ふぅーっと白い煙を吐く。
その白い煙はリング状になってやがて消えた。
灰皿はもう役目を果たさなくなり、サラはコップに入っている珈琲に煙草を放る。
暇だ。
暇という物は恐ろしい。
すると廊下の遠くから足音が聞こえ、急いでいるのか半ば走って来る。
サラにはそれが誰か大体わかっていた。
しかし目の前の吸殻を片付けるのも面倒だった。
サラはそのまま新しい煙草に火を付けた。
「サラ、いるか?」
思った通りの声にどうぞ、と言う。
ノックなんて律儀だな、とサラは僅かに笑った。
「書類の事なんだが、!!」 「?」
入って来た時の顔とは違い大層不機嫌な顔でドカドカと近付いて来た。
ああ、嫌いだったか。
指に挟んでいる物を見て思う。
「煙草!!」 「わー、見つかった」 「昔から駄目だと言っているだろう!!」
ドレークにバッと煙草を取り上げられる。
昔からっていつの話だ。
「なッ何だこの吸殻は!吸いすぎだ!!」
何だ、入って来た時に気付かなかったのか。
灰皿は吸殻に埋れ、幸い下に新聞紙を敷いていたので机は汚れていない。
え、何が悪いの?と言えばドレークは有り得ないとでも言わんばかりの顔でその新聞紙を丸めだし、カス一つ落とさず近くにあったゴミ箱に捨てた。
「もうお得意様の説教はいいよ、遠慮しとく」 「だったら吸うな!!」 「へーい」
目の前の男は完全に本来の意図を忘れている。
サラは残っている煙草の箱を静かに引き出しに仕舞った。
「あのなサラ、煙草は一日、」 「あーわかったわかった」 「全くわかってない!!終いに身体を悪くするぞ!!」 「わかったわかった」 「何がわかったんだ!?いつもお前は返事だけだ!!」
お隣の将校さんに苦情来るよこんな大きい声。
騒ぎ立てているドレークを相手に微妙に開いていた扉を見ると私の部下が仲良いですね、と満面の笑みで言った。
これの何処を見たらそう結論付くんだ。
「聞いているのかッ!!」 「あー聞いてる聞いてる」
(あー、またやってらぁあの二人) (ドレーク少将って放っておけない質なんですね) (まるで女が男に対して浮気を責め立てているみたいだ) (わー本当だ)
22 August 2013. Masse
こういうおっさんみたいなヒロイン大好きです. そのおっさんにお節介をやくドレークも大好きです.
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