張したモノに気付くと、そこからも目を背けたくなった。

「大丈夫ですよ、そこ触らなくても」
「…ああ、胸だけでイけんだよな」
「と言うか、他のとこでもイけるんで」
「…は?」
そう言いながら黒子は、これじゃダメです、と言いながら黄瀬の腕を掴むと、ごろっとひっくり返した。軽々としているように見えるのは、黄瀬が黒子の意図を先読みして力加減を調整しているからだ。
うつ伏せになった黄瀬の腰を両手で持ち上げさせると、黒子は躊躇いもせずに黄瀬のパンツを膝まで引き下ろす。
「ん…っ」
「ここは面倒なので僕がやります。火神くんは、とりあえず見ておいて下さい」
「は?って、おま、それ…っ」
四つんばいになった黄瀬の後ろに回った黒子の手には、液体が入ったボトルが握られていた。
まさか、と思いつつ、黒子の動きを見守る。そして予想は当たる。黒子は、どぼどぼとボトルの液体を自分の手のひらに出すと、その手を。
「やっ、あぁっ!」
「っ!く、黒子!垂れてんぞ!」
「…そこですか?…大丈夫です、替えのシーツはあるんで」

馴れた手つきで黒子は黄瀬の尻に自分の手を這わすと、粘着質な音を立てながらその液体を広げる。
そして不意に割れ目に指を押し当て、ぐっとそこに差し込んだ。
「ぁ、っん…!」
ぴくんと黄瀬が身を震わす。
…いや、なんだ、これ。こいつら、何してんだ?
呆然とするオレを気にするでもなく、黒子は指を深く突き入れると、乱暴とも取れる動作でそれを引き抜き、再び中に突き入れる。その動作を何度かこなしていくうちに、黒子の指の動きが変化していく。
そもそもそこはモノを入れるような器官じゃない。出すだけの場所だ。それに逆らって、黒子は中をねじ回しながら抜き差しをして、指を2本に増やして同じ行為をした。そのうちに、黄瀬の方にも変化が現れる。

「ひぁっ!あっ、そこ、…だめ、ぁあっ」
突然黄瀬が、がくんと両手の支えを失い、頬をシーツに押し付けて腰を揺らした。
驚いて黒子を見ると、黒子は無表情のまま解説をした。
「前立腺です。知ってます?ココを突かれると、凄く気持ちいいらしいです」
「へ、へえ…。…よく分かった」
「あっ、あっ、く、ろこっち…っ、そこ、やぁあ…ッ」
「これは嫌がってるように見えますけど、逆です。凄く悦んでます」
「…ああ、それも見りゃ分かる」
びくびくと痙攣しながらあられもない声を上げる黄瀬の腰は、無意識なんだろう、酷くいやらしく揺れていた。
黒子が指を動かさずに突っ込んだままにしておいても、自分でその位置に当たるように腰を動かしている。
さらに驚くことに、黄瀬の足の間から見えた黄瀬自身は、すでに限界ってくらいにデカくなっていた。
黒子の言葉の意味を知る。なるほど、こいつはここでもイけんのか。
納得しつつ黒子の次の動きを眺めていると、何を思ったか、黒子は黄瀬の中から指を引き抜き、腹の下からその手を差し入れて。
「ッ!!や、黒子っち…、はぁ、イきたい…っ」
「ダメです。我慢してください」
「そん、な…っ、んっ、は…っ、無理、ぃ…!」
すっかり破裂寸前の黄瀬自身の根元を指で押さえつけ、イけないようにしていた。

