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▼ 友達は大切に


※黄瀬くん受けの3Pです。黒黄も含みます。



***



選択の余地はあった。
「火神くん、どうしますか?」
避ける道は確かに作られた。
あの時、黒子にはっきりと断っていれば、こんなことには。



金曜の夜、黒子に持ちかけられた話にうっかり食いついたオレが、悪かった。
黄瀬が、黒子んちに泊まりに来るなんて、面白過ぎると思ったんだ。
お前らいつの間にそんなんなってんだ?って言ったのは、単純に、初めて黄瀬がオレたちの学校に現れたときの黒子の反応からしたら当然の質問だ。何の含みも無い。
だが、黒子の中で、オレの質問の意図は別物に改変された。

(…べつに、普通ですけど。良かったら火神くんも来ます?)
(へ?)
(黄瀬くんも喜ぶと思います。火神くんのこと、かなり気に入ってるみたいですから)
(そ、そうか?…いや、でも、)
(大丈夫です、黄瀬くん、馴れてますから)
(…はい?)
うすうす、おかしいとは感じ始めていた。
コイツは、真顔で何を言っているのか。
(馴れてるって…)
(火神くん、どうしますか?)
(え、いや、そりゃ…)
はっきりと何をどうとは口にはしなかった。
空気を読めってことなんだと思う。

オレの脳内で数秒間の葛藤が始まる。
まさか、こいつら。
いやでも、ないだろ。
いくら黄瀬が黒子のこと溺愛してるからって、そこまでじゃない、はず、だし。
それに、万が一予想が当たったとしたら、黄瀬に追い出されるだけだろう。普通、そうだろう。絶対、嫌だろう。
そうだ、そうに違いない。
だったら、べつに行っても行かなくても。

と、そんなわけで、オレは好奇心に素直になった。



一旦帰宅してから、何度か呼ばれたことのある黒子の家へ向かった。
黒子に迎え入れられ、足を踏み入れる。家族がいる気配は無かった。
そして、階段のところで黄瀬に遭遇した。
どう見ても風呂上がりであろうラフな姿の黄瀬に。

「あ、火神っちー、久しぶりっス!」
「…お、おう」
「火神くん、シャワーどうぞ」
「は?い、いきなり?」
「オレらもう終わったんで!」
「そ、そうかよ…」

そのまま通されたのは黒子の部屋ではなく、浴室だった。
「タオル置いときます。着替えは…黄瀬くんのでいいですか?」
「は?…あ、あぁ、じゃあ、頼む」
「分かりました」
一瞬何のことか分からなかった。
だが、泊まりに来ているくらいの仲だ。それもたぶん、今回が初めてではなさそう。ということは、黄瀬も自分の服をこの家に置いてくことがあるのかもしれない。
「……」
複雑な気分になる。
が、もう、気にしたら負けな気がした。



シャワーを浴びて、脱衣所で手にした着替えを身に付ける。
頭は適当にタオルで拭いて、黒子の部屋へ向かった。

ドアに手を掛ける。
妙な緊張で、開けるのを一瞬躊躇う。
意を決してドアを開けた。

「あ、火神っち、早かったっスね!」
「…お、おぉ」
「良かった、サイズ一緒なんですね」
「ああ、黄瀬、借りたぜ」
「いーっスよ!」
黒子の言うとおり、黄瀬のシャツとスウェットは同じサイズで、若干安心した。
見た目、頭が小さくて手足の長い黄瀬だ。身長はそれほど変わらないが、これで袖や裾が余ったなんてことになったらオレはそのまま家に帰ってた。

それにしても、室内の光景を眺めながら若干安心している自分がいる。
黄瀬と黒子はテレビの前に並んで座って、健全にゲームをして遊んでた。
これで、ドアを開けた瞬間ベッドで絡み合ってたらオレはどうしていただろう。

