#せっかく焼いたハンバーグを落として1個になっちゃった夢カプ_さてどうする
※Xにて夢見農場様(@yumemi_farm)より夢タグ拝借したものをこちらへ掲載


「できたよー!」と意気揚々とした声と共に満面の笑みでなまえが焼けたてのハンバーグを運んできた。

その姿に愛らしいという感情よりも今までの経験則からこの先どうなるか完全理解してしまっている神田は、慌てて椅子から立ち上がろうとするもやはり満を持してその皿からハンバーグはつるりと滑り落ち、べちょん!という情けない音と共に無惨に床へ落ちた。


あまりにスロー。
落ちる為に産まれてきたかのような悲しきハンバーグ。


ふたりでしばし落ちたハンバーグの背を見つめていたが、先になまえがスっとしゃがみ込むとべしょべしょと涙目になりながらも本来そこに居るはずだった空の皿へハンバーグをそっと戻した。


「落ちちゃった、材料も勿体ない……」

「いいから。熱いから素手で触んな」

「ユウが無事だった方食べてね。そっちのが大きく作ったし、落とさなくて良かった」

「腹減るだろ」


ふたりで分担し配膳しながら少し押し問答するも余っ程ショックだったのか珍しくなまえはなかなか折れずに、結局神田が生き残った大きいハンバーグを食す事となった。
幸い他のおかずや味噌汁、白米もある。
なまえの小さい体格ならそれだけで補って充分満たされそうなくらいはあった。
なら仕方ないか。少し贖罪を味わいたいのだろう。
神田はため息をひとつつき、大きいハンバーグにスっと箸を入れて割ると痛いくらいの視線に看過できずその切れ長の瞳を上げると、キラキラ燦然とした瞳でこどものように欲しそうに見つめるなまえと目が合った。押し付けて来た割にその目はなんだ。


「……要るなら食え」

「いや!いいよ!ごめん!てか食べづらいよね!なら目を瞑ります」


そう言い白く艶やかな両手で両目を塞ぐと、次は口からダラダラと垂涎しだした。
もう食えよ。食いづれーわ。