捕らえられた蝶
「今日から入る新しいエクソシストだよ、宜しくね」
なんてコムイに言われ、ぜったい俺に向いてるわけがない筈なのに何故かこいつの世話役を請負ってしまった。
こいつは……なまえとか言ったっけ。
こんなチビでモヤシより細っちい女が闘えるわけが無いだろう。足手まといが増えた所で邪魔になるだけだ。
なまえは俺の考察が読めたのか否かもぞもぞとして、『……すみません』と謝罪の言葉を綴った。
「なに謝ってんだよ」
『ひぃ!』
俺は理由を訊いただけなのになまえは顔を真っ青にして30mくらい後ろまでバックダッシュした。なんだよその異常な逃げ足の早さは。
「とりあえずこっちに来い」
『…………』
ゆっくりとこちらの顔色を伺いながら歩み寄る彼女の襟が不自然に揺れるのに気付いた。というか違和感を越して不可思議。
「……お前、ボタン掛け違えてるぞ」
『へっ!?う、うわあ!』
なんでそんな器用にふたつ3つのボタンを掛け違えるんだよ、こいつは。糞どんくせえ。
ほら、と自分のもとへ近付けボタンを外す。
女の衣服を脱がすのなんて久々だな、もう何週間ヤってねえんだろうか、なんていかがわしいことを考えていればうっかりその膨らんだ唇に触れてしまった。意外にも柔らかくてもう一度触れてみようか、なんて邪心が見え隠れ。
なまえは一瞬肩をびくりと震わすも深呼吸し平静を装った。温かい空気が手の甲を撫でて溶ける。
「……ほら、直った」
『あ、その、……どうも』
なまえの言葉はしどろもどろに小さくなってゆく。こいつは処女か。なんて厭らしいことを考察してしまう。
よくみれば意外と端正な目鼻立ち、瀟洒なのにどこか華やかさがあり婉然である。
純粋な奴を自らの手で汚すというのはこれ以上無い快楽だ。純白のその体に自分を刻むのも良いし、何より必死で自分の貞操を守ろうとするその滑稽な姿が堪らない。
『……あ、その、神田さん?』
「ああ、すまない」
ただじっと見つめる俺に不信感が煽られたのか彼女は控えめに俺に問い掛ける。
「そういえば俺の部屋、まだ案内してなかったよな。教えてやるよ」
『……ほ、本当ですか!?私神田さんに嫌われてるのかと思って……』
とんでもない。恰好の餌にありつけれるのだから。
捕まった蝶は
逃げる術を知らない、
fin
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