何はともあれ、この分ならオレが期待(…いや違う、期待じゃなくて、心配だ)していたことは起きそうに無い。
そう思ったのも、束の間。

「まあ、すぐ脱ぐんスけどねー?」

テレビに視線を戻して口にした黄瀬の言葉は、しばらくは忘れておこう。




飲み物を取ってくる、と言った黒子に代わって、コントローラーを受け取る。
やり方おしえようか、と申し出る黄瀬に、適当にやりゃ分かるだろ、と返答し、対戦ゲームスタート。
1分ももたずに負ける。黄瀬はけらけら笑った。
「火神っち弱ぇっ!ね、もっかいやろっ」
「…もーいい。めんどくせぇ」
「えー、せっかく来たのに。オレ、さっき黒子っちに負けっぱなしだったんス。だからー」
「オレをカモにすんなよ」
初心者だぞ、オレは。
そう言うと、黄瀬はきょとんとした目でオレを見て、ああ、それもそうっスね、なんて軽く言う。

「…なんか、ちょっとドキドキするっス」
「は?なんで?」
「いや、だって、…こーゆーの、初めて、だし?」
「…?」
自分より弱い奴とゲームするのが、だろうか。
深く考えないでいると、黒子が部屋に戻ってきた。
「火神くん、どうぞ」
「サンキュ」
お茶のペットボトルを受け取る。黄瀬も黒子から同じものを受け取って、キャップを開けた。

何もない、健全な夜だ。
同学年の別の学校に進学した友人と、週末の夜にゲームしたり何だり。
よくある話だ。期待(じゃなくて、不安だ)をするようなことは何一つない。

「黒子、オレ、ゲームはいい」
そう言ってコントローラーを黒子に返そうとした。
だが、黒子は差し出されたそれを受け取らず、そそくさとベッドに向かう。
怪訝に思って黒子の行動を目で追う。なぜか、オレの隣に座ってた黄瀬もそれについて行った。
「…オイ、もう寝んのかよ」
「そんなわけないじゃないですか」
声を掛ければばっさり斬り捨て。だったら何だと続けて訊ねる。
その回答も得られないまま、黄瀬がベッドに乗り上げる。枕側に座った黄瀬に向かい合って座る黒子は、黄瀬の両手を引いた。
そして、黒子の手に見えたのは。
「…って、おいおい!お前ら、何して…」
「縛ってるんです」
「縛られてるっスー」
見れば分かる、という風に平然と二人に返され、そうかと納得してしまう。
…いや、そうじゃない。なんで?

黄瀬の手首は、携帯の充電コードでぐるぐるに縛りつけられた。
文句一つ言わずに、黄瀬は黒子を見る。
「黒子っち、ちゅーして」
耳を疑う発言の後、黒子は黄瀬の肩に両手を乗せて膝立ちになった。
黄瀬は僅かに顎を持ち上げる。長い睫毛が揺れ、まぶたが閉じる。
そして、今度は目を疑う光景。
「ん…、んぅ…」
黒子は黄瀬に、キスをしていた。
ちょっと触れるだけのキスじゃない。鼻にかかったような黄瀬の吐息から、ディープキスなのだということは察せた。
知りたくもなかった、が。
目が離せないまま硬直しているオレを無視して、黒子は黄瀬の肩から手を離す。
その手の動きを追う。想像通りだった。

「…っ」
シャツの裾から、黒子の手が中に入り込むと、唇を塞がれたまま黄瀬の肩がぴくんと揺れる。
構うことなく黒子は手を動かす。シャツの中、どこに触れてるのかは見えない、が。
「ひぁっ!や、黒子っちぃ、…ぁ、ん!」
突然黒子が黄瀬から唇を離すと、栓が抜けたかのように甘えた声で黄瀬が喘ぎ出す。
その声にびびったオレを、黒子が振り返る。
黒子は言葉に出さずに、視線だけでオレに合図を送る。こっちに来い、と。
言いなりになるのは癪だ。だが、オレの足はふらふらと黒子に招きよせられる。
オレが近づいてきたのを確認した黒子は、黄瀬のシャツを一気に胸元までたくし上げた。