そのまま黒子は逆の手を黄瀬の後ろに伸ばす。
今度は指をいれることはせずに、2本の指で入り口を広げた。
その部分をモロに直視してしまったオレは、息を飲む。

「あ、やぁ…っ、ひろげ、ないで…っ」
「火神くん」
「っ」
ひくひくと誘うように蠢くそこから目を離せないオレに、黒子が声を掛ける。
どうですか?と。何が、どう、なのかは分かっている。この中に、入れてみろという誘いだ。
黄瀬はといえば、もう、何が何だか分かっていない様子で。頭を振りながら過ぎる快感をやり過ごそうとむせび泣いていた。
「出来ませんか?」
「…っ」
躊躇うオレの心中を言い当てるように、黒子は言った。
ごくりと喉を濡らす。無理だと、思わなくもない。こんなところに突っ込むのは異常だ。どう考えても。
だが、誘惑には勝てない。オレはふらふらと黄瀬の腰に手を伸ばす。
恐ろしいことに、オレ自身は先ほど黄瀬に抜いて貰ったにも関わらず、元通り元気になっていた。
それを支えて、黒子の手が添えられたままのそこに、先端を押し付ける。

「ひっあ…っ!」
「黄瀬くん、火神くんが挿れてくれるそうですよ」
「あ、ん…、か、がみっちぃ…ッ」
余計なことを言う黒子に、黄瀬は本当に従順だ。
「ちゃんとおねだり出来ますか?」
「ん…ッ、でき、る…っ、火神、っちぃ…っ」
全身を震わせながら、黄瀬が、苦しげな体勢で首を捩る。
視線が交わる。
涙で濡れた黄瀬の、欲を孕んだ目と。
「…っ、い、れて…っ、おれの、ここ、…火神っちので、…いっぱい、して…ッ!」

訓練されきったその懇願に、オレの理性は簡単に弾け飛んだ。




率直に言えば、意識を持ってかれそうなくらいに黄瀬の中は、ヨかった。
ローションの滑りを借りて奥まで滑り込むと、中はぎゅうぎゅうと収縮して締め付けてくる。
引き抜けば、物欲しげに内壁が絡み付いてきて、それすらも気持ちいい。
それに、何と言っても黄瀬の声が。これは、ヤバイ。この位置だと顔は見えないが、声だけでも充分に盛り上がる。
「あっ、ん…っ、やだ、抜かないで…ッ、はっ、あぁあっ!」
「…っ、黄瀬、…黄瀬ッ」
「あぁ…、気持ちイ…っ、か、がみっちぃ、もっと、もっとしてぇ…っ」
「く…ッ」
指の痕が残りそうなくらい強く黄瀬の腰を掴んで、激しく腰を上下左右に揺さぶる。
「あっ、あっ、ふ、ぁあっ、も、やだ、ぁ…っ、も、だめ…ッ、イっちゃう…ッ、イかせて…っ」
悲鳴混じりの声だった。ちらりとオレは黒子に視線を送る。それを受けて、黒子は小さく頷き、黄瀬から手を離した。
「ぁ、あぁっ、------ッ!!」
「…ッ!!」
その瞬間、強烈な締め付けを受け、オレは黄瀬の中でイった。




ずるりと自身を引き抜けば、黄瀬は力尽きたとばかりに脱力し、うつ伏せに転がった。
抜いたところから、どろりと放った液体が溢れ出てくるのが心臓に悪い。
荒い呼吸を整えながらそこを見ていると、黒子の手が伸びて、精液が伝う黄瀬の太股を撫でた。
ぴくんと黄瀬の体が跳ねる。
「どうでした?黄瀬くんの中は」
「…お前、わざとだろ」
「何がですか」
「……」
相変わらず無表情の黒子をにらみながら、オレは小さな声で、最高だったと呟く。
じゃなきゃ、イかねーよ。男の体で。
「それはよかったです。それでは、そろそろ返して貰ってもいいですか?」
「え?…いや、待てよ!今コイツ、イったばっか…っ」
「大丈夫です、体力はあるんで」

淡々と言い放った黒子は、すっかり脱力している黄瀬の腕を揺さぶり、無理やり起こさせる。
「あ…、く、ろこっちぃ…」
「大丈夫ですか?」
「ん、…だいじょ、ぶっス、…はあ、」
黒子が指示をせずとも、心得たとばかりに黄瀬はのろのろと上体を起こす。
黒子が黄瀬のコードを取り外した。
すると黄瀬は、当然の流れのように。壁を背にして座った黒子の顔を両手で包み、唇を重ねた。












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