「お前、ドレーク屋のとこの奴だな」


シャボンディ諸島。

サラは行く当てもなく一人で徘徊していた。

賞金首だしここから海軍本部も近いのでドレークに嫌になる程騒ぎ事を起こすなと言われていた。

その騒ぎ事が今にも起こりそうなんだけど。

何で自分はこうも厄介な人に声を掛けられるのか。

逃げても追いかけて来そうだ、と考えたサラは普通に返事をした。


「どうも」
「お前も将校だったのか」


知っていて聞くか。

サラは胸のポケットから煙草を取り出した。


「まあ」
「そうか。お前の名は」


白い息を吐く。

一々面倒だな。

灰を地面に落とすと、サラの腕を誰かが掴んだ。

ああ、厄介だ。


「何か用か、トラファルガー」
「いや、何でもねえ」


何時もよりドレークの声が低い。

喧嘩を吹っ掛けられたと思ったのだろうか。

サラはドレークを尻目に見た。

そんな威嚇しなくても。


「またなバラデュール屋」


一体何が目的だったんだ、と男の背中を見ているとドレークに腕を引っ張られた。

サラは眉を顰める。

この男も大概だな、と地面に煙草を落とした。


「何を話していた」
「名前を聞かれただけ」
「…そうか」


サラは腕を振りほどき、また一人で歩き始めた。

騒がしかった周りが耳を塞がれたようになる。

ドレークは振りほどかれた手を誤魔化すようにサーベルの持ち手に持っていった。

そしてサラとは反対方向に足を向け、歩いた。


26 August 2013.
Masse


不器用すぎたかな.
サラに興味を持たれた事に不愉快を感じてる船長.


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