「ここ、好きなんですよ、黄瀬くん」
「…は?」
ぽつりと呟いた黒子の指が、黄瀬の乳首をぎゅっと摘む。すると黄瀬は先ほどのような喘ぎと共に、身体を揺らせた。
「…っ」
「大丈夫です、痛がってるわけじゃないんで」
「いや、これ…」
「…黄瀬くん」

どう見ても、痛いだろ。
男の乳首なんざ、飾りだ。女みたいに性感帯になってるわけでもない。
至極真っ当な考えで黒子を見遣れば、黒子は、黄瀬の頬をひと撫でし、場所を移動した。
「ん、…黒子っち…?」
黒子の動きに合わせ、黄瀬はベッドの縁側へ身をずらす。黄瀬の背中に回った黒子は、再び両手を黄瀬の胸に這わせる。
「は、ぁん…っ、」
再びぎゅっとそこを握られ、黄瀬の声が上がる。
黒子がどいたお陰で、黄瀬の表情がよく見えた。
そしてオレは息を飲む。

…何つーツラしてんだ、こいつ。

紅潮した頬に、潤んで蕩けた両目。
どう見ても、痛がってる表情ではないのはオレでも分かる。
黄瀬の肩越しにオレを見た黒子が、すっとその手をずらした。
「火神くん、どうぞ」
「え…?!」
そして何を思ったか、そんなことを言ってきた。
黄瀬の顔を凝視したまま動かないオレを見て、黒子は黄瀬の耳元で何やら囁く。

「ん、…ぁ?…かがみ、っちぃ…」
「ッ!」
蕩けた目が、オレの顔を映し出す。名前を呼ばれて、脈が跳ね上がる。
「火神っち、…さ、さわって…」
「は?!…っ!」
「おねが、い…、んっ!」
呼吸を乱しながらそんなことを言い出した黄瀬が、突然肩を揺らして声を跳ねさせる。
見れば、黒子が黄瀬の耳を軽く噛んでいた。
そして今度はオレにも聞こえるように、黄瀬の耳元で囁く。
「黄瀬くん、本気でおねだりしないと、火神くんはやる気出ないそうですよ?」
「あ…、っ、火神っち、おねがい…っ、オレの、ちく、び、触って…ッ!」
「……」
「あ、ぁ、い、たく、ないから…ぁっ」

無理、だった。
黒子に言わされてんのは明らかだったが、名前呼ばれて見詰められて色っぽい顔でこんなことを言われて、我慢出来るほどオレの理性は頑丈ではない。

手を伸ばして、ピンク色の突起に触れる。
黒子がしていたように軽く摘んで転がせば、黄瀬は喉を晒して喘ぎ出す。
それはやはり、痛がっていると言うよりも。

「お察しの通り、感じてます」
「ッ!」
「多少強く擦っても気持ちいいみたいですよ。それと、吸ってあげると喜びます」
「……」

黄瀬の背後から聞こえる指示。オレは操られるかのように、黄瀬の胸へ顔を近づける。
舌を出してそれを舐めると、黄瀬は一層高い声で喘いでびくっと体を揺らした。
「ちなみに、強く刺激を与えるとそこだけでもイケます。試してみます?」
「……」
「あっ、や、ん…っ、…あぁっ」
「軽く歯を立てて見てください」
「…っ」
「あ、だめ…っ、や、ぁあああっ」

びくっと一際跳ねる身体。
直後、脱力して黒子にもたれかかる。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「黄瀬くん、イっちゃいました?」
「ん…、はぁ、…イ、っちゃった、ぁ…」
「…火神くんにお礼は?」
「あ…、…火神っち、…」
黒子の手が黄瀬の髪を撫でる。揺らいだ黄瀬の目が、オレを捉える。そして。
「き、もちかった…、ありがと…」

正直、下手なAVよりも下半身を刺激された。












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